?時間目 「シアイ」 (5の2ドノーマル)
時計の針が午前11時半を過ぎた頃、じりじりと蒸し暑い自宅の玄関先の日陰で団扇を片手に何やら作業をしているリョータ。そこにコウジとツバサがリョータを尋ねてやってくる。
「おう、リョータ」
「おはようリョータ!」
「おう…」
いつも元気なリョータだが、その日のリョータは少し様子が変だった。
しかし、その理由は実に単純明快なもの…
「リョータ、お前まさか…ソレって」
「夏休みの宿題のアサガオ観察日記だよね。でも、今日は8月30だし」
コウジ達の視線の先には、クネクネとツタを広げ与えられた鉢植えに窮屈そうに生えているアサガオの姿。どうやらリョータに活気がない理由は、溜まりに溜まった夏休みの宿題を片付けている最中だったからであるようだ。
「あぁーうるさい、うるさぁーぃい!!俺はなぁ、今必死に記憶を遡ってだな…」
本来、観察日記は毎日つけるもの。リョータは今日まで一度も観察日記を書いていないのか、必死に8月初頭のページに虚偽の観察日記をスラスラと書きこんでいく。
その虚偽内容をチラッと覗き見したコウジはリョータに思わず突っ込みを入れた。
「はぁ?バカにそんな記憶力無いだろ?だいたい「変化無し」ばっかりじゃ不自然だろ」
「なんだとコウジ!」
「あぁん?やるか?」
リョータは自身がバカにされたのが気に食わず、それどころでは無いのにも関わらずコウジに食ってかかる。一方、コウジも引かずに逆切れして臨戦態勢に…
「駄目だよ二人とも!!それにリョータはケンカしてる場合じゃないでしょ」
「そうだった…はぁ」
尽かさず二人の仲裁に入ったツバサの適切な処置によりケンカは無血終了。リョータは我に帰り項垂れながら再び日記帳を手にとり、ダラダラと続きを書き始めた。
「ふう、しょうがないなぁリョータは…ツバサくん持ってきてる?」
「勿論w」
「何だよ?」
「ホラ、俺とツバサくんの観察日記をバレないように交互に写せよ」
二人が息を合わせて取り出したのは二人のアサガオ観察日記だった。
「お、お前等…」
「リョータ、俺達友達だろ」
「うぅ…恩にきるぜ」
両手を組み、頭を下げて二人に感謝して観察日記を受け取るリョータ。
しかし、次の瞬間…
「はい受け取ったー」
「賄賂だね~コウジ」
リョータが二人のノートを受け取った瞬間、何か魂胆があるのか二人はそう言ってニヤニヤしながらリョータを見つめる。
「ん?」
「いやいや、隣町の奴等とサッカーやるにもGKが居なくて」
「GKが居ないんだよリョータ」
「…で?」
「鈍い奴だな!つまり宿題見せてやるからサッカーの試合のGKやってくれってことだ」
二人がリョータの元を訪れた真の目的は、隣町の少年達と行うサッカーの試合のGKを頼むためだった。無論、リョータが夏休みの宿題を終えていないと分かっていた二人は、宿題をみせることを条件にリョータを連れ出そうとする。
「はぁ?今から?宿題どぉーすんだよ!ってか、何で俺?」
「隣町の連中とやるんだぞ!絶対に負けられない試合だろ?オールスターで挑まねぇーと」
「夏休みは31日まで、明日か今日帰ったらやればいいじゃん」
リョータの存在は戦力として必要不可欠なのか、必死にリョータを説得する二人。
「そうだけどさ…」
「ほら、行くぞリョータ!」
「はいはい…」
結局、宿題を見せてもらえるという条件に引かれたリョータは二人の誘いを断りきれず、半ば強引に隣町とのサッカー試合に参加することになった。
「うぉらー!どうした?入れられるもんなら入れてみな!」
土手の河川敷で行われているサッカー試合。戦況は3-0と隣町のチームを圧倒するゲーム展開になっており、その展開に一役買ったのがリョータの守備だった。リョータの死守するゴールは試合中鉄壁と化し、隣町のチームは誰一人攻略することが出来ず大苦戦。
「リョータの奴、結構ノリノリじゃん」
「連れてきてよかったね」
リョータの予想以上の働きに満足する二人。どうやらここ数日、溜まった宿題のせいでリョータはまったく外で遊ぶことが出来ず、ひどく鬱憤も溜まっていた様だ。
試合はその後、リョータの守りとコウジの攻め、ツバサの無邪気さ?を筆頭にさらに点数を稼いでいったことにより、何無く試合はリョータのチームの勝利に終わった。
「よっしゃぁー!俺達の勝ちだ!」
「お前がゴールほっぽり出してフィールドに上がって来た時はヒヤヒヤしたけどな」
「あぁ~疲れたねー」
試合終了後、解散になった後も3人はサッカー場に残り勝利の余韻に浸りつつ、3人仲良くフィールド脇のベンチで休んでいた。
すると…
「お疲れリョータ、みんな」
「!?…チカ!どうして…って、お前等も!」
リョータが慌てて後ろを振り向くと、そこにはチカを始めにいつもの女子メンバーが全員揃っていた。
「あぁ、ちゃんとみんな来てくれてたんだ。…今日は隣町との試合だろ?だからユウキちゃん達に頼んで応援しにきて貰ったんだ。…あれ、相原も来てくれたのか?」
「おめでとう…」
女子メンバーはコウジが呼んでいたのだが、試合の途中に到着したためか、気がつかずに居た様だ。
「佐藤君ナイスGK!まぁ、僕が相手だったら佐藤君じゃ勝てないけどねw」
「うぅ…」
天然系のナツミのさり気無い発言に、かつて一度もナツミを負かしたことの無いリョータは軽くショックを受ける。
「リョータ、試合に勝ったんだから落ち込まないの。ハイ、差し入れよ」
突然チカは差し入れだと言って、冷水の張られた小さな水色のバケツから3本のキンキンに冷やされたラムネを取り出すと、それをリョータ達に一本ずつ手渡していく。
「うおぉーラムネじゃん!いいの?タダ?」
「ありがとう~」
「チカちゃんいいの?」
「あぁー気にしないで、引き換え券で貰った奴だから」
三人は思ってもいなかったチカからの差し入れに驚き歓喜。
「いっただきまーす!!」
三人は一斉にそう言うと、ラムネの栓代わりのビー玉を押し込みゴクゴクとおいしそうによく冷えたラムネを試合で乾いた喉に流しこんでいく。
「くぁ~うんめぇ~!」
「最高―!」
「おいしいね~」
三人がラムネを飲むその傍ら、いつの間にかチカの背後に回り込んでいたカズミはチカの耳元でボソボソこう呟やいた。
「本当は佐藤君だけにあげたかった…とか?」
「ちょ、カズミちゃん!?何言ってんのよ」
バッと瞬時に振り返り顔を真っ赤にして否定するチカだが、逆に「ハイそうです」と言わんばかりの慌てぶり。チカのその様子にカズミはほくそ笑むと、今度はリョータに話しかける。
「ところで佐藤くん」
「なんだよ?」
「夏休みの宿題終わった?」
「うなぁぁあああぁぁ!のんきにラムネなんて飲んでる場合じゃなかった!」
カズミの一言にイキイキとしていたリョータの表情はどんどん青ざめていく。そして、リョータは残量の少ないラムネの瓶を片手に宿題を片付けるため一目散に自宅に向って駆け出した。
「ちょ、リョータ!」
「追いかければ」
「カズミちゃん!」
名残惜しそうにどんどん小さくなっていくリョータを見つめるチカの背中を押すように、カズミはチカにそう言った。
「そうだよ、追いかけなよチカちゃん」
さらにコウジまで援護射撃を行ってチカを後押しすると、周囲にいたツバサ達もニコニコ頭を縦に振ってチカを煽る。
「コウジくんまで…もう、リョータ待ちなさい!」
やがて、チカの決心がついたのか、チカは持参したバケツを手に取り残ったメンバーに軽く手を振り別れを告げると、大急ぎでリョータの後を追って走り出す。
その様子にみな、それぞれ「やれやれ」といった表情でリョータを追いかけるチカを見送った。
「ねぇ、まだ明るいし公園で遊ぼうよ!」
チカとリョータの姿が見えなくなった頃、サッカーの試合を見て熱くなっていたナツミは残ったメンバーに公園に行こうと提案。
「賛成―!」
ナツミの提案に乗った残りのメンバー達は近所の公園を目指してぞろぞろ歩き出す。
その中には勢いにのまれたカズミの姿も…
(…私も?)←そもそも、さっき偶然チカ達と合流しただけだったり…
ふつうな内容+初めて「女」を入れてもーた。
なんだかなぁー
そういえば、初対面の人に「サッカー」やってそうって言われたことあったな。
ちなみに俺は球技は全然ダメですけど。
「おう、リョータ」
「おはようリョータ!」
「おう…」
いつも元気なリョータだが、その日のリョータは少し様子が変だった。
しかし、その理由は実に単純明快なもの…
「リョータ、お前まさか…ソレって」
「夏休みの宿題のアサガオ観察日記だよね。でも、今日は8月30だし」
コウジ達の視線の先には、クネクネとツタを広げ与えられた鉢植えに窮屈そうに生えているアサガオの姿。どうやらリョータに活気がない理由は、溜まりに溜まった夏休みの宿題を片付けている最中だったからであるようだ。
「あぁーうるさい、うるさぁーぃい!!俺はなぁ、今必死に記憶を遡ってだな…」
本来、観察日記は毎日つけるもの。リョータは今日まで一度も観察日記を書いていないのか、必死に8月初頭のページに虚偽の観察日記をスラスラと書きこんでいく。
その虚偽内容をチラッと覗き見したコウジはリョータに思わず突っ込みを入れた。
「はぁ?バカにそんな記憶力無いだろ?だいたい「変化無し」ばっかりじゃ不自然だろ」
「なんだとコウジ!」
「あぁん?やるか?」
リョータは自身がバカにされたのが気に食わず、それどころでは無いのにも関わらずコウジに食ってかかる。一方、コウジも引かずに逆切れして臨戦態勢に…
「駄目だよ二人とも!!それにリョータはケンカしてる場合じゃないでしょ」
「そうだった…はぁ」
尽かさず二人の仲裁に入ったツバサの適切な処置によりケンカは無血終了。リョータは我に帰り項垂れながら再び日記帳を手にとり、ダラダラと続きを書き始めた。
「ふう、しょうがないなぁリョータは…ツバサくん持ってきてる?」
「勿論w」
「何だよ?」
「ホラ、俺とツバサくんの観察日記をバレないように交互に写せよ」
二人が息を合わせて取り出したのは二人のアサガオ観察日記だった。
「お、お前等…」
「リョータ、俺達友達だろ」
「うぅ…恩にきるぜ」
両手を組み、頭を下げて二人に感謝して観察日記を受け取るリョータ。
しかし、次の瞬間…
「はい受け取ったー」
「賄賂だね~コウジ」
リョータが二人のノートを受け取った瞬間、何か魂胆があるのか二人はそう言ってニヤニヤしながらリョータを見つめる。
「ん?」
「いやいや、隣町の奴等とサッカーやるにもGKが居なくて」
「GKが居ないんだよリョータ」
「…で?」
「鈍い奴だな!つまり宿題見せてやるからサッカーの試合のGKやってくれってことだ」
二人がリョータの元を訪れた真の目的は、隣町の少年達と行うサッカーの試合のGKを頼むためだった。無論、リョータが夏休みの宿題を終えていないと分かっていた二人は、宿題をみせることを条件にリョータを連れ出そうとする。
「はぁ?今から?宿題どぉーすんだよ!ってか、何で俺?」
「隣町の連中とやるんだぞ!絶対に負けられない試合だろ?オールスターで挑まねぇーと」
「夏休みは31日まで、明日か今日帰ったらやればいいじゃん」
リョータの存在は戦力として必要不可欠なのか、必死にリョータを説得する二人。
「そうだけどさ…」
「ほら、行くぞリョータ!」
「はいはい…」
結局、宿題を見せてもらえるという条件に引かれたリョータは二人の誘いを断りきれず、半ば強引に隣町とのサッカー試合に参加することになった。
「うぉらー!どうした?入れられるもんなら入れてみな!」
土手の河川敷で行われているサッカー試合。戦況は3-0と隣町のチームを圧倒するゲーム展開になっており、その展開に一役買ったのがリョータの守備だった。リョータの死守するゴールは試合中鉄壁と化し、隣町のチームは誰一人攻略することが出来ず大苦戦。
「リョータの奴、結構ノリノリじゃん」
「連れてきてよかったね」
リョータの予想以上の働きに満足する二人。どうやらここ数日、溜まった宿題のせいでリョータはまったく外で遊ぶことが出来ず、ひどく鬱憤も溜まっていた様だ。
試合はその後、リョータの守りとコウジの攻め、ツバサの無邪気さ?を筆頭にさらに点数を稼いでいったことにより、何無く試合はリョータのチームの勝利に終わった。
「よっしゃぁー!俺達の勝ちだ!」
「お前がゴールほっぽり出してフィールドに上がって来た時はヒヤヒヤしたけどな」
「あぁ~疲れたねー」
試合終了後、解散になった後も3人はサッカー場に残り勝利の余韻に浸りつつ、3人仲良くフィールド脇のベンチで休んでいた。
すると…
「お疲れリョータ、みんな」
「!?…チカ!どうして…って、お前等も!」
リョータが慌てて後ろを振り向くと、そこにはチカを始めにいつもの女子メンバーが全員揃っていた。
「あぁ、ちゃんとみんな来てくれてたんだ。…今日は隣町との試合だろ?だからユウキちゃん達に頼んで応援しにきて貰ったんだ。…あれ、相原も来てくれたのか?」
「おめでとう…」
女子メンバーはコウジが呼んでいたのだが、試合の途中に到着したためか、気がつかずに居た様だ。
「佐藤君ナイスGK!まぁ、僕が相手だったら佐藤君じゃ勝てないけどねw」
「うぅ…」
天然系のナツミのさり気無い発言に、かつて一度もナツミを負かしたことの無いリョータは軽くショックを受ける。
「リョータ、試合に勝ったんだから落ち込まないの。ハイ、差し入れよ」
突然チカは差し入れだと言って、冷水の張られた小さな水色のバケツから3本のキンキンに冷やされたラムネを取り出すと、それをリョータ達に一本ずつ手渡していく。
「うおぉーラムネじゃん!いいの?タダ?」
「ありがとう~」
「チカちゃんいいの?」
「あぁー気にしないで、引き換え券で貰った奴だから」
三人は思ってもいなかったチカからの差し入れに驚き歓喜。
「いっただきまーす!!」
三人は一斉にそう言うと、ラムネの栓代わりのビー玉を押し込みゴクゴクとおいしそうによく冷えたラムネを試合で乾いた喉に流しこんでいく。
「くぁ~うんめぇ~!」
「最高―!」
「おいしいね~」
三人がラムネを飲むその傍ら、いつの間にかチカの背後に回り込んでいたカズミはチカの耳元でボソボソこう呟やいた。
「本当は佐藤君だけにあげたかった…とか?」
「ちょ、カズミちゃん!?何言ってんのよ」
バッと瞬時に振り返り顔を真っ赤にして否定するチカだが、逆に「ハイそうです」と言わんばかりの慌てぶり。チカのその様子にカズミはほくそ笑むと、今度はリョータに話しかける。
「ところで佐藤くん」
「なんだよ?」
「夏休みの宿題終わった?」
「うなぁぁあああぁぁ!のんきにラムネなんて飲んでる場合じゃなかった!」
カズミの一言にイキイキとしていたリョータの表情はどんどん青ざめていく。そして、リョータは残量の少ないラムネの瓶を片手に宿題を片付けるため一目散に自宅に向って駆け出した。
「ちょ、リョータ!」
「追いかければ」
「カズミちゃん!」
名残惜しそうにどんどん小さくなっていくリョータを見つめるチカの背中を押すように、カズミはチカにそう言った。
「そうだよ、追いかけなよチカちゃん」
さらにコウジまで援護射撃を行ってチカを後押しすると、周囲にいたツバサ達もニコニコ頭を縦に振ってチカを煽る。
「コウジくんまで…もう、リョータ待ちなさい!」
やがて、チカの決心がついたのか、チカは持参したバケツを手に取り残ったメンバーに軽く手を振り別れを告げると、大急ぎでリョータの後を追って走り出す。
その様子にみな、それぞれ「やれやれ」といった表情でリョータを追いかけるチカを見送った。
「ねぇ、まだ明るいし公園で遊ぼうよ!」
チカとリョータの姿が見えなくなった頃、サッカーの試合を見て熱くなっていたナツミは残ったメンバーに公園に行こうと提案。
「賛成―!」
ナツミの提案に乗った残りのメンバー達は近所の公園を目指してぞろぞろ歩き出す。
その中には勢いにのまれたカズミの姿も…
(…私も?)←そもそも、さっき偶然チカ達と合流しただけだったり…
ふつうな内容+初めて「女」を入れてもーた。
なんだかなぁー
そういえば、初対面の人に「サッカー」やってそうって言われたことあったな。
ちなみに俺は球技は全然ダメですけど。