虐げられた猫族 第一話「踊り子の少年」
蒼天歴176年。当時、未開拓であった北の地に人類が進出。その際に北の森林地帯で遭遇した種族、後に「猫族」と称されることになる種族と出会い交流を深める。それから300年後の青天歴476年。猫族と人間族の間に大きな戦争が勃発する。その戦争は後に「獣狩り」と呼ばれ、戦争は人間側が大勝を収めた。その際、敗北した猫族は永遠に人間の奴隷になるという条約を半ば強制的に結ばせられたという…
時に蒼天歴480年。~オーランス城下町の宴会場「猫の家」~
「坊ちゃん。見てくださいよこの子!とってもキュートでしょ?」
「おいおい、また新しい猫を買って来たのか?…前の猫はどうした?」
俺の名前はレイト。宴会場「猫の家」のオーナーであるロードナルの一人息子だ。
それで、俺の目の前で新しく買ってきた猫を舐めますように眺めているのがこの宴会場の責任者ゴードン。ゴードンは悪い奴じゃないんだけど…
「あぁ、弱っていたのでラドクスに売りましたよ」
「ラドクスに!?炭鉱に売ったのか?それじゃ…」
あっさり売りましたと答えるゴードンだが、レイトはそれを聞いて驚く。そもそもラドクスという人物は「猫使いが荒い」として有名な男。そんな男の元に売られたら最後、ボロ雑巾になるまで働かされた挙句にゴミの様に捨てられるのがオチだろう。レイトはそんな所に猫を売りに行った非常なゴードンを軽蔑の眼差しで見つめる。
「もぉ~、坊ちゃんは何かと猫族に甘すぎですよ!お父上に叱られますぞ」
笑いながらそう言ってレイトを宥める様に抱きつくゴードン。しかし、レイトはそのことに対して納得行かないと言うような表情で会話を続けた。
「猫族って言っても外見は俺達と大して変わらないじゃないか。言葉だって交わせるし」
「ちょっ!軽々しく口にする言葉じゃありませんよ!王族批判と言われ…」
俺としては猫族を奴隷扱いするのは癪に障る。でも、一度その事を口に出すと「王族批判」やら「混血」などと罵られてこの国ではたちまち生きていけなくなっちまう。
「あぁー十分承知だよ!」
レイトは聞き飽きたと言わんばかりに大声を上げてゴードンの話を立ち切ると、そのままその場から立ち去った。
それからしばらくして猫の家が開店。除所に客足も多くなり、いつの間にか店は満席状態。その様子に従業員でないレイトは本館(家)に戻ろうとしたが、その日は新しい猫もやって来たことから興味本位で店に残ることに。
「そういえばさっきよく見なかったけど、新しく来た子ってどんな子かな…屋根裏なら…」
そう思いレイトは荷物置き場でもある店の吹き抜けの屋根裏に向い、店のステージが一望できる場所を陣取って猫ショーが始まるのを今か今かと待ち続けた。
「さぁ、いよいよ今日のショーの時間です。今夜が初ステージとなる期待の新人猫を早速呼んでみましょう…」
客で埋め尽くされた猫の家のステージに立ち、ショーの開始を客達に伝えるゴードン。ゴードンの呼び掛けに思い思いの時間を過ごしていた客達が一斉に黙り込みステージに視線を向ける。
「………んっ!しまった!ついつい寝ちゃったよ」
屋根裏で待機していたレイトはいつの間にか居眠りしてしまっていたが、ショーの前説を行うゴードンの甲高い声ではっと目が覚め上半身を起こす。
「あれ?もうショーは終わったのか?…でも、ゴードンが喋っているってことは」
レイトは慌ただししくステージが見える位置まで移動すると、眼を凝らしてステージを眺める。それと同時にステージの奥からはトボトボと何者かがゴードンに手招きされながら近づいてくる。
「あの子が新人の猫か…」
ステージに現れたのは茶色いクセ毛に猫族特有の耳や尻尾、半獣化した両手足に露出度の高い踊り子の衣装を身にまとった年端も行かぬかわいらしい男の子だった。しかし、その幼い容姿とは裏腹に何処か場慣れしているような感じの雰囲気が漂うその少年。
「……なのです。ですから……お楽しみください」
「おっ、いよいよ始まるのか?」
ゴードンが一通り話を終えてステージから降りると、予め待機していた演奏者達が楽器を奏で始める。
~♪ ~♪ ~♪
店中に響き渡る美しい音色。やがて、ステージに一人残された少年は鳴り響く音楽に合わせるようにして踊り始めた。
「…凄い。俺とそんなに年も違わないハズなのに」
俺はステージの上で堂々と可憐に舞い踊る少年姿に驚くと共に一気にその踊りの虜になり、終始食い入るようにして屋根裏から少年の踊りを眺める。俺は長い間この店で大勢の猫族達の芸を見てきたが、ここまであっさりと心奪われたのは恐らく初めてなんじゃないかと思う。…それ程あの少年の踊りは凄かったんだ。
レイトすっかり少年の踊りに魅せられ、とっくに少年の踊りが終わっているのにも関わらず、トロ~ンとした虚ろな表情で少年の姿を見つめ続けた。
「ブラボ~エクセレント!」
観客達が少年の踊りを称え拍手する中、上機嫌のゴードンがステージに再び上がってきて大声で笑いながら少年の頭をグリグリと撫で回し客達に一礼させると、ゴードンは少年を舞台裏に下がらせる。
「…あぁ、行っちゃった……そうだ!後であの子の所に行ってみよう」
店の中で少年が舞台裏に下がるのを誰よりも惜しむレイト。その後、少年に直接会ってゆっくり話すためレイトは閉店まで屋根裏に潜むことに…
…閉店後
「店は終わったけど、あの子と話しているとこ見られたら色々面倒かも…」
ゴードンなどに見つかると色々うるさいと思ったレイトは、結局ゴードンを含む従業員全員が店から出た後に先程の猫族の少年に会いに行くことにした。
「あれ?坊ちゃんは本館にお戻りになったよな…まぁ、表の鍵を閉めても問題はないと思うけど」
ゴードンはその日の売り上げの金貨を袋に詰めて金庫にしまうと、レイトのことを呟きながら店の照明のランタンを消し歩き、全ての照明の明かりを落とすと店の表口からそそくさと出て行く。
「…よし、これで邪魔者は居なくなったぞ」
レイトは待っていましたと言わんばかりに潜んでいた屋根裏から飛び出し、少年が居ると思われるステージ裏の飼育小屋を目指して走り、難無く飼育小屋に到着したレイト。
そこは飼育小屋と呼ばれるだけあって所々薄汚く、とても寝泊まりできるような場所では無かった。だが、レイトは小屋の所々にある小窓から差し込む月明かりを頼りにどんどん飼育小屋の奥に進む。
やがて、劣悪な環境下で小さな鉄檻の中に閉じ込められている先程の猫族の少年を見つけ出したレイトはその猫が入れられている檻に歩み寄って檻の前でしゃがみ込むと、無言でジロジロと檻の中に閉じ込められている裸の猫族の少年を見つめる。一方、その少年は迷惑そうな表情を浮かべながらレイトを横目に睨みつけながら強気な口調でレイトに話しかけた。
「何だよ、人間。ジロジロ見やがって…そんなに猫族のことが珍しいのか?」
「いやぁ…さっきの踊り凄かったなぁと思って。…ところで服は?」
ついにお目当ての少年と接触できたレイトだが、なぜか猫族の少年は一糸纏わぬ全裸姿だった。レイトはそのことを疑問に思い少年に尋ねるが…
「お前等が取り上げたんだろう…それに僕は好きで踊ってるんじゃない」
少年は少し悲しげな表情を浮かべてそう言うと、桃色のお尻をプリンと揺らしながらレイトに背を向ける。
「ゴードンの奴だな…でも、踊りは好きなんだろ?どう見ても嫌いって風には感じられなかったぞ」
「…で、何の用だよ。僕を鞭で叩きに来たのか?」
「そんなことしないよ!只俺は…君の踊りに感動しただけだ。それで仲良くなれたらなって思ってさ」
俺の話なんてまったく聞こうともしない猫族の少年。会話もかみ合わず、可愛げのない態度を取る少年に何となくムキになった俺は思っていることを勢いで全部言ってしまった。…こんなストレートに思いを伝えずとも勿論無理やり従わせることだって出来る。でも、それじゃ意味が無い。こんな風に奴隷として世間では扱われている猫族に接するのは親父やゴードンの様に猫族を「物」として扱うことが出来ないからなのか。
「…仲良く?だったらここから出せよ!一方的に奴隷扱いしやがって…」
自分なりに対等の立場で少年と在りたいというレイトの思いとは裏腹に、レイトの方に振り返った少年の表情は深い憎悪に包まれていた。そして、仲良くなりたいなら檻から出せと声を荒げてレイトを一喝する少年。
「…檻からは出せないよ。親父に怒られる」
「だったらあっち行け!僕は人間が大嫌いなんだから」
「……」
その言葉に俺は何も言い返せなかった。確かによくよく考えてみれば自身を奴隷扱いする人間なんかと親しくなるなどありえない。もし、自分が少年と同じような立場だったら少年と同じように拒絶すると思うし。幾ら対等の立場で…って思っても一方的じゃ支配者と変わりないよな。
「ごめん…」
「…」
レイトは「ごめん」と謝罪の言葉を少年に告げると、それ以上何も言わずに飼育小屋を後にした。
次の日
その日の宴会が終わり、再び先日の様にゴードンに衣装を脱がされた後、全裸で飼育小屋の檻に入れられる少年。
「今日の餌だ、残さず食えよ」
ゴードンは少年を檻の中に入れて鍵を閉めた後、餌だと言って一匹の生魚を鉄格子の隙間から少年目掛けて放り投げた。
「うぅ…」
本来、猫族は遺伝の関係もあるのだが人間よりも免疫力が強いとされている。しかし、だからといって何でも生で食べる訳では無い。寧ろ猫族も奴隷になるまでは人間のように調理して食べる方が好まれていた。
「そういえば坊ちゃんはどこに…」
何やらブツブツ小言を言いながら飼育小屋から出て行くゴードン。少年はゴードンがその場から消えるや否や投げ込まれた生魚を涙目でさっと拾い上げ、隠すようにしてそれを口に運びムシャムシャと豪快に食べ始める。
「そんなに腹減ってたのか?」
「!」
少年が生魚をペロリとたいらげた直後、物影から姿を現すレイト。突然のことで少年はビクンと身体を震わせて狭い檻の奥に限界まで後ずさりするが、声の主がレイトだと分かるとレイトを物凄い形相で睨みつけてこう言う。
「…お前、また来たのか…覗きなんて悪趣味な奴だ。僕が…」
相変わらず俺に敵意剥き出しの猫族の少年。ホントはゴードンが居なくなったらスグに声を掛けようと思っていたんだけど、生魚に無心でかぶり付く少年の姿につい言葉を失ってその場に立ちすくんでしまった俺…お陰で覗き扱いだ。俺は少年にコレをあげに来ただけなのに。
「これ食べる?ゴードンが買ってきてくれた珍しいお菓子なんだけど…美味しいよ。」
レイトは少年の入れられた檻の前に昨日のようにしゃがみ込むと、少年が喋り終わる前に手に持っていた小さな長方形の木箱から板チョコの様なお菓子を取り出し、それを少年に差し出して食べるかとどうか尋ねる。
「!……餌で釣る気か?」
差し出されたお菓子を凝視しながら、そうレイトに切り返す少年。
「餌?これはお菓子だよ。それに、俺はそんなつもりで持って来たんじゃない」
素直にお菓子を受け取ろうとしない少年に俺は真顔でそれは誤解だと言うと、少年はゆっくり右腕を伸ばして俺が差し出すお菓子をフサフサの茶色い毛並みの獣手で受け取った。
「………」
レイトからお菓子を受け取った後、それをジロジロと物珍しそうに眺めていた少年。やがて、少年は目をゆっくりと瞑ると手に持っていたお菓子をいっきに口の中に放り込む。
「……う、美味い…」
「本当?」
俺は少年の「美味い」と言う言葉に何かホットした。口に合わずゲーゲー吐かれたらどうしようかと思っていたけど、味覚は人間と大差無いようだ。
「世の中にこんな美味い物があるなんて…その、あの……分けてくれてありがとう」
余程レイトから貰ったお菓子が美味かったのか、少年は頬を若干赤く染めながら照れ隠しをするようにレイトに背をむけて礼を言う。一方、少年の思わぬ態度の豹変にレイトは笑みをこぼす。
「礼なんていいよ。それに、これからは一緒に食べよう」
「お前…人間のクセにやさしいな。こんな風に接してもらったのは始めてだ…人間に。
…名前さぁ、なんて言うの?僕はミケ」
お菓子をくれたことはともかくとして、連日自分の元に訪れ対等の立場で接してくれたレイトの姿勢に少年は心打たれたのか、ゆっくりとレイトの方に振りかえって名前を尋ねるミケ。
「俺はレイト。やっと名前聞けた…親父達はミケのこと名前で呼ばないからさぁ」
「僕は奴隷だからね…どこでも「物」扱いだよ。でも、レイトは少し違う」
「少しだけかよ」
ミケは俺に完全に心を開いてくれたワケじゃなさそうだけど、ミケとの距離が少し縮まったのは何となく実感できた。だって、ついさっきまで不機嫌だったミケの表情や目付きが、見違えるように変化してたから…
「レイト、これからも僕に会いに来てくれる?…お菓子持って」
「?」
唐突にレイトに向って顔を俯かせてそう告げるミケ。本当はお菓子なんてどうでもいいことだったのだが、流石に「会いに来て」とだけ伝えるのが恥ずかしかったのか、ミケはお菓子目当てだと思わせるような発言を付け加える。
「なにぃ?お菓子目当てですか?」
「…そうだよ」
ミケの本心を知ってか知らずか、レイトはそう言いながら顔をニヤつかせてミケの顔を覗き込む。その時のミケの顔面は見事に真っ赤に染まりきっていた。
「…毎日来るよ。同じ屋根の下で暮らしているんだしさぁ」
「うん」
これが俺とミケの初めての交流だった。
この日以降、俺とミケはお互い何を話したのか忘れるほど会話を積み重ね交わしてどんどんその仲を深めていき、ふと気が付いた時には既にミケは俺にとって必要不可欠な存在になっていた。
そして、俺はある決断をする…
時に蒼天歴480年。~オーランス城下町の宴会場「猫の家」~
「坊ちゃん。見てくださいよこの子!とってもキュートでしょ?」
「おいおい、また新しい猫を買って来たのか?…前の猫はどうした?」
俺の名前はレイト。宴会場「猫の家」のオーナーであるロードナルの一人息子だ。
それで、俺の目の前で新しく買ってきた猫を舐めますように眺めているのがこの宴会場の責任者ゴードン。ゴードンは悪い奴じゃないんだけど…
「あぁ、弱っていたのでラドクスに売りましたよ」
「ラドクスに!?炭鉱に売ったのか?それじゃ…」
あっさり売りましたと答えるゴードンだが、レイトはそれを聞いて驚く。そもそもラドクスという人物は「猫使いが荒い」として有名な男。そんな男の元に売られたら最後、ボロ雑巾になるまで働かされた挙句にゴミの様に捨てられるのがオチだろう。レイトはそんな所に猫を売りに行った非常なゴードンを軽蔑の眼差しで見つめる。
「もぉ~、坊ちゃんは何かと猫族に甘すぎですよ!お父上に叱られますぞ」
笑いながらそう言ってレイトを宥める様に抱きつくゴードン。しかし、レイトはそのことに対して納得行かないと言うような表情で会話を続けた。
「猫族って言っても外見は俺達と大して変わらないじゃないか。言葉だって交わせるし」
「ちょっ!軽々しく口にする言葉じゃありませんよ!王族批判と言われ…」
俺としては猫族を奴隷扱いするのは癪に障る。でも、一度その事を口に出すと「王族批判」やら「混血」などと罵られてこの国ではたちまち生きていけなくなっちまう。
「あぁー十分承知だよ!」
レイトは聞き飽きたと言わんばかりに大声を上げてゴードンの話を立ち切ると、そのままその場から立ち去った。
それからしばらくして猫の家が開店。除所に客足も多くなり、いつの間にか店は満席状態。その様子に従業員でないレイトは本館(家)に戻ろうとしたが、その日は新しい猫もやって来たことから興味本位で店に残ることに。
「そういえばさっきよく見なかったけど、新しく来た子ってどんな子かな…屋根裏なら…」
そう思いレイトは荷物置き場でもある店の吹き抜けの屋根裏に向い、店のステージが一望できる場所を陣取って猫ショーが始まるのを今か今かと待ち続けた。
「さぁ、いよいよ今日のショーの時間です。今夜が初ステージとなる期待の新人猫を早速呼んでみましょう…」
客で埋め尽くされた猫の家のステージに立ち、ショーの開始を客達に伝えるゴードン。ゴードンの呼び掛けに思い思いの時間を過ごしていた客達が一斉に黙り込みステージに視線を向ける。
「………んっ!しまった!ついつい寝ちゃったよ」
屋根裏で待機していたレイトはいつの間にか居眠りしてしまっていたが、ショーの前説を行うゴードンの甲高い声ではっと目が覚め上半身を起こす。
「あれ?もうショーは終わったのか?…でも、ゴードンが喋っているってことは」
レイトは慌ただししくステージが見える位置まで移動すると、眼を凝らしてステージを眺める。それと同時にステージの奥からはトボトボと何者かがゴードンに手招きされながら近づいてくる。
「あの子が新人の猫か…」
ステージに現れたのは茶色いクセ毛に猫族特有の耳や尻尾、半獣化した両手足に露出度の高い踊り子の衣装を身にまとった年端も行かぬかわいらしい男の子だった。しかし、その幼い容姿とは裏腹に何処か場慣れしているような感じの雰囲気が漂うその少年。
「……なのです。ですから……お楽しみください」
「おっ、いよいよ始まるのか?」
ゴードンが一通り話を終えてステージから降りると、予め待機していた演奏者達が楽器を奏で始める。
~♪ ~♪ ~♪
店中に響き渡る美しい音色。やがて、ステージに一人残された少年は鳴り響く音楽に合わせるようにして踊り始めた。
「…凄い。俺とそんなに年も違わないハズなのに」
俺はステージの上で堂々と可憐に舞い踊る少年姿に驚くと共に一気にその踊りの虜になり、終始食い入るようにして屋根裏から少年の踊りを眺める。俺は長い間この店で大勢の猫族達の芸を見てきたが、ここまであっさりと心奪われたのは恐らく初めてなんじゃないかと思う。…それ程あの少年の踊りは凄かったんだ。
レイトすっかり少年の踊りに魅せられ、とっくに少年の踊りが終わっているのにも関わらず、トロ~ンとした虚ろな表情で少年の姿を見つめ続けた。
「ブラボ~エクセレント!」
観客達が少年の踊りを称え拍手する中、上機嫌のゴードンがステージに再び上がってきて大声で笑いながら少年の頭をグリグリと撫で回し客達に一礼させると、ゴードンは少年を舞台裏に下がらせる。
「…あぁ、行っちゃった……そうだ!後であの子の所に行ってみよう」
店の中で少年が舞台裏に下がるのを誰よりも惜しむレイト。その後、少年に直接会ってゆっくり話すためレイトは閉店まで屋根裏に潜むことに…
…閉店後
「店は終わったけど、あの子と話しているとこ見られたら色々面倒かも…」
ゴードンなどに見つかると色々うるさいと思ったレイトは、結局ゴードンを含む従業員全員が店から出た後に先程の猫族の少年に会いに行くことにした。
「あれ?坊ちゃんは本館にお戻りになったよな…まぁ、表の鍵を閉めても問題はないと思うけど」
ゴードンはその日の売り上げの金貨を袋に詰めて金庫にしまうと、レイトのことを呟きながら店の照明のランタンを消し歩き、全ての照明の明かりを落とすと店の表口からそそくさと出て行く。
「…よし、これで邪魔者は居なくなったぞ」
レイトは待っていましたと言わんばかりに潜んでいた屋根裏から飛び出し、少年が居ると思われるステージ裏の飼育小屋を目指して走り、難無く飼育小屋に到着したレイト。
そこは飼育小屋と呼ばれるだけあって所々薄汚く、とても寝泊まりできるような場所では無かった。だが、レイトは小屋の所々にある小窓から差し込む月明かりを頼りにどんどん飼育小屋の奥に進む。
やがて、劣悪な環境下で小さな鉄檻の中に閉じ込められている先程の猫族の少年を見つけ出したレイトはその猫が入れられている檻に歩み寄って檻の前でしゃがみ込むと、無言でジロジロと檻の中に閉じ込められている裸の猫族の少年を見つめる。一方、その少年は迷惑そうな表情を浮かべながらレイトを横目に睨みつけながら強気な口調でレイトに話しかけた。
「何だよ、人間。ジロジロ見やがって…そんなに猫族のことが珍しいのか?」
「いやぁ…さっきの踊り凄かったなぁと思って。…ところで服は?」
ついにお目当ての少年と接触できたレイトだが、なぜか猫族の少年は一糸纏わぬ全裸姿だった。レイトはそのことを疑問に思い少年に尋ねるが…
「お前等が取り上げたんだろう…それに僕は好きで踊ってるんじゃない」
少年は少し悲しげな表情を浮かべてそう言うと、桃色のお尻をプリンと揺らしながらレイトに背を向ける。
「ゴードンの奴だな…でも、踊りは好きなんだろ?どう見ても嫌いって風には感じられなかったぞ」
「…で、何の用だよ。僕を鞭で叩きに来たのか?」
「そんなことしないよ!只俺は…君の踊りに感動しただけだ。それで仲良くなれたらなって思ってさ」
俺の話なんてまったく聞こうともしない猫族の少年。会話もかみ合わず、可愛げのない態度を取る少年に何となくムキになった俺は思っていることを勢いで全部言ってしまった。…こんなストレートに思いを伝えずとも勿論無理やり従わせることだって出来る。でも、それじゃ意味が無い。こんな風に奴隷として世間では扱われている猫族に接するのは親父やゴードンの様に猫族を「物」として扱うことが出来ないからなのか。
「…仲良く?だったらここから出せよ!一方的に奴隷扱いしやがって…」
自分なりに対等の立場で少年と在りたいというレイトの思いとは裏腹に、レイトの方に振り返った少年の表情は深い憎悪に包まれていた。そして、仲良くなりたいなら檻から出せと声を荒げてレイトを一喝する少年。
「…檻からは出せないよ。親父に怒られる」
「だったらあっち行け!僕は人間が大嫌いなんだから」
「……」
その言葉に俺は何も言い返せなかった。確かによくよく考えてみれば自身を奴隷扱いする人間なんかと親しくなるなどありえない。もし、自分が少年と同じような立場だったら少年と同じように拒絶すると思うし。幾ら対等の立場で…って思っても一方的じゃ支配者と変わりないよな。
「ごめん…」
「…」
レイトは「ごめん」と謝罪の言葉を少年に告げると、それ以上何も言わずに飼育小屋を後にした。
次の日
その日の宴会が終わり、再び先日の様にゴードンに衣装を脱がされた後、全裸で飼育小屋の檻に入れられる少年。
「今日の餌だ、残さず食えよ」
ゴードンは少年を檻の中に入れて鍵を閉めた後、餌だと言って一匹の生魚を鉄格子の隙間から少年目掛けて放り投げた。
「うぅ…」
本来、猫族は遺伝の関係もあるのだが人間よりも免疫力が強いとされている。しかし、だからといって何でも生で食べる訳では無い。寧ろ猫族も奴隷になるまでは人間のように調理して食べる方が好まれていた。
「そういえば坊ちゃんはどこに…」
何やらブツブツ小言を言いながら飼育小屋から出て行くゴードン。少年はゴードンがその場から消えるや否や投げ込まれた生魚を涙目でさっと拾い上げ、隠すようにしてそれを口に運びムシャムシャと豪快に食べ始める。
「そんなに腹減ってたのか?」
「!」
少年が生魚をペロリとたいらげた直後、物影から姿を現すレイト。突然のことで少年はビクンと身体を震わせて狭い檻の奥に限界まで後ずさりするが、声の主がレイトだと分かるとレイトを物凄い形相で睨みつけてこう言う。
「…お前、また来たのか…覗きなんて悪趣味な奴だ。僕が…」
相変わらず俺に敵意剥き出しの猫族の少年。ホントはゴードンが居なくなったらスグに声を掛けようと思っていたんだけど、生魚に無心でかぶり付く少年の姿につい言葉を失ってその場に立ちすくんでしまった俺…お陰で覗き扱いだ。俺は少年にコレをあげに来ただけなのに。
「これ食べる?ゴードンが買ってきてくれた珍しいお菓子なんだけど…美味しいよ。」
レイトは少年の入れられた檻の前に昨日のようにしゃがみ込むと、少年が喋り終わる前に手に持っていた小さな長方形の木箱から板チョコの様なお菓子を取り出し、それを少年に差し出して食べるかとどうか尋ねる。
「!……餌で釣る気か?」
差し出されたお菓子を凝視しながら、そうレイトに切り返す少年。
「餌?これはお菓子だよ。それに、俺はそんなつもりで持って来たんじゃない」
素直にお菓子を受け取ろうとしない少年に俺は真顔でそれは誤解だと言うと、少年はゆっくり右腕を伸ばして俺が差し出すお菓子をフサフサの茶色い毛並みの獣手で受け取った。
「………」
レイトからお菓子を受け取った後、それをジロジロと物珍しそうに眺めていた少年。やがて、少年は目をゆっくりと瞑ると手に持っていたお菓子をいっきに口の中に放り込む。
「……う、美味い…」
「本当?」
俺は少年の「美味い」と言う言葉に何かホットした。口に合わずゲーゲー吐かれたらどうしようかと思っていたけど、味覚は人間と大差無いようだ。
「世の中にこんな美味い物があるなんて…その、あの……分けてくれてありがとう」
余程レイトから貰ったお菓子が美味かったのか、少年は頬を若干赤く染めながら照れ隠しをするようにレイトに背をむけて礼を言う。一方、少年の思わぬ態度の豹変にレイトは笑みをこぼす。
「礼なんていいよ。それに、これからは一緒に食べよう」
「お前…人間のクセにやさしいな。こんな風に接してもらったのは始めてだ…人間に。
…名前さぁ、なんて言うの?僕はミケ」
お菓子をくれたことはともかくとして、連日自分の元に訪れ対等の立場で接してくれたレイトの姿勢に少年は心打たれたのか、ゆっくりとレイトの方に振りかえって名前を尋ねるミケ。
「俺はレイト。やっと名前聞けた…親父達はミケのこと名前で呼ばないからさぁ」
「僕は奴隷だからね…どこでも「物」扱いだよ。でも、レイトは少し違う」
「少しだけかよ」
ミケは俺に完全に心を開いてくれたワケじゃなさそうだけど、ミケとの距離が少し縮まったのは何となく実感できた。だって、ついさっきまで不機嫌だったミケの表情や目付きが、見違えるように変化してたから…
「レイト、これからも僕に会いに来てくれる?…お菓子持って」
「?」
唐突にレイトに向って顔を俯かせてそう告げるミケ。本当はお菓子なんてどうでもいいことだったのだが、流石に「会いに来て」とだけ伝えるのが恥ずかしかったのか、ミケはお菓子目当てだと思わせるような発言を付け加える。
「なにぃ?お菓子目当てですか?」
「…そうだよ」
ミケの本心を知ってか知らずか、レイトはそう言いながら顔をニヤつかせてミケの顔を覗き込む。その時のミケの顔面は見事に真っ赤に染まりきっていた。
「…毎日来るよ。同じ屋根の下で暮らしているんだしさぁ」
「うん」
これが俺とミケの初めての交流だった。
この日以降、俺とミケはお互い何を話したのか忘れるほど会話を積み重ね交わしてどんどんその仲を深めていき、ふと気が付いた時には既にミケは俺にとって必要不可欠な存在になっていた。
そして、俺はある決断をする…
虐げられた猫族 第二話「囚われの2匹」
猫の家本館
見るからに高そうな家具や装飾品に包まれた部屋。そこはレイトの父、ロードナルの部屋だった。その部屋を訪れていたゴードンは、上質な木材と見事な金細工が施された机の椅子にドンと腰掛けている立派な顎髭が特徴のロードナルと何やら話し込んでいた。
「ゴードン。その話は本当か?」
「はい旦那様」
「…何か問題が起こる前に「あの猫」を処分しておけ」
どうやら、ゴードンはレイトとミケの関係についてロードナルに警告程度の告げ口をしに来ていた様だが、その話を聞いたロードナルは息子が猫族と親しくするに大きな危機感いだき、ゴードンにすぐさまミケを処分するようにと命令を下す。
「だ、旦那様?よろしいのですか?坊ちゃんが…」
「処分」という言葉に驚くゴードン。
「何を言うかゴードン!お前が私に警告したのだぞ?いいから処分しろ」
ゴードンの言葉にロードナルは表除を顰めて激怒すると、再度ゴードンにミケを処分しろと強い口調で言い渡した。
「…かしこまりました」
朝起きて、スグに飼育小屋に向い「おはよう」とミケに言うのが俺の日課になっていた。
でも、今日はなぜか居るハズの飼育小屋の檻にミケの姿がない。俺はミケに何かあったのだと思い、そのまま店の近くに住んでいるゴードンの家に全速力で向う。
「おはようございます坊ちゃん。こんな朝早くに何事ですか?」
血相を変えて走ってきたレイトに対し、ケロッとした顔で笑みを浮かべながらレイトに挨拶するゴードン。この時ゴードンは家の前で、朝市で手に入れた食材や酒などを荷車に積み込んで店に運ぶ準備をしていた。
「おい、猫はどうした!」
単刀直入にゴードンにミケのことを尋ねるレイト。
「何のことです坊ちゃん?」
「あの茶色い…」
「あぁ、あの猫ならもう居ませんよ」
「何?それはどういうことだ?何処にやった!!」
ゴードンのもう居ないという言葉に、レイトは思わずゴードンに激しく詰め寄よってミケのことを問いただす。
「あの猫のことはお忘れください…お願いします」
「何処にやったか聞いてるんだ!さっさと答えろ!ゴードン!!」
俺は明らかにミケの行方について何か知っているゴードンの胸倉を思いっきり掴み、大声でミケの行方を問い詰める。すると、ゴードンはついにミケの行方について語り始めた。
「は、放してください坊ちゃん…く、苦しい…がぁ…マタ、マタタビ亭ですぅう!…あの猫はマタタビ亭に」
「マタタビ亭だと!お前…」
マタタビ亭…家の店同様に猫族を使ってショーを行う飲食店だ。でも、マタタビ亭で行われるショーはどれも卑猥なものばかり。恐らくミケも無理やりHなことをさせられるに違いない。そう思った俺はゴードンに幾らでミケを売ったのかさらに聞きだし、ミケを買い戻すために必要な金貨を取りに急いで家に向って走る。
「坊ちゃん!」
「んぁあぁあ…うあぁあぁ!」
薄暗いホールの様な場所にあるステージの上で、全裸姿で両手に手錠を嵌められ、ガタイのいい上半身裸の男に尻尾を撫で回されて喘ぎ声を上げるミケ。
「猫族は尻尾も性感帯なんだよなぁ?」
そう言いながら豪勢なソファーに寄り掛かり、ニヤニヤ不気味な笑みを浮かべながら拘束されて尻尾を弄られているミケを見つめる初老の男。その男の正体はマタタビ亭のオーナー「コスタス」であり、どうやらミケを使って夜のショーの予行練習を行わせている様だ。
「離せぇ…んぁあぁぁあああ!!」
猫族の特徴であり、弱点でもある尻尾。引っ張られたり握られたりした程度では問題は無いのだが、執拗に撫で回し続けたり摩り続けたりすると、対象者に性器を刺激されているかのような感覚を与える。また、先の「獣狩り」戦争では、捕虜になった猫族の拘束方法として複数の猫族の尻尾をまとめて縛りあげるという方法が使われた。
「夜のショーでもその調子で頼むぞ」
相変わらず尻尾を撫で回され、皮の被った未成熟な性器をコスタスや他の従業員に晒しながらピクンピクンと反応させて喘ぐミケ。
「やめぇん…んぁあぁ…」
ミケが尻尾責めされているのと同じくして、ホールの目と鼻の先にあるマタタビ亭入り口では小さな小競り合いが起こっていた。
「通せ!俺はコスタスに用事があるんだ!」
騒ぎの元はミケを取り戻しにマタタビ亭を訪れたレイトあり、レイトはマタタビ亭の入口でコスタスに合わせろと屈強なガードマンに詰め寄る。
「何の騒ぎだ?」
マタタビ亭の入口付近が騒がしくなったことに何事だと部下に尋ねるコスタス。慌てて状
況の確認に向う部下。やがて部下が戻ってくると、レイトがコスタスに合わせろと騒いでいることを伝える。
「ロードナルの息子、レイトの様ですが…コスタス様にお会いしたいとか」
「んぁ…レイト?」
コスタス達の会話に出てきた「レイト」という単語にピクっと反応するミケ。
「構わん、レイトを連れてこい。…おい、客人が来る。このエロ猫を檻に戻しておけ」
レイトを招き入れることにしたコスタスは、部下にミケを檻に戻す様に命令。ミケはレイトが来ると悟って若干の抵抗を行うが、尻尾責めを行っていた男に抱き抱えられるようにして舞台裏に無理やり連れていかれた。
「ようこそレイトくん。商売敵の息子が私に何の用だね?」
ミケとすれ違うようにしてコスタスの居るホールに入ってきたレイト。その表情は穏やかでなく、終始鋭い目つきでコスタスを含む周囲の人間全てを睨み付ける。
「お前の店と家の店を一緒にするな!大体…」
「ワザワザ来たのはそんな話をするためか?」
さっさとレイトを追い出したいのか、要件だけ聞こうとするコスタス。
「いや、今日はある猫を取り返しに来た。売値の2倍の金貨を出すから返してくれ」
「猫?…あぁ、あの子か。悪いが2倍の金貨程度じゃ返せないな」
「何だと?それなら幾らで返してくれる」
「猫の家を店仕舞いしろ。それなら返してやる」
ミケを返して欲しかった猫の店を閉めろと要求してくるコスタス。その条件は奴隷一匹と交換するには到底了承できないようなケタ違いの悪質な要求だった。当然レイトはその条件を即答で拒む。
「なっ!…無理を言うな。俺の店じゃないんだぞ…」
「ふん、結構かわいいなお前」
「???」
唐突に俺をかわいいと言ってきたコスタス。俺は一瞬、コイツ何を言っているんだと思いつつも、どこか冗談では無いというコスタスの表情に悪感を抱く。
「この薬を飲んで俺の言う事を聞くなら猫を返してやる。どうだ?」
そう言ってコスタスは何処からか緑色の液体が入った瓶を取り出すと、それをレイトに差し出す。レイトはコスタスから薬を受け取ると、なんと中身も効果も何も分からない正体不明の薬を、ミケを救い出すという一心だけで一気に飲み干す。その行為は大胆で危険極まりない愚かな振る舞いとしか言いようが無い。
「うっ…約束は…守れよ」
薬を一気に飲み干した後、レイトはコスタスに向ってそう言う。
「!…奴隷一匹のために飲んだ?ふん、おもしろい奴だ」
「さぁ、言われた通り飲…うっ!な、なんだ!体が…うぅううあぁぁあああぁあ!!」
パリンッ!
レイトが手にしていた薬の空き瓶が床に落下し剛快に割れると共に、何の前触れも無く突然苦しみ出すレイト。
全身を駆け巡る説明できないくらいの痛み。こんなの生まれて初めてだった。俺はスグに立っていられなくなりその場に倒れ、床に蹲るようにして痛みを堪える。しかし、次の瞬間には意識が段々無くなって行くのを感じた。
「…ト、レイト!起きてよ、レイト!」
俺の頭に鳴り響く声…その声は俺の名前を叫ぶ声だった。しかも、その声は聞き覚えのある声で…
「んっ?俺…!!ミケ!?ここは…」
ミケに抱きかかえられるようにして眠っていたレイト。意識が戻り寝ぼけ眼でミケの無事を確認してバッと身体を置き上がらせると、レイトの視線の先にはコスタスの姿があった。
「目が覚めたかレイト…いや、子猫のレイトくんと言った方がいいかな?」
「何を…!あ、あぁ…体が…」
俺は思わず言葉を失った。なぜなら、ふと目に入った俺の身体の一部が獣化していたからである。手足の先は鼠色の毛に覆われ、手の平や足の裏にはピンク色の大きな肉球。しかも、よくよく体を探ってみると尻の少し上に尻尾、それと頭部にやわらかい感触。恐らくそれは猫耳だろう…とにかく俺の体は完全に猫族化していた。その衝撃は裸にされていることなどはどうでもよく感じられる程のものだ。
「西の森に住む「魔女」の薬の効果だ。それに貴重な薬なんだぞ?上物の美少年に飲ませ、合法的にペットとして飼おうと思い用意していたんだが…それがロードナルの息子に使う事になるとは」
半笑いしながら猫化したレイトにそう告げるコスタス。
「俺を猫にしてどうするつもりだ!それに…」
「どうする?奴隷の分際で何を言っているのだ?お前等「二匹」は今日から私の店で性商品として働くんだ」
つまり単純な結論から言うと、レイトはコスタスが前々から欲していた「人間」のペットにされてしまったということだ。それは即ちコスタスにいいように騙されたということになる。無論コスタスは端っからミケを手放すつもりは無く、たまたまミケを取り返しにきたレイトが自分好みの美少年だったことから例の薬を飲ませたに過ぎない。
「騙したな!汚いぞ!おい、コスタス!!」
「ふん、猫族との約束なんて私は知らん。さぁ、今夜のショーの予行練習を改めて再開するぞ。また「新しい猫」が手に入ったんだからな」
つい先程にレイトと交わした約束など知らないというコスタス。挙句の果てに猫化させたレイトをミケとセットでショーに出す魂胆のようだ。
「レイト…」
不安げな表情を浮かべながらレイトにピタッと寄り添うミケ。それとは真逆にコスタスを物凄い形相で睨みつけるレイト。
「くっ…」
「ふ~む、とりあえずセックスしろお前等」
唐突にその場で二匹にセックスしろと命令するコスタス。その言葉にミケは意味が分からずポカーンとしていたが、少し性知識のあるレイトは若干顔を赤く染めながらコスタスを怒鳴り付ける。
「ふざけんな!なんで俺達がそんなことしなきゃいけないんだ!大体、ミケも俺も男だぞ」
「美しい少年達の禁断の愛。そこらのアバズレ猫をステージで乱れさせるよりもよっぽどいいじゃないか」
「変態野郎…」
元々コスタスは少年愛傾向が強い人物。ショーに出す猫族は大体がメスの猫族だが、依然からかわいらしい容姿を持った少年達をショーに出そうと計画していたのだ。
「おい、さっさと始めろ。やらないとお前の友達を鞭打つぞ」
そう言ってレイトに鞭をチラつかせるコスタス。
「レイト。僕達どうなっちゃうの?」
二人の会話の意味が今一つ理解できていないミケ。ピクピクと身体を震わせながらレイトにそう尋ねる。
あんな鞭でミケがいたぶられるのを見たく無い。それに、コスタスにミケを傷つけられるくらいなら俺が…そう思った俺は意を決してミケを押し倒す。
「ミケ…少しの間我慢してくれ」
「えっ?うわっ!レイト?やぁ、うんぅ…」
ミケに覆いかぶさるようにして抱きつき接吻を行うレイト。ミケはレイトの突然の接吻に驚き混乱し、軽いパニック状態に陥りジタバタと暴れてレイトの身体を引き剥がそうとする。
「駄目ぇ…レイトぉ…」
その時、偶然にもミケは思いっきりレイトの尻尾を握ってしまった。本来ならば握られた程度は同と言う事の無い尻尾だが、尻尾の感覚に慣れていないレイトにとっては直接前立腺を刺激されたに等しいくらいの快感が身体を突き抜ける。
「ひゃ!尻尾?んぁ、ミケぇ…尻尾から手をぉん!んぁぁあぁ!」
これまで体験したことのない未知なる快感に身体をクネらせるレイト。離せと言っているのに中々尻尾から手を放そうとしないミケに対し、お返しと言わんばかりにミケの尻尾を掴んで撫で回す。
「んぁ!離してぇんレイト…変になっちゃうよぉ。んぁあぁ!」
尻尾の刺激には耐性のあるミケだが、レイトが来るまでの間に弄られていたことや、レイトと裸で抱き合い接吻するという状況で初めから興奮していたこともあり、意図も簡単にミケの尻尾も性感帯と化していた。
「ふふふ、どうやら変態はお前等の方だった様だな。さぁ、遠慮せずにどんどん抱き合って扱きあえ」
さり気無く羞恥心を煽るような言葉を投げかけるコスタス。しかし、もはや今の二匹にはコスタスやその部下達の姿は見えず、言葉も届いていないといった状態となっている。
「はぁあぁん!ミケ、大好きぃだぁん!んぁぁあぁああぁん!」
「僕もぉん、レイトがぁん!んぁあぁあぁ!」
本能で愛し合う二匹。猫族は一度性行為を始めると周りが見えなくなるほど熱くなるというが、今の二匹はまさにそのことを証明していた。やがて、お互いの尻尾を扱き合っていた二匹の性器はムクムクと膨張を始め、あっと言う間に勃起を完了させると、二匹はお互いの勃起した性器を擦り付け合うようにして腰を振りながら抱きあう。
クチュ
「はぁん、うんぁぁあぁあぁ!はぁぁあぁあぁああん!!」
クチュ クチュ
「はぁ、はぁ…んぁ、うんぁぁあああぁああぁん!!」
チュ チュパ チュッチュ
二匹の絶叫混じりの快楽を堪能する喘ぎ声。擦り合う性器から漏れる粘着質ないやらしい音。そして、途切れることのない舌の絡み合う大人の接吻音。性知識の乏しい二人の性行為で性器の挿入は行われないものの、二匹の行為は十分にコスタスを満足させるものだった。
「…ミケぇん、うんぁぁああぁあ!」
「…レイトぉん、もっとぉんキスしてぇん」
「すばらしい!これで二匹に「ちゃんとした性知識」を学ばせれば…この店も安泰だ。…おい、このエロ猫共を夜まで檻で休ませておけ!そうそう、ちゃんとそれぞれ別の檻に入れておくんだぞ。中で続きをやられたら使いものにならんからな」
「かしこまりましたコスタス様!」
コスタスは部下に強引に二匹の性行為を止めさせ、それぞれ別の檻に監禁しろと命令する。しかし、猫族の性行為を止めるのは容易では無く、結局二人を止めるのに大人4人掛かりでやっと抱き合う二人を引き剥がしたという。
最終話に続く
見るからに高そうな家具や装飾品に包まれた部屋。そこはレイトの父、ロードナルの部屋だった。その部屋を訪れていたゴードンは、上質な木材と見事な金細工が施された机の椅子にドンと腰掛けている立派な顎髭が特徴のロードナルと何やら話し込んでいた。
「ゴードン。その話は本当か?」
「はい旦那様」
「…何か問題が起こる前に「あの猫」を処分しておけ」
どうやら、ゴードンはレイトとミケの関係についてロードナルに警告程度の告げ口をしに来ていた様だが、その話を聞いたロードナルは息子が猫族と親しくするに大きな危機感いだき、ゴードンにすぐさまミケを処分するようにと命令を下す。
「だ、旦那様?よろしいのですか?坊ちゃんが…」
「処分」という言葉に驚くゴードン。
「何を言うかゴードン!お前が私に警告したのだぞ?いいから処分しろ」
ゴードンの言葉にロードナルは表除を顰めて激怒すると、再度ゴードンにミケを処分しろと強い口調で言い渡した。
「…かしこまりました」
朝起きて、スグに飼育小屋に向い「おはよう」とミケに言うのが俺の日課になっていた。
でも、今日はなぜか居るハズの飼育小屋の檻にミケの姿がない。俺はミケに何かあったのだと思い、そのまま店の近くに住んでいるゴードンの家に全速力で向う。
「おはようございます坊ちゃん。こんな朝早くに何事ですか?」
血相を変えて走ってきたレイトに対し、ケロッとした顔で笑みを浮かべながらレイトに挨拶するゴードン。この時ゴードンは家の前で、朝市で手に入れた食材や酒などを荷車に積み込んで店に運ぶ準備をしていた。
「おい、猫はどうした!」
単刀直入にゴードンにミケのことを尋ねるレイト。
「何のことです坊ちゃん?」
「あの茶色い…」
「あぁ、あの猫ならもう居ませんよ」
「何?それはどういうことだ?何処にやった!!」
ゴードンのもう居ないという言葉に、レイトは思わずゴードンに激しく詰め寄よってミケのことを問いただす。
「あの猫のことはお忘れください…お願いします」
「何処にやったか聞いてるんだ!さっさと答えろ!ゴードン!!」
俺は明らかにミケの行方について何か知っているゴードンの胸倉を思いっきり掴み、大声でミケの行方を問い詰める。すると、ゴードンはついにミケの行方について語り始めた。
「は、放してください坊ちゃん…く、苦しい…がぁ…マタ、マタタビ亭ですぅう!…あの猫はマタタビ亭に」
「マタタビ亭だと!お前…」
マタタビ亭…家の店同様に猫族を使ってショーを行う飲食店だ。でも、マタタビ亭で行われるショーはどれも卑猥なものばかり。恐らくミケも無理やりHなことをさせられるに違いない。そう思った俺はゴードンに幾らでミケを売ったのかさらに聞きだし、ミケを買い戻すために必要な金貨を取りに急いで家に向って走る。
「坊ちゃん!」
「んぁあぁあ…うあぁあぁ!」
薄暗いホールの様な場所にあるステージの上で、全裸姿で両手に手錠を嵌められ、ガタイのいい上半身裸の男に尻尾を撫で回されて喘ぎ声を上げるミケ。
「猫族は尻尾も性感帯なんだよなぁ?」
そう言いながら豪勢なソファーに寄り掛かり、ニヤニヤ不気味な笑みを浮かべながら拘束されて尻尾を弄られているミケを見つめる初老の男。その男の正体はマタタビ亭のオーナー「コスタス」であり、どうやらミケを使って夜のショーの予行練習を行わせている様だ。
「離せぇ…んぁあぁぁあああ!!」
猫族の特徴であり、弱点でもある尻尾。引っ張られたり握られたりした程度では問題は無いのだが、執拗に撫で回し続けたり摩り続けたりすると、対象者に性器を刺激されているかのような感覚を与える。また、先の「獣狩り」戦争では、捕虜になった猫族の拘束方法として複数の猫族の尻尾をまとめて縛りあげるという方法が使われた。
「夜のショーでもその調子で頼むぞ」
相変わらず尻尾を撫で回され、皮の被った未成熟な性器をコスタスや他の従業員に晒しながらピクンピクンと反応させて喘ぐミケ。
「やめぇん…んぁあぁ…」
ミケが尻尾責めされているのと同じくして、ホールの目と鼻の先にあるマタタビ亭入り口では小さな小競り合いが起こっていた。
「通せ!俺はコスタスに用事があるんだ!」
騒ぎの元はミケを取り戻しにマタタビ亭を訪れたレイトあり、レイトはマタタビ亭の入口でコスタスに合わせろと屈強なガードマンに詰め寄る。
「何の騒ぎだ?」
マタタビ亭の入口付近が騒がしくなったことに何事だと部下に尋ねるコスタス。慌てて状
況の確認に向う部下。やがて部下が戻ってくると、レイトがコスタスに合わせろと騒いでいることを伝える。
「ロードナルの息子、レイトの様ですが…コスタス様にお会いしたいとか」
「んぁ…レイト?」
コスタス達の会話に出てきた「レイト」という単語にピクっと反応するミケ。
「構わん、レイトを連れてこい。…おい、客人が来る。このエロ猫を檻に戻しておけ」
レイトを招き入れることにしたコスタスは、部下にミケを檻に戻す様に命令。ミケはレイトが来ると悟って若干の抵抗を行うが、尻尾責めを行っていた男に抱き抱えられるようにして舞台裏に無理やり連れていかれた。
「ようこそレイトくん。商売敵の息子が私に何の用だね?」
ミケとすれ違うようにしてコスタスの居るホールに入ってきたレイト。その表情は穏やかでなく、終始鋭い目つきでコスタスを含む周囲の人間全てを睨み付ける。
「お前の店と家の店を一緒にするな!大体…」
「ワザワザ来たのはそんな話をするためか?」
さっさとレイトを追い出したいのか、要件だけ聞こうとするコスタス。
「いや、今日はある猫を取り返しに来た。売値の2倍の金貨を出すから返してくれ」
「猫?…あぁ、あの子か。悪いが2倍の金貨程度じゃ返せないな」
「何だと?それなら幾らで返してくれる」
「猫の家を店仕舞いしろ。それなら返してやる」
ミケを返して欲しかった猫の店を閉めろと要求してくるコスタス。その条件は奴隷一匹と交換するには到底了承できないようなケタ違いの悪質な要求だった。当然レイトはその条件を即答で拒む。
「なっ!…無理を言うな。俺の店じゃないんだぞ…」
「ふん、結構かわいいなお前」
「???」
唐突に俺をかわいいと言ってきたコスタス。俺は一瞬、コイツ何を言っているんだと思いつつも、どこか冗談では無いというコスタスの表情に悪感を抱く。
「この薬を飲んで俺の言う事を聞くなら猫を返してやる。どうだ?」
そう言ってコスタスは何処からか緑色の液体が入った瓶を取り出すと、それをレイトに差し出す。レイトはコスタスから薬を受け取ると、なんと中身も効果も何も分からない正体不明の薬を、ミケを救い出すという一心だけで一気に飲み干す。その行為は大胆で危険極まりない愚かな振る舞いとしか言いようが無い。
「うっ…約束は…守れよ」
薬を一気に飲み干した後、レイトはコスタスに向ってそう言う。
「!…奴隷一匹のために飲んだ?ふん、おもしろい奴だ」
「さぁ、言われた通り飲…うっ!な、なんだ!体が…うぅううあぁぁあああぁあ!!」
パリンッ!
レイトが手にしていた薬の空き瓶が床に落下し剛快に割れると共に、何の前触れも無く突然苦しみ出すレイト。
全身を駆け巡る説明できないくらいの痛み。こんなの生まれて初めてだった。俺はスグに立っていられなくなりその場に倒れ、床に蹲るようにして痛みを堪える。しかし、次の瞬間には意識が段々無くなって行くのを感じた。
「…ト、レイト!起きてよ、レイト!」
俺の頭に鳴り響く声…その声は俺の名前を叫ぶ声だった。しかも、その声は聞き覚えのある声で…
「んっ?俺…!!ミケ!?ここは…」
ミケに抱きかかえられるようにして眠っていたレイト。意識が戻り寝ぼけ眼でミケの無事を確認してバッと身体を置き上がらせると、レイトの視線の先にはコスタスの姿があった。
「目が覚めたかレイト…いや、子猫のレイトくんと言った方がいいかな?」
「何を…!あ、あぁ…体が…」
俺は思わず言葉を失った。なぜなら、ふと目に入った俺の身体の一部が獣化していたからである。手足の先は鼠色の毛に覆われ、手の平や足の裏にはピンク色の大きな肉球。しかも、よくよく体を探ってみると尻の少し上に尻尾、それと頭部にやわらかい感触。恐らくそれは猫耳だろう…とにかく俺の体は完全に猫族化していた。その衝撃は裸にされていることなどはどうでもよく感じられる程のものだ。
「西の森に住む「魔女」の薬の効果だ。それに貴重な薬なんだぞ?上物の美少年に飲ませ、合法的にペットとして飼おうと思い用意していたんだが…それがロードナルの息子に使う事になるとは」
半笑いしながら猫化したレイトにそう告げるコスタス。
「俺を猫にしてどうするつもりだ!それに…」
「どうする?奴隷の分際で何を言っているのだ?お前等「二匹」は今日から私の店で性商品として働くんだ」
つまり単純な結論から言うと、レイトはコスタスが前々から欲していた「人間」のペットにされてしまったということだ。それは即ちコスタスにいいように騙されたということになる。無論コスタスは端っからミケを手放すつもりは無く、たまたまミケを取り返しにきたレイトが自分好みの美少年だったことから例の薬を飲ませたに過ぎない。
「騙したな!汚いぞ!おい、コスタス!!」
「ふん、猫族との約束なんて私は知らん。さぁ、今夜のショーの予行練習を改めて再開するぞ。また「新しい猫」が手に入ったんだからな」
つい先程にレイトと交わした約束など知らないというコスタス。挙句の果てに猫化させたレイトをミケとセットでショーに出す魂胆のようだ。
「レイト…」
不安げな表情を浮かべながらレイトにピタッと寄り添うミケ。それとは真逆にコスタスを物凄い形相で睨みつけるレイト。
「くっ…」
「ふ~む、とりあえずセックスしろお前等」
唐突にその場で二匹にセックスしろと命令するコスタス。その言葉にミケは意味が分からずポカーンとしていたが、少し性知識のあるレイトは若干顔を赤く染めながらコスタスを怒鳴り付ける。
「ふざけんな!なんで俺達がそんなことしなきゃいけないんだ!大体、ミケも俺も男だぞ」
「美しい少年達の禁断の愛。そこらのアバズレ猫をステージで乱れさせるよりもよっぽどいいじゃないか」
「変態野郎…」
元々コスタスは少年愛傾向が強い人物。ショーに出す猫族は大体がメスの猫族だが、依然からかわいらしい容姿を持った少年達をショーに出そうと計画していたのだ。
「おい、さっさと始めろ。やらないとお前の友達を鞭打つぞ」
そう言ってレイトに鞭をチラつかせるコスタス。
「レイト。僕達どうなっちゃうの?」
二人の会話の意味が今一つ理解できていないミケ。ピクピクと身体を震わせながらレイトにそう尋ねる。
あんな鞭でミケがいたぶられるのを見たく無い。それに、コスタスにミケを傷つけられるくらいなら俺が…そう思った俺は意を決してミケを押し倒す。
「ミケ…少しの間我慢してくれ」
「えっ?うわっ!レイト?やぁ、うんぅ…」
ミケに覆いかぶさるようにして抱きつき接吻を行うレイト。ミケはレイトの突然の接吻に驚き混乱し、軽いパニック状態に陥りジタバタと暴れてレイトの身体を引き剥がそうとする。
「駄目ぇ…レイトぉ…」
その時、偶然にもミケは思いっきりレイトの尻尾を握ってしまった。本来ならば握られた程度は同と言う事の無い尻尾だが、尻尾の感覚に慣れていないレイトにとっては直接前立腺を刺激されたに等しいくらいの快感が身体を突き抜ける。
「ひゃ!尻尾?んぁ、ミケぇ…尻尾から手をぉん!んぁぁあぁ!」
これまで体験したことのない未知なる快感に身体をクネらせるレイト。離せと言っているのに中々尻尾から手を放そうとしないミケに対し、お返しと言わんばかりにミケの尻尾を掴んで撫で回す。
「んぁ!離してぇんレイト…変になっちゃうよぉ。んぁあぁ!」
尻尾の刺激には耐性のあるミケだが、レイトが来るまでの間に弄られていたことや、レイトと裸で抱き合い接吻するという状況で初めから興奮していたこともあり、意図も簡単にミケの尻尾も性感帯と化していた。
「ふふふ、どうやら変態はお前等の方だった様だな。さぁ、遠慮せずにどんどん抱き合って扱きあえ」
さり気無く羞恥心を煽るような言葉を投げかけるコスタス。しかし、もはや今の二匹にはコスタスやその部下達の姿は見えず、言葉も届いていないといった状態となっている。
「はぁあぁん!ミケ、大好きぃだぁん!んぁぁあぁああぁん!」
「僕もぉん、レイトがぁん!んぁあぁあぁ!」
本能で愛し合う二匹。猫族は一度性行為を始めると周りが見えなくなるほど熱くなるというが、今の二匹はまさにそのことを証明していた。やがて、お互いの尻尾を扱き合っていた二匹の性器はムクムクと膨張を始め、あっと言う間に勃起を完了させると、二匹はお互いの勃起した性器を擦り付け合うようにして腰を振りながら抱きあう。
クチュ
「はぁん、うんぁぁあぁあぁ!はぁぁあぁあぁああん!!」
クチュ クチュ
「はぁ、はぁ…んぁ、うんぁぁあああぁああぁん!!」
チュ チュパ チュッチュ
二匹の絶叫混じりの快楽を堪能する喘ぎ声。擦り合う性器から漏れる粘着質ないやらしい音。そして、途切れることのない舌の絡み合う大人の接吻音。性知識の乏しい二人の性行為で性器の挿入は行われないものの、二匹の行為は十分にコスタスを満足させるものだった。
「…ミケぇん、うんぁぁああぁあ!」
「…レイトぉん、もっとぉんキスしてぇん」
「すばらしい!これで二匹に「ちゃんとした性知識」を学ばせれば…この店も安泰だ。…おい、このエロ猫共を夜まで檻で休ませておけ!そうそう、ちゃんとそれぞれ別の檻に入れておくんだぞ。中で続きをやられたら使いものにならんからな」
「かしこまりましたコスタス様!」
コスタスは部下に強引に二匹の性行為を止めさせ、それぞれ別の檻に監禁しろと命令する。しかし、猫族の性行為を止めるのは容易では無く、結局二人を止めるのに大人4人掛かりでやっと抱き合う二人を引き剥がしたという。
最終話に続く
混血種の少年 その1
この野営陣に配置変えされてから早3日。特に大規模な戦闘などは行われず、戦争嫌いのの僕としては万々歳だ。まぁ、実際戦闘が始まっても、僕の任務は兵糧の管理だから戦う訳じゃ無いけど…
「んぅ…んぁ」
「またか」
食糧庫で兵糧のチェックをする少年兵に耳に届く奇妙な音。その音に少反応した少年兵は作業を中断し、そっと食糧庫から抜け出して周囲に点々と輝く松明の光を頼りに薄暗い野営陣を見渡す。
「う~ん、結構近いな」
ここに来てから毎日だが、日が暮れた後に何処からか情けない喘ぎ声のような物が聞こえてくる。正直、僕は昨日からその音源が気になってしょうがない。任務である兵糧数のチェックも落ち着いて行なえやしないってくらいに…だから、今日はその「声か音」の正体を確かめに行こうと思うんだ。
少年兵は微かに聞える音を頼りに、一人野営陣をウロウロと彷徨い歩く。
やがて、一つの明かりの灯っていないテントの前で足を止める少年兵。どうやら奇妙な音はこのテントから漏れていた音の様だ。
(なんで真っ暗?)
テントの中から人の気配と何かの呻き声の様な物が聞こえるが、なぜかテントの中は真っ暗。僕は恐る恐るそのテントに忍び足で近づき、そっと偶然見つけたテントの隙間から中の様子を窺う。
(何も…)
最初は覗きこんでも中の様子は暗くて分からなかったが、その時ちょうど雲に隠れていた月が都合良く姿を現し、野営陣全体を月明かりが照らしだす。それによって少年兵は中の様子を垣間見ることが出来た。
(あっ…)
しかし、月明かりによって照らされた暗闇のテントの中では少年兵の想像を絶するような光景が広がっており、それを目にした少年兵は思わずその光景を凝視する。
(!?ど、どういうことだ?子供が兵士に乱暴されているのか?いや、でもあれは…亞人?)
なんと、暗闇のテントの中で行われていたのは駐屯兵達による亞人への性的暴力だった。しかも、暴行されているのは少年兵と同じ年くらいの少年だ。それは殺伐とした戦場で一部の兵士が起こす厄介事の一つなのだろうが、年齢が年齢だけにその行為を目撃した少年兵はショックでその場に力なく座り込む。
(なんで…あんな酷いことを…)
「んぁ…んぅん…んぁぁあぁあ!!」
「へへっ、尻尾が性感帯なのは猫族と同じだな。ダラダラあそこからいやらしい汁を垂らしやがって…興奮するだろぉ」
「おい、そろそろ俺と場所代われよ!手こきじゃ満足できねぇ」
(くっ…)
テントの外に漏れる内部の外道なやり取りにだんだんと怒を感じていく少年兵。一方、外で少年兵がテント内の様子を窺っていることなど知らない3人の兵士達は、当然の様な態度で亞人の少年をタライ回しに凌辱し続ける。
(あの子を助けないと…亞人だからってほっとけないよ!)
僕は、どうにかして中で暴行されている亞人の少年を助けられないかと考え、ある事を思いつく。
「敵襲!敵の襲撃だ!各自持ち場に急行せよ!」
突如、静まり返った野営陣に響き渡る敵襲を伝える大きな声。その直後、野営陣に張られた複数のテントから一斉に兵士達が飛び出し、野営陣は一瞬で活気溢れる軍事施設へと変貌を遂げた。
また、薄暗いテント内で亞人の少年を凌辱していた兵士達もその例外で無く、3人の兵士は慌ただしく服と鎧を身にまとい剣を片手にテントを飛び出していく。
「よっしゃ!今のうちにあの子を逃がさなくちゃ」
3人組みが遠退いて行くのを確認し、騒ぎに便乗して動き出す少年兵。そもそも、この混乱は少年兵が起こしたものであり、当然ながら野営陣は襲撃などされていない。少年兵はなるべく自身の起こした騒ぎが長続きするように天に願うと、目の前のテントの中に入り込む。
「ん?誰?」
テントの中に入ると、中にはボーッとした様子で少年兵を眺める亞人の少年の姿があった。
「もう大丈夫だよ!さぁ、早く今のうちにここから逃げるんだ」
亞人の少年は一糸纏わぬ全裸姿であり、その全身は白く濁った液体によって満遍なく汚されている。出来ればタオルや服を差し出してあげたいところだけど今はそんな余裕も無く、
僕はとにかく亞人の少年をここから今すぐ脱出させることを優先した。でも、そんな僕の申し出に対して亞人の少年は、思いもよらぬ返答を僕に告げる。
「…なんで?」
「えっ?えぇ!?」
亞人の少年の言葉に驚く少年兵。一瞬時が止まったかのように少年兵はその場に凍りつく。
「なんで逃げるの?」
「いや、だって…なんで…お前」
ポカンとした表情で僕を見つめてくる亞人の少年。騒ぎまで起こして連れだそうとしたのに…なんだかしらないけど余計なことだったようだ。でも、あんなことされて嬉しがる奴なんて居るか?いや、そんな奴が居る訳が無い!僕は即座にそう判断し直し、強引にでも亞人の少年を連れ出すことにした。
「ほら、行くぞ!さぁ!」
「わっぁ!離してよぉ」
「うるさい!君は黙って僕についてくればいいのっ!」
「う、うん…」
半ば強引に少年兵は亞人の少年の腕を掴むと、亞人の少年をまるで連れ去るようにして無理やりテントから連れ出す。そして、そのまま依然として誤報で混乱している野営陣内を自分の管理下である食糧庫まで人目を避けて連れ帰った。
「ここ何処?お兄ちゃんは?」
「…」
透き通った宝石の様な眼差しで少年兵を見つめ、少年兵に色々と問いかけてくる亞人の少年。一方、一時の正義感で勝手に亞人の少年を連れ出してしまった少年兵は、今更ながら冷静に自分の行ったことを振り返る。
うぅ、衝動的に亞人の少年を連れ出してしまったけど、正直「なぜ?こんなことを」で頭が一杯だ。僕は人員不足のアルバイトで階級も無いし…はぁ、これからどうしよう…
「ねぇ、ねぇ」
「なんだよ」
「お兄ちゃんは誰なの?お客サン?ここは何処?」
「えっと…僕はパック。この食糧庫の番人だよ。ところで君は捕虜かなにか?メチャクチャな乱暴を受けていたみたいだけど…」
「捕虜?乱暴?…僕はねぇ、兵士さん達にご奉仕していただけだよぉ♪」
「なっ…」
あれを笑顔でご奉仕?僕は一瞬、薬かなにかでこの子が操られているかと思った。でも、それは見当違いで…現実はもっと…
「あのねぇ、兵士さん達の棒から白いのがいっぱい出てくると、兵士さん達は僕を褒めてくれるんだよ!それに、お尻に…」
「もういいよ!そんな話…聞きたく無い」
聞けば、この亞人の少年は親も名前も無い天涯孤独の孤児で、育て親の商人の言い付けで男達の相手をしてきたらしい。まぁ、小さいころから毎日あたりまえの様にあんな行為させられていれば、こんな不思議ちゃん風になってしまっているのも納得できる。
(でも、これからどうしよう…もちろん商人の元に返すのは駄目だ)
亞人の少年の身の上を知ることが出来たパックは、急にその場に座り込んで目を瞑り、連れだした亞人の少年の今後のことについて真剣に考え始める。その間、肝心の亞人の少年は物珍しそうに食糧庫内をキョロキョロと見渡しはするが、決してパックから離れようとはしなかった。
そして、しばらくの沈黙の後、ついにパックはある決断を下す。
「僕の家に来ないか?」
「?」
パックが最終的に思いついたことは、亞人の少年を自らが引き取るという選択肢だった。その言葉に亞人の少年は「なぜ?」というような表情でパックを見つめているが、反対にその提案を拒むことも無い。というよりも、成長環境の要因なのか少年に何かを自身の判断で確定するような明確な自我は芽生えておらず、少し強引に迫れば安易に受け入れてしまう性質のようだ。
「とりあえず、食糧庫のアルバイトが終わるまで君は僕の子分ってことで。分かった?」
「う、うん…」
それから一週間後、上層部が危惧していた敵国からの襲撃はまったく無く、これ以上の駐屯は無意味だと判断され、パックの居る部隊は本国に撤退することになった。無論、その間パックは亞人の少年を兵士に変装させたり、色々と追手の目から逃れるために奔走。撤退が決まった時には駐屯兵の誰よりも喜んだと言う。
「んぅ…んぁ」
「またか」
食糧庫で兵糧のチェックをする少年兵に耳に届く奇妙な音。その音に少反応した少年兵は作業を中断し、そっと食糧庫から抜け出して周囲に点々と輝く松明の光を頼りに薄暗い野営陣を見渡す。
「う~ん、結構近いな」
ここに来てから毎日だが、日が暮れた後に何処からか情けない喘ぎ声のような物が聞こえてくる。正直、僕は昨日からその音源が気になってしょうがない。任務である兵糧数のチェックも落ち着いて行なえやしないってくらいに…だから、今日はその「声か音」の正体を確かめに行こうと思うんだ。
少年兵は微かに聞える音を頼りに、一人野営陣をウロウロと彷徨い歩く。
やがて、一つの明かりの灯っていないテントの前で足を止める少年兵。どうやら奇妙な音はこのテントから漏れていた音の様だ。
(なんで真っ暗?)
テントの中から人の気配と何かの呻き声の様な物が聞こえるが、なぜかテントの中は真っ暗。僕は恐る恐るそのテントに忍び足で近づき、そっと偶然見つけたテントの隙間から中の様子を窺う。
(何も…)
最初は覗きこんでも中の様子は暗くて分からなかったが、その時ちょうど雲に隠れていた月が都合良く姿を現し、野営陣全体を月明かりが照らしだす。それによって少年兵は中の様子を垣間見ることが出来た。
(あっ…)
しかし、月明かりによって照らされた暗闇のテントの中では少年兵の想像を絶するような光景が広がっており、それを目にした少年兵は思わずその光景を凝視する。
(!?ど、どういうことだ?子供が兵士に乱暴されているのか?いや、でもあれは…亞人?)
なんと、暗闇のテントの中で行われていたのは駐屯兵達による亞人への性的暴力だった。しかも、暴行されているのは少年兵と同じ年くらいの少年だ。それは殺伐とした戦場で一部の兵士が起こす厄介事の一つなのだろうが、年齢が年齢だけにその行為を目撃した少年兵はショックでその場に力なく座り込む。
(なんで…あんな酷いことを…)
「んぁ…んぅん…んぁぁあぁあ!!」
「へへっ、尻尾が性感帯なのは猫族と同じだな。ダラダラあそこからいやらしい汁を垂らしやがって…興奮するだろぉ」
「おい、そろそろ俺と場所代われよ!手こきじゃ満足できねぇ」
(くっ…)
テントの外に漏れる内部の外道なやり取りにだんだんと怒を感じていく少年兵。一方、外で少年兵がテント内の様子を窺っていることなど知らない3人の兵士達は、当然の様な態度で亞人の少年をタライ回しに凌辱し続ける。
(あの子を助けないと…亞人だからってほっとけないよ!)
僕は、どうにかして中で暴行されている亞人の少年を助けられないかと考え、ある事を思いつく。
「敵襲!敵の襲撃だ!各自持ち場に急行せよ!」
突如、静まり返った野営陣に響き渡る敵襲を伝える大きな声。その直後、野営陣に張られた複数のテントから一斉に兵士達が飛び出し、野営陣は一瞬で活気溢れる軍事施設へと変貌を遂げた。
また、薄暗いテント内で亞人の少年を凌辱していた兵士達もその例外で無く、3人の兵士は慌ただしく服と鎧を身にまとい剣を片手にテントを飛び出していく。
「よっしゃ!今のうちにあの子を逃がさなくちゃ」
3人組みが遠退いて行くのを確認し、騒ぎに便乗して動き出す少年兵。そもそも、この混乱は少年兵が起こしたものであり、当然ながら野営陣は襲撃などされていない。少年兵はなるべく自身の起こした騒ぎが長続きするように天に願うと、目の前のテントの中に入り込む。
「ん?誰?」
テントの中に入ると、中にはボーッとした様子で少年兵を眺める亞人の少年の姿があった。
「もう大丈夫だよ!さぁ、早く今のうちにここから逃げるんだ」
亞人の少年は一糸纏わぬ全裸姿であり、その全身は白く濁った液体によって満遍なく汚されている。出来ればタオルや服を差し出してあげたいところだけど今はそんな余裕も無く、
僕はとにかく亞人の少年をここから今すぐ脱出させることを優先した。でも、そんな僕の申し出に対して亞人の少年は、思いもよらぬ返答を僕に告げる。
「…なんで?」
「えっ?えぇ!?」
亞人の少年の言葉に驚く少年兵。一瞬時が止まったかのように少年兵はその場に凍りつく。
「なんで逃げるの?」
「いや、だって…なんで…お前」
ポカンとした表情で僕を見つめてくる亞人の少年。騒ぎまで起こして連れだそうとしたのに…なんだかしらないけど余計なことだったようだ。でも、あんなことされて嬉しがる奴なんて居るか?いや、そんな奴が居る訳が無い!僕は即座にそう判断し直し、強引にでも亞人の少年を連れ出すことにした。
「ほら、行くぞ!さぁ!」
「わっぁ!離してよぉ」
「うるさい!君は黙って僕についてくればいいのっ!」
「う、うん…」
半ば強引に少年兵は亞人の少年の腕を掴むと、亞人の少年をまるで連れ去るようにして無理やりテントから連れ出す。そして、そのまま依然として誤報で混乱している野営陣内を自分の管理下である食糧庫まで人目を避けて連れ帰った。
「ここ何処?お兄ちゃんは?」
「…」
透き通った宝石の様な眼差しで少年兵を見つめ、少年兵に色々と問いかけてくる亞人の少年。一方、一時の正義感で勝手に亞人の少年を連れ出してしまった少年兵は、今更ながら冷静に自分の行ったことを振り返る。
うぅ、衝動的に亞人の少年を連れ出してしまったけど、正直「なぜ?こんなことを」で頭が一杯だ。僕は人員不足のアルバイトで階級も無いし…はぁ、これからどうしよう…
「ねぇ、ねぇ」
「なんだよ」
「お兄ちゃんは誰なの?お客サン?ここは何処?」
「えっと…僕はパック。この食糧庫の番人だよ。ところで君は捕虜かなにか?メチャクチャな乱暴を受けていたみたいだけど…」
「捕虜?乱暴?…僕はねぇ、兵士さん達にご奉仕していただけだよぉ♪」
「なっ…」
あれを笑顔でご奉仕?僕は一瞬、薬かなにかでこの子が操られているかと思った。でも、それは見当違いで…現実はもっと…
「あのねぇ、兵士さん達の棒から白いのがいっぱい出てくると、兵士さん達は僕を褒めてくれるんだよ!それに、お尻に…」
「もういいよ!そんな話…聞きたく無い」
聞けば、この亞人の少年は親も名前も無い天涯孤独の孤児で、育て親の商人の言い付けで男達の相手をしてきたらしい。まぁ、小さいころから毎日あたりまえの様にあんな行為させられていれば、こんな不思議ちゃん風になってしまっているのも納得できる。
(でも、これからどうしよう…もちろん商人の元に返すのは駄目だ)
亞人の少年の身の上を知ることが出来たパックは、急にその場に座り込んで目を瞑り、連れだした亞人の少年の今後のことについて真剣に考え始める。その間、肝心の亞人の少年は物珍しそうに食糧庫内をキョロキョロと見渡しはするが、決してパックから離れようとはしなかった。
そして、しばらくの沈黙の後、ついにパックはある決断を下す。
「僕の家に来ないか?」
「?」
パックが最終的に思いついたことは、亞人の少年を自らが引き取るという選択肢だった。その言葉に亞人の少年は「なぜ?」というような表情でパックを見つめているが、反対にその提案を拒むことも無い。というよりも、成長環境の要因なのか少年に何かを自身の判断で確定するような明確な自我は芽生えておらず、少し強引に迫れば安易に受け入れてしまう性質のようだ。
「とりあえず、食糧庫のアルバイトが終わるまで君は僕の子分ってことで。分かった?」
「う、うん…」
それから一週間後、上層部が危惧していた敵国からの襲撃はまったく無く、これ以上の駐屯は無意味だと判断され、パックの居る部隊は本国に撤退することになった。無論、その間パックは亞人の少年を兵士に変装させたり、色々と追手の目から逃れるために奔走。撤退が決まった時には駐屯兵の誰よりも喜んだと言う。
虐げられた猫族 第三話「新たな道」
本能が爆発し、お互いにハチャメチャになった後、二匹はコスタスの部下に連れられマタタビ亭のステージ裏にある鉄檻に一糸纏わぬ全裸姿で閉じ込められていた。
「ミケ、さっきはゴメン。なんか途中から訳わかんなくなっちゃって…」
「気にしなくていいよ。猫族はHなことになると理性がぶっ飛んじゃうし」
先程のやり取りを思い出しながら、レイトはミケに背を向けて股間を隠すようにして体育座をしながら、シュンと顔を両足の間にグッと埋める。一方、ミケの方は場慣れしているせいもあって、キョロっとした顔で恥じることなく猫族の習性だからとレイトを励ます。
「…今日以外でHなことなんてしたことあるのか?」
ミケの呆気ない態度に突っ込むレイト。
「レイトだって1人でたまにやってるんじゃないの?」
「えっ?…あぁーアレね。でも、まだミケはやる様には見えないんだけど」
ミケの言葉に自分の自慰行為を脳裏に浮かべると、レイトは若干頬を赤く染めながらそう言い返す。
「子供扱いするなよ!………ところで、レイトはどうして僕を連れ戻しに来たの?ここが危険な所だって知ってたんでしょ?」
「そりゃ、お前が俺の友達だからだよ。友達が酷い目に会うって分かっていて放っておく奴はいないだろう」
「だからって、そんな姿にされてまで…」
「でも、これで完全に上下関係無くなっただろう?これからは本当にミケと対等で居られる」
自分のせいだと落ち込むミケに、レイトは特に気にしていない様な素振りでミケにそう告げる。
「僕は…僕は別にレイトが猫族でも人間でもどっちでもいいよ…」
内心では、ミケもレイトの様に考えていない訳では無かったのだが、口には出さないレイトの落ち込んだ背中を見ると、ミケは「そうだね」とは安易に言えなかった。
「まぁ、何にしても…とりあえずココから脱出する方法考えないと。毎日、変態共の前でミケが甚振られるのなんて見たくないし」
「僕だったレイトが酷い目に遭う姿なんて…でも、どうやってココから逃げ出すの?」
「それは考え中…だけど、もしさぁ…無事に逃げ出せたらミケの故郷に連れてってくれよ。猫族の姿じゃ街で暮らして行けないし」
脱出後、ミケの生まれ故郷である猫族の里に連れて行けというレイトの言葉に、少し戸惑いながらもミケはにっこり微笑んで了承する。
「…いいよ。まだ在ればだけど、逃げ出せたら僕の家に招待してあげるね」
ガタっ!
二匹の落ち込んでいた雰囲気が晴れかかったちょうどその時、二匹以外はだれも居ないハズの空間に第三者の存在を告げる物音が鳴り響く。慌てるミケに対し、レイトは物音のした方を鋭い目つきで睨む。
「誰だ?コスタスか?」
「…です。私です!」
薄暗いステージ裏に突如として現れたフード姿の男。男はレイトに慣れなれしく接近してきたと思ったら、二匹が入れられている檻の前で立ち止まり、頭を覆っていたフードをずり下げて顔を露わにする。
「っ!お、お前は…ゴードン!!どうして…」
なんと、フードの男の正体は猫の家の店主であると同時にレイトのお目付け役でもあるゴードンだった。どうやらマタタビ亭から中々戻ってこないレイトを心配して、こっそりマタタビ亭に侵入していた様だ。
「坊ちゃん!その姿は…通りで客間に居ない訳だ。コスタスの奴に「猫賢者の悪ふざけ」を飲まされたんですね。…でも、安心してください坊ちゃん!「逆転の口付け」を急いで用意しますから」
レイトの変わり果てた姿に驚くゴードンだが、特殊な薬品の知識があるのか、二匹が聞いたことも無いような薬の名前をペラペラと口にする。
「逆転の口付け?人間に戻れるのか?」
「勿論ですよ。少々値が張る品ではありますが、坊ちゃんのため…」
「なぁ、ゴードン。それをミケの分も用意してくれ。猫族にも効果あるんだろう?」
「はい……ってえぇえええぇえっ!?」
ミケの分も、というレイトの発言に言葉を失うゴードン。
「レイト?」
「確かに猫族にも効きますが…そいつに飲ませてどうするんですか?勿体ないですよ!」
猫族を普段から見下しているゴードンにとって、レイトの言っていることは到底納得できない要求であり、ゴードンは頑なにレイトの要求を拒む。しかし、逆にレイトも一歩も引かぬという姿勢を貫くつもりなのか、ついにはとんでもないことを言いだし始めた。
「…用意出来ないなら家には帰らない」
「なっ!えぇ!ちょ、坊ちゃん!?何を言い出すんですか?」
「レイト!」
「ミケは黙って…さぁ、ゴードン。二人分用意してくれる気になったか?」
「どうだ」というような、高圧的な態度と眼差しでゴードンを見つめるレイト。
「ぐっ…」
自分の主人であるロードナルの一人息子レイト。お目付け役のゴードンにとっては自身の身より大切な人物だ。万が一にも失うようなことがあれば、当然自分の身も只では済まされないだろう。そんな考えが刹那の間にゴードンの脳裏を横切った。
「うぅ……わ、分かりましたよぉ坊ちゃん。二人分用意させてもらいます…」
結局は猫族がどうこう以前に、自身の身も危険だと感じたゴードンは早々に折れることに。
「分かればよろしい♪」
ガクリと項垂れるゴードンとは対照的に、万弁の笑みを浮かべてミケにⅤサインを出すレイト。ちなみに、レイトは露わになった股間の小振りな物体を隠し忘れるほどに浮かれていた。
「でも、坊ちゃん。そいつを人間にしてどうするんですか?」
「…そうだなぁ…俺の弟にでもするかな…」
「弟ぉお!?」
「僕がぁ!?」
ミケとゴードン、一人と一匹は同時に同じようなリアクションで驚く。
「そ、それは絶対に駄目です!弟は駄目です!従業員として雇うとか…召使にするというだけでも抵抗があるというのに…何より旦那様が黙っていませんよ?」
「そうだよ、レイト!レイトが僕のことを対等に見てくれるのは嬉しいけど、弟はちょっと…」
「なんだよ、俺の弟になるのが嫌なのか?それとも…実は俺より年上だったとか?」
「どっちも違うよ!僕はレイトの友達で居られるだけでいいからさぁ…」
流石にレイトの弟になるのは気が引けるのか、ミケもレイトの意見に賛同はしなかった。だが、どことなくその表情には笑みが混じっていた。
「でも、家族になればミケだって贅沢できるんだぜ?これからは恥ずかしい格好しなくても、好きなように好きな格好で踊れるようにもなるし…」
「それは…」
「それだけは了承できませんからね!…って、聞いていますか坊ちゃん?」
二匹の会話に割って入り、改めてレイトに向かってそう告げるゴードン。その後も危機的状況にも関わらずに口論は継続されたが、ミケも積極的ではないということでミケをレイトの弟にするという話は無くなった。
そして、ようやくゴードンはレイトを人間に戻すために「逆転の口付け」をミケの分含む二匹分用意するために急ぎ足でその場から立ち去る。
「はぁ、でも…こんなに早く元に戻れるなんて…ミケも人間になれるしね」
猫族として暮らしてもいいと言っていたレイトだが、やはり人間の姿が恋しかったのか、元に戻れると分かって安堵するレイト。
一方、ミケの方はこの世界では上位種気取りの人間のことを良い様には思っていないが、実際に自分自身がその人間なるということで複雑な心境を抱いていた…
「う、うん…でもさぁ、僕は本当に人間になれるのかな?」
「大丈夫だって!現に「猫賢者の悪ふざけ」ってクスリは俺を猫に変えちゃった訳だしさぁ」
「……チミ達。なんだかさっきから随分賑やかだねぇ~」
突然響き渡る災厄の声。それはレイトやミケを性玩具として弄ぶコスタスの声だった。
「っ!!」
「コスタス!」
「さぁ、もうすぐショーの時間だよ」
「くっ…」
檻越しに不気味な笑みを浮かべながら二匹を見下ろすコスタス。だが、その様子から、どうやら先程のやり取りは聞かれずに済んだ様だ。しかし、ゴードンがクスリを持ち帰る前にコスタスがショーの開始を宣言するという絶対絶命な状況に追い詰められた二匹。
「ミケ、さっきはゴメン。なんか途中から訳わかんなくなっちゃって…」
「気にしなくていいよ。猫族はHなことになると理性がぶっ飛んじゃうし」
先程のやり取りを思い出しながら、レイトはミケに背を向けて股間を隠すようにして体育座をしながら、シュンと顔を両足の間にグッと埋める。一方、ミケの方は場慣れしているせいもあって、キョロっとした顔で恥じることなく猫族の習性だからとレイトを励ます。
「…今日以外でHなことなんてしたことあるのか?」
ミケの呆気ない態度に突っ込むレイト。
「レイトだって1人でたまにやってるんじゃないの?」
「えっ?…あぁーアレね。でも、まだミケはやる様には見えないんだけど」
ミケの言葉に自分の自慰行為を脳裏に浮かべると、レイトは若干頬を赤く染めながらそう言い返す。
「子供扱いするなよ!………ところで、レイトはどうして僕を連れ戻しに来たの?ここが危険な所だって知ってたんでしょ?」
「そりゃ、お前が俺の友達だからだよ。友達が酷い目に会うって分かっていて放っておく奴はいないだろう」
「だからって、そんな姿にされてまで…」
「でも、これで完全に上下関係無くなっただろう?これからは本当にミケと対等で居られる」
自分のせいだと落ち込むミケに、レイトは特に気にしていない様な素振りでミケにそう告げる。
「僕は…僕は別にレイトが猫族でも人間でもどっちでもいいよ…」
内心では、ミケもレイトの様に考えていない訳では無かったのだが、口には出さないレイトの落ち込んだ背中を見ると、ミケは「そうだね」とは安易に言えなかった。
「まぁ、何にしても…とりあえずココから脱出する方法考えないと。毎日、変態共の前でミケが甚振られるのなんて見たくないし」
「僕だったレイトが酷い目に遭う姿なんて…でも、どうやってココから逃げ出すの?」
「それは考え中…だけど、もしさぁ…無事に逃げ出せたらミケの故郷に連れてってくれよ。猫族の姿じゃ街で暮らして行けないし」
脱出後、ミケの生まれ故郷である猫族の里に連れて行けというレイトの言葉に、少し戸惑いながらもミケはにっこり微笑んで了承する。
「…いいよ。まだ在ればだけど、逃げ出せたら僕の家に招待してあげるね」
ガタっ!
二匹の落ち込んでいた雰囲気が晴れかかったちょうどその時、二匹以外はだれも居ないハズの空間に第三者の存在を告げる物音が鳴り響く。慌てるミケに対し、レイトは物音のした方を鋭い目つきで睨む。
「誰だ?コスタスか?」
「…です。私です!」
薄暗いステージ裏に突如として現れたフード姿の男。男はレイトに慣れなれしく接近してきたと思ったら、二匹が入れられている檻の前で立ち止まり、頭を覆っていたフードをずり下げて顔を露わにする。
「っ!お、お前は…ゴードン!!どうして…」
なんと、フードの男の正体は猫の家の店主であると同時にレイトのお目付け役でもあるゴードンだった。どうやらマタタビ亭から中々戻ってこないレイトを心配して、こっそりマタタビ亭に侵入していた様だ。
「坊ちゃん!その姿は…通りで客間に居ない訳だ。コスタスの奴に「猫賢者の悪ふざけ」を飲まされたんですね。…でも、安心してください坊ちゃん!「逆転の口付け」を急いで用意しますから」
レイトの変わり果てた姿に驚くゴードンだが、特殊な薬品の知識があるのか、二匹が聞いたことも無いような薬の名前をペラペラと口にする。
「逆転の口付け?人間に戻れるのか?」
「勿論ですよ。少々値が張る品ではありますが、坊ちゃんのため…」
「なぁ、ゴードン。それをミケの分も用意してくれ。猫族にも効果あるんだろう?」
「はい……ってえぇえええぇえっ!?」
ミケの分も、というレイトの発言に言葉を失うゴードン。
「レイト?」
「確かに猫族にも効きますが…そいつに飲ませてどうするんですか?勿体ないですよ!」
猫族を普段から見下しているゴードンにとって、レイトの言っていることは到底納得できない要求であり、ゴードンは頑なにレイトの要求を拒む。しかし、逆にレイトも一歩も引かぬという姿勢を貫くつもりなのか、ついにはとんでもないことを言いだし始めた。
「…用意出来ないなら家には帰らない」
「なっ!えぇ!ちょ、坊ちゃん!?何を言い出すんですか?」
「レイト!」
「ミケは黙って…さぁ、ゴードン。二人分用意してくれる気になったか?」
「どうだ」というような、高圧的な態度と眼差しでゴードンを見つめるレイト。
「ぐっ…」
自分の主人であるロードナルの一人息子レイト。お目付け役のゴードンにとっては自身の身より大切な人物だ。万が一にも失うようなことがあれば、当然自分の身も只では済まされないだろう。そんな考えが刹那の間にゴードンの脳裏を横切った。
「うぅ……わ、分かりましたよぉ坊ちゃん。二人分用意させてもらいます…」
結局は猫族がどうこう以前に、自身の身も危険だと感じたゴードンは早々に折れることに。
「分かればよろしい♪」
ガクリと項垂れるゴードンとは対照的に、万弁の笑みを浮かべてミケにⅤサインを出すレイト。ちなみに、レイトは露わになった股間の小振りな物体を隠し忘れるほどに浮かれていた。
「でも、坊ちゃん。そいつを人間にしてどうするんですか?」
「…そうだなぁ…俺の弟にでもするかな…」
「弟ぉお!?」
「僕がぁ!?」
ミケとゴードン、一人と一匹は同時に同じようなリアクションで驚く。
「そ、それは絶対に駄目です!弟は駄目です!従業員として雇うとか…召使にするというだけでも抵抗があるというのに…何より旦那様が黙っていませんよ?」
「そうだよ、レイト!レイトが僕のことを対等に見てくれるのは嬉しいけど、弟はちょっと…」
「なんだよ、俺の弟になるのが嫌なのか?それとも…実は俺より年上だったとか?」
「どっちも違うよ!僕はレイトの友達で居られるだけでいいからさぁ…」
流石にレイトの弟になるのは気が引けるのか、ミケもレイトの意見に賛同はしなかった。だが、どことなくその表情には笑みが混じっていた。
「でも、家族になればミケだって贅沢できるんだぜ?これからは恥ずかしい格好しなくても、好きなように好きな格好で踊れるようにもなるし…」
「それは…」
「それだけは了承できませんからね!…って、聞いていますか坊ちゃん?」
二匹の会話に割って入り、改めてレイトに向かってそう告げるゴードン。その後も危機的状況にも関わらずに口論は継続されたが、ミケも積極的ではないということでミケをレイトの弟にするという話は無くなった。
そして、ようやくゴードンはレイトを人間に戻すために「逆転の口付け」をミケの分含む二匹分用意するために急ぎ足でその場から立ち去る。
「はぁ、でも…こんなに早く元に戻れるなんて…ミケも人間になれるしね」
猫族として暮らしてもいいと言っていたレイトだが、やはり人間の姿が恋しかったのか、元に戻れると分かって安堵するレイト。
一方、ミケの方はこの世界では上位種気取りの人間のことを良い様には思っていないが、実際に自分自身がその人間なるということで複雑な心境を抱いていた…
「う、うん…でもさぁ、僕は本当に人間になれるのかな?」
「大丈夫だって!現に「猫賢者の悪ふざけ」ってクスリは俺を猫に変えちゃった訳だしさぁ」
「……チミ達。なんだかさっきから随分賑やかだねぇ~」
突然響き渡る災厄の声。それはレイトやミケを性玩具として弄ぶコスタスの声だった。
「っ!!」
「コスタス!」
「さぁ、もうすぐショーの時間だよ」
「くっ…」
檻越しに不気味な笑みを浮かべながら二匹を見下ろすコスタス。だが、その様子から、どうやら先程のやり取りは聞かれずに済んだ様だ。しかし、ゴードンがクスリを持ち帰る前にコスタスがショーの開始を宣言するという絶対絶命な状況に追い詰められた二匹。
虐げられた猫族 第4話 「禁断のステージ」
薄暗くて埃っぽい舞台裏の控え室…否、あえて例えるならそこは控え室では無く「控え檻」と言った方が正しいだろう。そんな冷たい鉄の塊で出来ている控え檻に監禁された、一糸纏わぬ全裸姿の幼いオス猫二匹に、汚らわしく欲の塊の様な者達の魔の手が迫る。
…結局、二匹はゴードンが戻ってくるまでの時間を稼ぐことも出来ず、コスタスが不気味な笑みを浮かべながら見守る中、コスタスの部下達によって引きずり出される様にして檻から出される。
「ぐっ、放せぇ!」
ミケは多少なりとも雑な扱いには元々慣れていたが、今日まで人間として…しかも、それなりの財ある家庭で育ったレイトにとっては、自身が家畜の様に扱われるのは耐えられなかったのか、ジタバタと両手足を暴れさせて必死に抵抗を続けるレイト。
「ベタベタ触るなぁ!」
「レイト…」
その様子を見ていたコスタスは、何か閃いたような表情を浮かべると、暴れるレイトに向かってこう言った。
「お前は猫になっても生意気だな、レイト!大人しくしないとミケが酷い目にあうぞ?」
がむしゃらに暴れていたレイトだが、コスタスの言葉を聞いた途端に身体をピクッと反応させる。そして、今まで暴れていたのが信じられないくらい大人しくなり、手荒な扱いに抵抗するのを止めた。
「くっ…」
自分が抵抗すれば、ミケが罰を受ける。傍から見れば単純明解な仕組みではあるが、ある意味では堅牢な鋼鉄の鎖で繋がれているよりもレイトに対しては拘束力のある原理だ。現にレイトは抵抗することを止めているのだから。
「レイト、僕達これから何させられるの?またさっきみたいにアイツ等の前でHなことしないといけないの?」
コスタス達によって、マタタビ亭のステージに移送されている最中、ミケはレイトの耳元で不安げな表情を浮かべながらそう尋ねる。
「そうだけど…今度はさっきより状況が悪いよ。なんたって変態共の前でやらされるんだから…」
半ば諦めた様な表情でそう呟くレイト。
「そんな…」
普段のレイトなら、ミケを安心させるような返答を行っているところだろうが、今の自分にはミケを守るどころか、自分自身だって無力な囚われの身である。頼みの綱のゴードンも間に合わなかった今、レイトに行えることはミケと辱めを共有し、負担を少しでも減らす程度のことだけだった。
冷たい床の感触と緊張でプルプルと震える二匹。その二匹の怯えきった様子をコスタスはニヤニヤ見つめながら移動を続ける。
やがて二人は、ステージ前でコスタスの指示により鎖で繋がった首輪を装着させられ、後ろ手に縄で軽く縛りあげられた後、客達の待っている広間に追いやられる様にしてステージ上に上がらさせられた。
「うっ!」
「やぁ…」
二匹がステージに上がるや否や、広間に居る大勢の客の視線がグッと全裸姿の二匹目掛けて飛び交う。
二匹はその視線に一秒も絶えることが出来ず、すぐさま顔を真っ赤に染めてステージ裏に逃げ込もうとするが、二匹の身体はガッチリとコスタスの部下達によって押さえつけられ、嫌でも客達に全てを曝け出す様な格好を強いられた。
「なんだ?男のガキじゃねぇーか!いつもの淫乱猫はどうしたぁー!」
「そうだそうだー!」
「どういうつもりだ、コスタス!こっちは高い金払って見に…
大勢の人間に全裸姿で拘束されている姿を見られて恥らう二匹をよそに、見物人たちはいつもと違う出し物、しかも男の猫族の登場に対して不満の声が上がり始まる。
「まぁまぁ、落ち着いてくださいみなさん。今日はいつもと違う出し物ですが、きっとすぐに気に入ってもらえると思いますよ。…さぁ、ショータイムだ!お前達、予定通り頼むぞ」
予期せぬ事態に反発する客達をなだめるコスタス。結局、全員の納得を得る前に半ば強引に部下に指示を出してショーの開始を宣言した。
「了解ですコスタス様」
コスタスの指示を受けた部下達は、二匹が逃げられないように片手で身体を抑えつけながら、もう一方の空いた利き手で二匹の肛門から少し上に、にょきっとかわいらしく生えているフサフサの尻尾をぎゅっと掴みあげる。
「くぁ!な、何を…っ!」
「んはぁ!そこに触るなぁ…」
いきなり猫族の性感である尻尾を握られ慌てる二匹、どうにかして尻尾を解放しようと自由の利かない身体を左右に揺さぶるが、抵抗すればするほど尻尾への刺激は反比例するように強くなって深みにハマって行き、いつの間にか行為の制止を訴えていた口ぶりはやマリ、代わりに華細い喘ぎ声が二匹の口から震えた音程で漏れだす。
「はぁぁああぁ!レイトぉ…んはぁ」
「ミケ…くぁぁああぁ!」
尻尾への刺激に加え、二匹へ注がれる客達の眼差しも興奮剤となって二匹を責め立てる。
そして、ついに二匹の性器がピクピクと脈打ち震えだすと、次第に小振りな性器はムクムクとその体積をゆっくり膨らませながら勃起を始めた。
「はぁんぁ…」
「あぁっ!た、たつなぁああぁ!うぁあぁ…見るな!見るなぁあああぁ!」
舞台慣れしていないレイトは、恥ずかしさのあまり必死に大声を上げて性器の勃起を客達の目から離そうとするが、無論それは叶わず結果的に勃起過程を全て客達に晒す羽目になることに。ミケも場慣れしているとはいえ、普段からこういうことをしている訳では無いのでレイト程の慌てぶりはしないものの、涙目になりながら顔を俯かせて恥じらう態度を見せる。
「今日のステージは、みなさんの前でいやらしくチンコを立たせている、この幼い淫乱猫達の乱れ狂う絡み合いをご覧いただきたいと思います」
コスタスが客達に向かってそう言いだした頃には、先程までレイト達の登場に文句を言っていた客達もすっかり二匹に魅せられて黙りこみ、誰もがいやらしい目つきで幼い二匹の欲情していく様を眺めていた。
「ふふふ、客達の反応も上々じゃないか…やはりワシの目に狂いはなかった。まぁ、色々と仕込みたかったということもあるが、これからたっぷり調教していけばいいことだねぇ」
客の様子に満足し、ブツブツとそう呟くコスタス。そして、タイミングを見計らってショーを進める。
「お前達、さっきみたくいやらしく扱きあえ!」
予めショーの進行については部下達と予定を組んでいたのか、コスタスが二匹に向かってそう言うと、二匹を逃げないように押さえつけていた部下達が二匹の縄を解いて解放する。
そして、解放された二匹はコスタスの部下達によってジリジリとステージ先に追い詰められて行く。
「嫌だよぉ…」
「くっ…」
ピタッとレイトの陰に隠れ、震えた声で要求を拒むミケ。一方、レイトはコスタス達を鋭い目つきで睨みつける。しかし、相変わらず二匹の性器はビンビンに勃起したままであり、客達にはプリンプリンの桃尻を余すことなく晒すという見っとも無い様を晒し続けることに。
「さっきも言ったが…」
レイトに向かって何かを言いだそうとするコスタス。だが、コスタスがそれを言い終わる前にレイトがコスタスに答える。
「分かってる!」
コスタスの言うことを拒めばミケが酷い目に会う…ついさっきコスタスに言われた脅し文句がレイトの脳裏を横切っていた。そして、レイトは次の瞬間に行動を起こす。
「…ミケ…ゴメンっ!」
「うわっ!レイト…んっ!んはぁ…やめぇ!」
ミケに向かってゴメンと言った直後、レイトはバッとミケにいきなり抱きつき接吻した。
「んっ…」
二匹の距離が近づくと同時にジャラジャラと二匹を繋ぐ首輪の鎖が音を奏で始める。
ミケはレイトからの不意の接吻に困惑するが、特にそれを拒絶する訳でもなく受け入れた。
チュッ チュパ
ステージの上で鳴り響く二匹の粘着質な接吻音。その様子からは、まるで強制的に行為をさせられているようには到底見えなかった。寧ろ、どうしようもない状況に追い詰められた結果、周囲の目など気にせずに喜んで絡み合っているようにも見える。
「ひゃっ!」
興奮したミケは、クネクネと宙を漂うレイトの尻尾をぎゅっと握り、それと同時にレイトの口から悲鳴のような高音の叫び声が飛び出す。
「レイト…僕ぅ…もぉ…」
そう言いながらレイトの尻尾を、まるで性器を弄る様な手付きで刺激し始めるミケ。また、レイトもミケの尻尾責めにお返しだと言わんばかりにミケの背後を弄り、尻尾を掴んでギュッと握り返した。
「くぁぁあぁ!」
レイト同様に敏感な性感である尻尾を掴まれて叫び声を上げるミケ。
「止まんないよぉ…レイトぉ…んはぁあぁ!」
「ミケぇ…大好きぃだぁ…んっんんぁ!」
二匹は抱き合ったまま、互いの勃起した性器から少し飛び出したピンク色の先端部分をツンツンと擦り合せるようにして擦り付け合い、兜合わせを堪能する。
「くぅふぅんぁぁぁ!はぁ、はぁ…ミケぇえぇ…」
「いいよぉ…もっとツンツンしてぇぇええぇ!ねぇ、レイトぉおぉ…」
いつの間にか行為自体も過激になって行き、既にコスタスの思惑通りの行為を再び無意識に、本能の欲望のままに開始し始める二匹。もはや二人には周りなど見えておらず、ただひたすら性を発散するためにいやらしく絡み合うだけになっていた。
「…ぼ、坊ちゃんが!遅かったか…あぁ、旦那様に何て報告すればいいんだ………でも、坊ちゃんがあんな姿で乱れ、性商品にされている姿を見ていると無性に…」
マタタビ亭の排気口から二匹の乱れた姿を覗き込む人物。それは「逆転の口付け」を取りに行っていたゴードンだった。
「しかし、どうやって坊ちゃんを助けだせば…今飛び出してもあの厳ついコスタス共のボディガードにボコボコにされるのがオチだろうし…ここはショーが終わるまで待っていた方が無難か…」
「逆転の口付け」をレイトの言いつけ通りに2本手に入れたゴードンであったが、肝心のレイトがショーに出されている今、手出しできずに考え込むゴードン。
「んはぁぁあぁ…ミケ…俺ぇ…んぁはぁぁあぁ!!」
「レイトぉ…んはぁぁああぁぁん!!」
人間に戻るクスリをゴードンが既に持ち帰っていることなど知らない二匹は、依然としていやらしい行為をたくさんの客の前で恥じらいも無く続ける。と言っても、本能が暴走している状況ではあまり意味の無いことではあるが…と、そうこうゴードンが慌てている最中、レイトとミケの行為がさらにエスカレートしていく。
クチャ クチュ ビシャアァアアァ!
二匹が激しく身体を擦り付け合ったその時、二匹の性器からは、まるで放尿しているのかというほどガマン汁がダラダラと絶え間なく噴出し始め、2匹の身体は自分達が排出した汁に塗れに。
「はぁぁあぁっ!なんかぁ…違うのぉ出たぁ…」
「すごいでしょぉ…僕らぁ…いっぱいでぇるんだよぉ…」
この現象は元来、生殖能力の高い猫族独自のモノであり、1度や2度の行為で果てること無く何度も繰り返して性行為を行える体の造りになっているという要因から発生するものである。
「レイトぉ…続けよぅ」
「あぁ、はぁぁあぁっ!」
辺りかまわず乱れ狂う二匹の様子に、客達の興奮も天上知らずに上がって行く。その様子に興奮しながらも、予想以上の二匹の働きぶりに喜ぶコスタス…と次の瞬間。誰もが予期していなかった事態が二匹と客、そしてコスタス達を襲う。
また終了させることに失敗してしまった…もう1ヶ月に1話程度書いていこうかな。
…結局、二匹はゴードンが戻ってくるまでの時間を稼ぐことも出来ず、コスタスが不気味な笑みを浮かべながら見守る中、コスタスの部下達によって引きずり出される様にして檻から出される。
「ぐっ、放せぇ!」
ミケは多少なりとも雑な扱いには元々慣れていたが、今日まで人間として…しかも、それなりの財ある家庭で育ったレイトにとっては、自身が家畜の様に扱われるのは耐えられなかったのか、ジタバタと両手足を暴れさせて必死に抵抗を続けるレイト。
「ベタベタ触るなぁ!」
「レイト…」
その様子を見ていたコスタスは、何か閃いたような表情を浮かべると、暴れるレイトに向かってこう言った。
「お前は猫になっても生意気だな、レイト!大人しくしないとミケが酷い目にあうぞ?」
がむしゃらに暴れていたレイトだが、コスタスの言葉を聞いた途端に身体をピクッと反応させる。そして、今まで暴れていたのが信じられないくらい大人しくなり、手荒な扱いに抵抗するのを止めた。
「くっ…」
自分が抵抗すれば、ミケが罰を受ける。傍から見れば単純明解な仕組みではあるが、ある意味では堅牢な鋼鉄の鎖で繋がれているよりもレイトに対しては拘束力のある原理だ。現にレイトは抵抗することを止めているのだから。
「レイト、僕達これから何させられるの?またさっきみたいにアイツ等の前でHなことしないといけないの?」
コスタス達によって、マタタビ亭のステージに移送されている最中、ミケはレイトの耳元で不安げな表情を浮かべながらそう尋ねる。
「そうだけど…今度はさっきより状況が悪いよ。なんたって変態共の前でやらされるんだから…」
半ば諦めた様な表情でそう呟くレイト。
「そんな…」
普段のレイトなら、ミケを安心させるような返答を行っているところだろうが、今の自分にはミケを守るどころか、自分自身だって無力な囚われの身である。頼みの綱のゴードンも間に合わなかった今、レイトに行えることはミケと辱めを共有し、負担を少しでも減らす程度のことだけだった。
冷たい床の感触と緊張でプルプルと震える二匹。その二匹の怯えきった様子をコスタスはニヤニヤ見つめながら移動を続ける。
やがて二人は、ステージ前でコスタスの指示により鎖で繋がった首輪を装着させられ、後ろ手に縄で軽く縛りあげられた後、客達の待っている広間に追いやられる様にしてステージ上に上がらさせられた。
「うっ!」
「やぁ…」
二匹がステージに上がるや否や、広間に居る大勢の客の視線がグッと全裸姿の二匹目掛けて飛び交う。
二匹はその視線に一秒も絶えることが出来ず、すぐさま顔を真っ赤に染めてステージ裏に逃げ込もうとするが、二匹の身体はガッチリとコスタスの部下達によって押さえつけられ、嫌でも客達に全てを曝け出す様な格好を強いられた。
「なんだ?男のガキじゃねぇーか!いつもの淫乱猫はどうしたぁー!」
「そうだそうだー!」
「どういうつもりだ、コスタス!こっちは高い金払って見に…
大勢の人間に全裸姿で拘束されている姿を見られて恥らう二匹をよそに、見物人たちはいつもと違う出し物、しかも男の猫族の登場に対して不満の声が上がり始まる。
「まぁまぁ、落ち着いてくださいみなさん。今日はいつもと違う出し物ですが、きっとすぐに気に入ってもらえると思いますよ。…さぁ、ショータイムだ!お前達、予定通り頼むぞ」
予期せぬ事態に反発する客達をなだめるコスタス。結局、全員の納得を得る前に半ば強引に部下に指示を出してショーの開始を宣言した。
「了解ですコスタス様」
コスタスの指示を受けた部下達は、二匹が逃げられないように片手で身体を抑えつけながら、もう一方の空いた利き手で二匹の肛門から少し上に、にょきっとかわいらしく生えているフサフサの尻尾をぎゅっと掴みあげる。
「くぁ!な、何を…っ!」
「んはぁ!そこに触るなぁ…」
いきなり猫族の性感である尻尾を握られ慌てる二匹、どうにかして尻尾を解放しようと自由の利かない身体を左右に揺さぶるが、抵抗すればするほど尻尾への刺激は反比例するように強くなって深みにハマって行き、いつの間にか行為の制止を訴えていた口ぶりはやマリ、代わりに華細い喘ぎ声が二匹の口から震えた音程で漏れだす。
「はぁぁああぁ!レイトぉ…んはぁ」
「ミケ…くぁぁああぁ!」
尻尾への刺激に加え、二匹へ注がれる客達の眼差しも興奮剤となって二匹を責め立てる。
そして、ついに二匹の性器がピクピクと脈打ち震えだすと、次第に小振りな性器はムクムクとその体積をゆっくり膨らませながら勃起を始めた。
「はぁんぁ…」
「あぁっ!た、たつなぁああぁ!うぁあぁ…見るな!見るなぁあああぁ!」
舞台慣れしていないレイトは、恥ずかしさのあまり必死に大声を上げて性器の勃起を客達の目から離そうとするが、無論それは叶わず結果的に勃起過程を全て客達に晒す羽目になることに。ミケも場慣れしているとはいえ、普段からこういうことをしている訳では無いのでレイト程の慌てぶりはしないものの、涙目になりながら顔を俯かせて恥じらう態度を見せる。
「今日のステージは、みなさんの前でいやらしくチンコを立たせている、この幼い淫乱猫達の乱れ狂う絡み合いをご覧いただきたいと思います」
コスタスが客達に向かってそう言いだした頃には、先程までレイト達の登場に文句を言っていた客達もすっかり二匹に魅せられて黙りこみ、誰もがいやらしい目つきで幼い二匹の欲情していく様を眺めていた。
「ふふふ、客達の反応も上々じゃないか…やはりワシの目に狂いはなかった。まぁ、色々と仕込みたかったということもあるが、これからたっぷり調教していけばいいことだねぇ」
客の様子に満足し、ブツブツとそう呟くコスタス。そして、タイミングを見計らってショーを進める。
「お前達、さっきみたくいやらしく扱きあえ!」
予めショーの進行については部下達と予定を組んでいたのか、コスタスが二匹に向かってそう言うと、二匹を逃げないように押さえつけていた部下達が二匹の縄を解いて解放する。
そして、解放された二匹はコスタスの部下達によってジリジリとステージ先に追い詰められて行く。
「嫌だよぉ…」
「くっ…」
ピタッとレイトの陰に隠れ、震えた声で要求を拒むミケ。一方、レイトはコスタス達を鋭い目つきで睨みつける。しかし、相変わらず二匹の性器はビンビンに勃起したままであり、客達にはプリンプリンの桃尻を余すことなく晒すという見っとも無い様を晒し続けることに。
「さっきも言ったが…」
レイトに向かって何かを言いだそうとするコスタス。だが、コスタスがそれを言い終わる前にレイトがコスタスに答える。
「分かってる!」
コスタスの言うことを拒めばミケが酷い目に会う…ついさっきコスタスに言われた脅し文句がレイトの脳裏を横切っていた。そして、レイトは次の瞬間に行動を起こす。
「…ミケ…ゴメンっ!」
「うわっ!レイト…んっ!んはぁ…やめぇ!」
ミケに向かってゴメンと言った直後、レイトはバッとミケにいきなり抱きつき接吻した。
「んっ…」
二匹の距離が近づくと同時にジャラジャラと二匹を繋ぐ首輪の鎖が音を奏で始める。
ミケはレイトからの不意の接吻に困惑するが、特にそれを拒絶する訳でもなく受け入れた。
チュッ チュパ
ステージの上で鳴り響く二匹の粘着質な接吻音。その様子からは、まるで強制的に行為をさせられているようには到底見えなかった。寧ろ、どうしようもない状況に追い詰められた結果、周囲の目など気にせずに喜んで絡み合っているようにも見える。
「ひゃっ!」
興奮したミケは、クネクネと宙を漂うレイトの尻尾をぎゅっと握り、それと同時にレイトの口から悲鳴のような高音の叫び声が飛び出す。
「レイト…僕ぅ…もぉ…」
そう言いながらレイトの尻尾を、まるで性器を弄る様な手付きで刺激し始めるミケ。また、レイトもミケの尻尾責めにお返しだと言わんばかりにミケの背後を弄り、尻尾を掴んでギュッと握り返した。
「くぁぁあぁ!」
レイト同様に敏感な性感である尻尾を掴まれて叫び声を上げるミケ。
「止まんないよぉ…レイトぉ…んはぁあぁ!」
「ミケぇ…大好きぃだぁ…んっんんぁ!」
二匹は抱き合ったまま、互いの勃起した性器から少し飛び出したピンク色の先端部分をツンツンと擦り合せるようにして擦り付け合い、兜合わせを堪能する。
「くぅふぅんぁぁぁ!はぁ、はぁ…ミケぇえぇ…」
「いいよぉ…もっとツンツンしてぇぇええぇ!ねぇ、レイトぉおぉ…」
いつの間にか行為自体も過激になって行き、既にコスタスの思惑通りの行為を再び無意識に、本能の欲望のままに開始し始める二匹。もはや二人には周りなど見えておらず、ただひたすら性を発散するためにいやらしく絡み合うだけになっていた。
「…ぼ、坊ちゃんが!遅かったか…あぁ、旦那様に何て報告すればいいんだ………でも、坊ちゃんがあんな姿で乱れ、性商品にされている姿を見ていると無性に…」
マタタビ亭の排気口から二匹の乱れた姿を覗き込む人物。それは「逆転の口付け」を取りに行っていたゴードンだった。
「しかし、どうやって坊ちゃんを助けだせば…今飛び出してもあの厳ついコスタス共のボディガードにボコボコにされるのがオチだろうし…ここはショーが終わるまで待っていた方が無難か…」
「逆転の口付け」をレイトの言いつけ通りに2本手に入れたゴードンであったが、肝心のレイトがショーに出されている今、手出しできずに考え込むゴードン。
「んはぁぁあぁ…ミケ…俺ぇ…んぁはぁぁあぁ!!」
「レイトぉ…んはぁぁああぁぁん!!」
人間に戻るクスリをゴードンが既に持ち帰っていることなど知らない二匹は、依然としていやらしい行為をたくさんの客の前で恥じらいも無く続ける。と言っても、本能が暴走している状況ではあまり意味の無いことではあるが…と、そうこうゴードンが慌てている最中、レイトとミケの行為がさらにエスカレートしていく。
クチャ クチュ ビシャアァアアァ!
二匹が激しく身体を擦り付け合ったその時、二匹の性器からは、まるで放尿しているのかというほどガマン汁がダラダラと絶え間なく噴出し始め、2匹の身体は自分達が排出した汁に塗れに。
「はぁぁあぁっ!なんかぁ…違うのぉ出たぁ…」
「すごいでしょぉ…僕らぁ…いっぱいでぇるんだよぉ…」
この現象は元来、生殖能力の高い猫族独自のモノであり、1度や2度の行為で果てること無く何度も繰り返して性行為を行える体の造りになっているという要因から発生するものである。
「レイトぉ…続けよぅ」
「あぁ、はぁぁあぁっ!」
辺りかまわず乱れ狂う二匹の様子に、客達の興奮も天上知らずに上がって行く。その様子に興奮しながらも、予想以上の二匹の働きぶりに喜ぶコスタス…と次の瞬間。誰もが予期していなかった事態が二匹と客、そしてコスタス達を襲う。
また終了させることに失敗してしまった…もう1ヶ月に1話程度書いていこうかな。