妖かし洋館 第一話 「最初で最後の快楽」
朝から行っていた未開拓の部屋の掃除も一段落し、ツトムとカツミはとりあえず休憩を取ることにした。
「カツミ、ジュース何がいい?」
ツトムはオヤツを取りにキッチンに向う際、綺麗になった部屋のアンティーク家具にぐったりと横たわるカツミにジュースを何にするか尋ねる。すると、カツミは偉そうな態度でツトムにこう答えた。
「オレンジジュースに決まってんだろ!」
「そ、そうだったね」
そんなに怒鳴らなくたって…ちょっと前まで「オレンジジュース♪」って感じのかわいい応対だったのになぁ。まぁ、とにかく今は昔の様な関係に戻れるように紳士的に振舞わなければ!俺は自身の心にそう語りかけながら部屋を後にする。
「半年も同居してるのに…ツトム兄ちゃんのバーカッ」
ツトムが姿を消した直後、部屋に残ったカツミはブツブツと小言を言いながらムクっと寝そべっていたソファーから起き上がり、ツトムの悪口を言いながら唐突に側にあった棚をドンっと小突く。
ドサッ
その時、どこから出て来たのかわからないが、枕程度の大きさの茶色いテディベアがカツミの足元に落ちてきた。
「んっ?ぬいぐるみだ」
カツミは足元のテディベアを拾い上げポンポンと片手で軽くホコリを払い落すと、両手でテディベアを天井に掲げながらとり憑かれたようにそれを眺める。結局、カツミはそのテディベアがなんとなく気にいったのか、その日の仕事を一通り終えた後、自室にそれを持ち帰ってベッド脇の棚の上に飾った。
~その日の夜~
「ツトム兄ちゃん…俺…」
ベッドの腰掛け、何やら想い込むカツミ。どうやらショタコンであるツトムに素直に接することが出来ないでいることを悩んでいるようだ。と次の瞬間、そんなカツミの声に反応したかのように何者かの声が突然部屋に響く。
「と、一緒に寝たいの?」
「!?だ、誰だ!」
体をビクンと震わせた後、バッと謎の声の主を探して室内をキョロキョロ見回すカツミ。だが、室内には当然誰もいる訳など無く侵入者の姿など皆無…と思ったその時。
「初めまして。僕の名前はレン」
「!?」
不意に背後からする声に反応して再び体をビクンと震わせ、後ろを振り返るカツミ。
そこにはニコニコ笑みを浮かべているカツミより少し年下だと思われる自らをレンと名乗る少年の姿があった。
「うわぁあああ!あぁ?…えっ?レン?どこの子?どっから入ってきたんだ?」
突如現れた少年に驚愕し、ベッドから立ち上がってささっと後ずさりするカツミ。
「質問が多いよ、お兄ちゃん。それに、僕はさっきからずっとこの部屋に居るよ」
「俺達が掃除してる時に入り込んだな。…おい、さっさと出ていけよ」
ずっと部屋に居たというレンの発言から、レンを自分達が他の部屋の掃除をしている最中に洋館に侵入した「近所の糞ガキ」だと判断したカツミは、先程とは打って変わってレンをギロリと睨み付けると、自室のドアを指差して部屋から出て行けとレンに告げる。
「え~、外は真っ暗だよ!今日はお兄ちゃんの部屋に泊めてよ!」
「図々しい奴だなぁ…泊めてやってもいいけど、お前の親が心配してないか?」
「大丈夫!パパとママは遠いとこに居るから!いつも僕一人だし!」
「複雑な家庭環境だな…まぁ、家も似たようなモンだけどね。そういうことなら今日は泊まって行っていいぞ」
両親と同居していないというレンの言葉に、自身と何か繋がるものを感じたカツミ。なんと、あっさりとレンの宿泊を許可してしまった。すると、それを聞いたレンは万弁の笑みを浮かべながらカツミにこう言う。
「ありがとうお兄ちゃん!さっそくお礼してあげるね!!」
「なっ…なんだよ?」
「怖がらなくていいよ…ちょっと意識同期するだけだから」
そう言ってゆっくりとカツミに近づいて行くレン。
「お前は…」
本能で何かの危機を感じ取ったカツミはレンからとっさに離れようとするが、既にレンの華奢な手がガッシリとカツミの右腕を掴んでいた。また、それと同時にレンの身体は蒼炎のごとく燃え始め、その蒼白い炎は吸い込まれるようにしてカツミの口から身体に侵入していく。この時、カツミはレン正体が霊体であったということに気付かされたが、既に対応は後手に回り、自身ではどうにもならない状況に陥っていた。
「あぁああ!…………ふぅ、生身の人間にとり憑くなんて半久しぶりだなぁ~。さて、メイド服に着替えて大きいお兄ちゃんのところに行かないと」
レンの姿が完全に消え去った後、カツミの身体は完全にレンによって支配されていた。カツミに憑依したレンは、着ていたパジャマを下着ごと全て脱ぎ棄てて全裸姿になると、壁に吊るされているメイドに着替え始める。
トントン
それは、この洋館に引っ越してきてから初めて聞いたノックの音だった。ノックしたのはカツミなんだろうけど、なんだかとてもカツミの行った行為だとはとても思えない気がしてしょうがない。
「カツミか?どうした?」
「ツトム兄ちゃん…入っていい?」
ノックの主がカツミ以外の人物ではないのかと考えていたツトムだが、ドアの向こうから聞こえる声は紛れもなく確かにカツミのモノだった。
「えっ?いや…その、俺の部屋に?」
相変わらず「ショタグッズ」に囲まれた室内を見渡しながら慌てる俺。だって、まさかこんな早期にカツミが俺の部屋を訪れるなんて想像もしてなかった訳で……
「うん。…駄目?」
「駄目って訳じゃ無いけど…」
「お邪魔します!」
カツミを自室に入れるかどうかでツトムが悩んでいる最中、カツミはツトムの返事を待たずに勝手に室内に侵入する。
「ちょ、カツミ!」
半ば強引に入室してくるメイド服姿のカツミ。俺は心臓が一瞬停止した。なぜなら、ドアには確かに鍵が掛かっていたハズ…だが、現実にどういう訳か意図も簡単にカツミは俺の部屋に入ってきたのだ。
「さっそくだけどさぁ、やろない?」
部屋に入るなり、周囲のショタコレに一切干渉すること無く俺のベッドに一直線に向いその上に寝っ転がってメイド服のスカートを捲り、色白でまるで剥き立てのゆで卵の様なプリプリのケツを曝け出しながら俺を誘ってくるカツミ。しかも、なぜかノーパン。
「な、何を?ってか、急にどうしたんだよ?カツミらしく…」
カツミの暴挙に思わず目を逸らしながらそう言うツトム。
「僕らしくって何?僕はずっとツトム兄ちゃんのことが好きだったんだよ?」
「…やっぱり変だ。お前カツミじゃないだろう?幾らなんでも豹変し過ぎだ!」
俺の目の前に居るのは確かにカツミだ。けど、俺だって伊達に半年近く同居して来た訳じゃない。カツミがどういう男の子かってことはある程度知っているつもりだ。だから、今俺の目の前に居るのがカツミでは無いと言いきれた。
ツトムのその確信しきった表情を見るや否や、カツミは顔を俯かせてボソボソと何かぼやき始める。
「…生きてる人間ってさぁ、なんでこんなに面倒臭いんだろう。素直になればいいのに、欲望に従えばいいのに」
「何を言って…」
次の瞬間、カツミの口から先程の様に蒼炎と化したレンが現れる。そして、その意志を持った炎は、今度はツトムの身体目掛けて襲い掛かる。
「これはっ!!」
「…レンっ!!」
ツトムの意識が遠退いていくのと同時に、先程までレンによって身体を支配されていたカツミの意識が除々に戻って行く。やがて、レンの幽体が全てカツミから抜け出た瞬間、カツミは大声でレンの名を叫ぶ。だが、既にカツミの眼前にはレンの姿は無く、カツミの呼び掛けに答えたのはツトムだった。
「何ぃ?」
「っ!!今度はツトム兄ちゃんにとり憑いたのか!?」
「うん。大きいお兄ちゃんにとり憑く方が何かと便利だと思ってね。さぁ、やろうよカツミ兄ちゃん」
「…やるって?」
「誤魔化しても駄目だよ。毎晩の様に枕に抱きついて「ツトムお兄ちゃん~」なんて甘えた声で腰振ってること知ってるんだから」
ツトムをオカズにしていた事がバレ、カツミは思わずその場で凍りつく。
「お前…」
「幽霊は何でもお見通しだよ。だから…」
「!?」
ツトムに憑依したレンは、カツミの居るベッドの上に上がってカツミの眼前まで近寄ると、いきなりカツミの淡いピンク色の唇に接吻を行った。突然のツトムの接吻にカツミの頬は見る見るうちに赤く染まって行き、やがてその表情もトロ~ンととろけた虚ろな表情に変化していく。それから暫く二人の接吻は沈黙中で継続され、結局ツトムが唇を放すまでカツミは一切無抵抗だった。
「抵抗しないの?」
ふと、ツトムの口から出た言葉で我に帰るカツミ。
「っ!て、テメェ-!…その、なんだ…ツトム兄ちゃんの意識は残ってるのか?」
「心配無用。ちゃんと封じ込めてあるからカツミ兄ちゃんの声は届いてないよ。思う存分大きいお兄ちゃんの体に甘えな」
カツミの心情を見透かしたかのように語るツトム。だが、やはりレンが憑依しているとはいえども外見上はツトム以外の何物でもない訳であり、素直になれないでいるカツミ。
「甘えなって言われても…」
「ホラぁ、早く服脱ぎなよ」
「えっ…いや、俺は…」
「やっぱり生きてる奴ってじれったいなぁ~このまま犯すよ」
「心の準備がぁ!待って…んぁ、やぁあ!」
モジモジと悩んでいたカツミをじれったいと言って強引に押し倒すツトム。
「んぁぁ…うんぅう!やめろよぉお…んぁああぁあ!」
ツトムはカツミの身体に覆いかぶさるようになると、メイド服のスカートをぺラッと捲り上げてカツミの性器を露わにする。ツトムの眼前に晒されたカツミの性器はクルンっと皮を被っているものの、既に半勃起の状態と思われる形状になっており、ツトムに直接見られたことでさらにピクピク反応し始め大きくなって行く。
「アソコをこんなに大きくさせてるのに?本当はうれしいんでしょ?」
笑みを浮かべてツトムはそう言うと、すっと右手をカツミの性器に向けて人差し指で少し飛び出した亀頭をツンツン弄り始める。敏感な部分を直に刺激されたカツミは、微弱な電流を身体に流されたかの様に体を弓なりに反らして内から湧き上がる快感を全身で受け止めた。
「そ、そんなぁ…さ、触るな!ひゃぁあぁん!」
「うはっ!カツミ兄ちゃんのアソコ見てたら僕(ツトム)のアソコまで大きくなっちゃった!凄いや!大人のアソコっていやらしいね」
まるで今まで「一度も」勃起を体験したことの無い様な言い様で自らの勃起する様に無邪気に興奮するツトム。
「お前の思考の方がいやらしいだろがぁクソガキ!んぁああぁ!」
「主導権は僕が握っているってこと忘れてない?」
カツミの発言が癪に障ったのか、いきなりカツミの耳元に口元を寄せてそう告げるツトム。さらに、ツトムは離れ間際にカツミの耳をしゃぶるようにして甘噛みする。
「くぅんぁ…お前ぇ、エロ過ぎだろぉ…」
「あれれ?カツミ兄ちゃんお漏らし?何かチョロチョロ出てるよ?」
ツトムは先程から右手で弄っていたカツミの性器から何かが吹き出し始めたのを感じると、知ってか知らずか「これは何だ」とカツミを辱めるようにして問いただす。一方、それがなんだか知っているカツミはこれ以上「レン」の好き勝手にされてたまるかと言わんばかりにツトムを引き剥がそうとするが…
「うるせぇえ!その手を放ぁせぇ…!」
「あっ…僕のも」
そう言うと、突然カツミの性器を責め立てていた手を自身のベルトに向け、それをカチャカチャ片手で器用に外してズボンとパンツを一気に下ろすツトム。その後、何かを確認するように自身の性器を触った後、視線をカツミの方に戻してこう尋ねる。
「やっぱり出てる…これってさぁ、気持ちいい時に出るの?」
「知るかよぉ…んなぁこと…」
ガマン汁について尋ねられたカツミだが、詳しい知識がある訳でも無いのでツトムのその問に答えることが出来なかった。そもそも、知っていても説明していられるような状況では無いのだが。
「カツミ兄ちゃんも知らないんだ…まぁ、なんでもいいかぁ」
「!?」
ツトムの興奮も高まって来たのか、性知識は無いハズなのに性欲発散のために本能で新たな行動に移るツトム。カツミも先程までとは違うツトムの雰囲気に危機感をビンビンに感じ取ったが、体格差のせいで主導権を未だに取れずにいた。
「お、おい!今度は何を…んぁ」
「…ギューってしよう。これがHなんでしょ?」
「うぁ、それ以上抱きつくなぁ!んぁぁあぁ…くぁあ!」
知らないなりに考えた結果なのだろうか、ツトムは下半身を露出させたまま押し倒していたカツミの体をがっしりと両手両足など全身を使って抱きしめ始める。そして、腰を適当にクネクネと揺らし、自身の性器をカツミの性器に擦り付けるようにして宛がう。
「僕達のぉ…アソコをぉ…んぁぁあぁああ!」
「なにしやがるううぅ!くぁぁあぁ!」
ツトムの部屋には少年と青年のいやらしい喘ぎ声と、二人の濡れた性器が擦り合うクチュクチュという粘着質な音が響き渡る。また、もはや言葉すら交わさず荒い息を上げながらカツミの身体にむしゃぶりつく様にして襲い掛かるツトムの様は、欲望の枷が外された野生の猛獣の様だった。
「かぁあぁぁん…うんぁぁぁああああぁ!!」
そんなツトムの勢いに飲まれたのか、始めはツトムの一方的な行為に抵抗しようとしていたカツミだが、いつの間にか野獣と化したツトムを引き剥がそうとしていた手足が、逆にツトムの身体に抱きつく様にして絡みつく形に変貌を遂げる。しかも、挙句の果てには自らも腰をクネらせる始末だ。
「うんぁあぁ!うぁん…も、もう限界だぁ…離れろぉお!」
「やだぁ!もう止められないよぉ!あっあぁ…オシッコ…んぁぁあぁああぁああぁぁ!!」
「くぁあぁ…んぁぁああぁあああぁ!!」
共に絶頂を迎えることとなった二人。ビクンビクンと身体を震わせる二人の性器から勢いよく放たれた精の塊は、まるで始めから境界線など無かったかの様にして混ざり合い、二人の下腹部に振りかかる。
(お兄ちゃん。無理やりHなことしてゴメン…でも、凄く気持ちよかったよ。これで僕も旅立てる…あぁ、そうだ。他の部屋にも僕の様な変態が居るから掃除する時は気を付けてね。うっかりとり憑かれるとHな目に遭うから…)
(…)
絶頂の余韻に浸るカツミの脳裏によぎるレンの声。ふと、その言葉を思い返した時にはレンの気配は完全に消え去っていた。
「うぅ、俺は…!!うわぁあああああぁぁあぁ!!どうしたカツミ!って、俺が?えっ???えぇええぇぇえ????」
意識が戻った俺の眼前には想像も絶する光景が広がっている。そして、身に覚えのない身体の疲労感と下腹部にベットリと付着した見覚えのある物体。目の前で汗とそれ以外の物体塗れになって息を切らして仰向けに横たわっているカツミの姿。これらの情報を整理して導き出される結論は…
「…バカっ」
「ちょ、カツミ!!おい!」
レンから解放されたツトムが冷静になってこの場で行われていたことを推測する最中、カツミはツトムに今にも消え入りそうな小声で「バカ」と言い放ってベッドから飛び降り、そのまま一度も振り向かずにツトムの部屋から去って行った。一方、一人自室に取り残されたツトムは呆然とカツミが去って行ったドアの方を眺めながらベッドの上で結論を導き出す。
「…無意識にカツミを犯した???いやいや…そんな訳……」
~次の日の早朝~
「っと!お、おはようカツミ」
コーヒーを沸かしにキッチンに向った際、ばったりとジュースを飲みに来たパジャマ姿の
カツミと鉢合わせたツトム。この時、昨晩起きた出来事の大部分の記憶が無いツトムはどうカツミに声をかけていいのか分からず、とりあえず愛想笑みを浮かべてカツミに探りを入れる。
「…アハハ、今日はいい天気だね」
「おはよう。…あのさぁ、メイド服汚れたから洗濯しといて」
「えっ、あぁ分かったよ」
挨拶と軽い要件だけツトムに伝えると、そそくさとジュースを片手に自室に戻るカツミ。
「…ふぅ」
とりあえず、カツミが昨晩のことを怒って無い様でホットした。ってか、家から出て行って無くて本当に良かった。でも、なんかカツミの顔が真っ赤に見えたのは気のせいだろうか?
正式タイトル変更です。
「幽霊にHなことさせられる→幽霊満足して成仏」的な感じのスピリチュアルストーリーですwww
ちなみに、カツミが拾ったテディベアはレンの成仏に連動して消滅した設定です。
あと、幽霊は常時二人を監視?してます。憑依できる条件は対象が自身の遺品を触って満たされます。
「カツミ、ジュース何がいい?」
ツトムはオヤツを取りにキッチンに向う際、綺麗になった部屋のアンティーク家具にぐったりと横たわるカツミにジュースを何にするか尋ねる。すると、カツミは偉そうな態度でツトムにこう答えた。
「オレンジジュースに決まってんだろ!」
「そ、そうだったね」
そんなに怒鳴らなくたって…ちょっと前まで「オレンジジュース♪」って感じのかわいい応対だったのになぁ。まぁ、とにかく今は昔の様な関係に戻れるように紳士的に振舞わなければ!俺は自身の心にそう語りかけながら部屋を後にする。
「半年も同居してるのに…ツトム兄ちゃんのバーカッ」
ツトムが姿を消した直後、部屋に残ったカツミはブツブツと小言を言いながらムクっと寝そべっていたソファーから起き上がり、ツトムの悪口を言いながら唐突に側にあった棚をドンっと小突く。
ドサッ
その時、どこから出て来たのかわからないが、枕程度の大きさの茶色いテディベアがカツミの足元に落ちてきた。
「んっ?ぬいぐるみだ」
カツミは足元のテディベアを拾い上げポンポンと片手で軽くホコリを払い落すと、両手でテディベアを天井に掲げながらとり憑かれたようにそれを眺める。結局、カツミはそのテディベアがなんとなく気にいったのか、その日の仕事を一通り終えた後、自室にそれを持ち帰ってベッド脇の棚の上に飾った。
~その日の夜~
「ツトム兄ちゃん…俺…」
ベッドの腰掛け、何やら想い込むカツミ。どうやらショタコンであるツトムに素直に接することが出来ないでいることを悩んでいるようだ。と次の瞬間、そんなカツミの声に反応したかのように何者かの声が突然部屋に響く。
「と、一緒に寝たいの?」
「!?だ、誰だ!」
体をビクンと震わせた後、バッと謎の声の主を探して室内をキョロキョロ見回すカツミ。だが、室内には当然誰もいる訳など無く侵入者の姿など皆無…と思ったその時。
「初めまして。僕の名前はレン」
「!?」
不意に背後からする声に反応して再び体をビクンと震わせ、後ろを振り返るカツミ。
そこにはニコニコ笑みを浮かべているカツミより少し年下だと思われる自らをレンと名乗る少年の姿があった。
「うわぁあああ!あぁ?…えっ?レン?どこの子?どっから入ってきたんだ?」
突如現れた少年に驚愕し、ベッドから立ち上がってささっと後ずさりするカツミ。
「質問が多いよ、お兄ちゃん。それに、僕はさっきからずっとこの部屋に居るよ」
「俺達が掃除してる時に入り込んだな。…おい、さっさと出ていけよ」
ずっと部屋に居たというレンの発言から、レンを自分達が他の部屋の掃除をしている最中に洋館に侵入した「近所の糞ガキ」だと判断したカツミは、先程とは打って変わってレンをギロリと睨み付けると、自室のドアを指差して部屋から出て行けとレンに告げる。
「え~、外は真っ暗だよ!今日はお兄ちゃんの部屋に泊めてよ!」
「図々しい奴だなぁ…泊めてやってもいいけど、お前の親が心配してないか?」
「大丈夫!パパとママは遠いとこに居るから!いつも僕一人だし!」
「複雑な家庭環境だな…まぁ、家も似たようなモンだけどね。そういうことなら今日は泊まって行っていいぞ」
両親と同居していないというレンの言葉に、自身と何か繋がるものを感じたカツミ。なんと、あっさりとレンの宿泊を許可してしまった。すると、それを聞いたレンは万弁の笑みを浮かべながらカツミにこう言う。
「ありがとうお兄ちゃん!さっそくお礼してあげるね!!」
「なっ…なんだよ?」
「怖がらなくていいよ…ちょっと意識同期するだけだから」
そう言ってゆっくりとカツミに近づいて行くレン。
「お前は…」
本能で何かの危機を感じ取ったカツミはレンからとっさに離れようとするが、既にレンの華奢な手がガッシリとカツミの右腕を掴んでいた。また、それと同時にレンの身体は蒼炎のごとく燃え始め、その蒼白い炎は吸い込まれるようにしてカツミの口から身体に侵入していく。この時、カツミはレン正体が霊体であったということに気付かされたが、既に対応は後手に回り、自身ではどうにもならない状況に陥っていた。
「あぁああ!…………ふぅ、生身の人間にとり憑くなんて半久しぶりだなぁ~。さて、メイド服に着替えて大きいお兄ちゃんのところに行かないと」
レンの姿が完全に消え去った後、カツミの身体は完全にレンによって支配されていた。カツミに憑依したレンは、着ていたパジャマを下着ごと全て脱ぎ棄てて全裸姿になると、壁に吊るされているメイドに着替え始める。
トントン
それは、この洋館に引っ越してきてから初めて聞いたノックの音だった。ノックしたのはカツミなんだろうけど、なんだかとてもカツミの行った行為だとはとても思えない気がしてしょうがない。
「カツミか?どうした?」
「ツトム兄ちゃん…入っていい?」
ノックの主がカツミ以外の人物ではないのかと考えていたツトムだが、ドアの向こうから聞こえる声は紛れもなく確かにカツミのモノだった。
「えっ?いや…その、俺の部屋に?」
相変わらず「ショタグッズ」に囲まれた室内を見渡しながら慌てる俺。だって、まさかこんな早期にカツミが俺の部屋を訪れるなんて想像もしてなかった訳で……
「うん。…駄目?」
「駄目って訳じゃ無いけど…」
「お邪魔します!」
カツミを自室に入れるかどうかでツトムが悩んでいる最中、カツミはツトムの返事を待たずに勝手に室内に侵入する。
「ちょ、カツミ!」
半ば強引に入室してくるメイド服姿のカツミ。俺は心臓が一瞬停止した。なぜなら、ドアには確かに鍵が掛かっていたハズ…だが、現実にどういう訳か意図も簡単にカツミは俺の部屋に入ってきたのだ。
「さっそくだけどさぁ、やろない?」
部屋に入るなり、周囲のショタコレに一切干渉すること無く俺のベッドに一直線に向いその上に寝っ転がってメイド服のスカートを捲り、色白でまるで剥き立てのゆで卵の様なプリプリのケツを曝け出しながら俺を誘ってくるカツミ。しかも、なぜかノーパン。
「な、何を?ってか、急にどうしたんだよ?カツミらしく…」
カツミの暴挙に思わず目を逸らしながらそう言うツトム。
「僕らしくって何?僕はずっとツトム兄ちゃんのことが好きだったんだよ?」
「…やっぱり変だ。お前カツミじゃないだろう?幾らなんでも豹変し過ぎだ!」
俺の目の前に居るのは確かにカツミだ。けど、俺だって伊達に半年近く同居して来た訳じゃない。カツミがどういう男の子かってことはある程度知っているつもりだ。だから、今俺の目の前に居るのがカツミでは無いと言いきれた。
ツトムのその確信しきった表情を見るや否や、カツミは顔を俯かせてボソボソと何かぼやき始める。
「…生きてる人間ってさぁ、なんでこんなに面倒臭いんだろう。素直になればいいのに、欲望に従えばいいのに」
「何を言って…」
次の瞬間、カツミの口から先程の様に蒼炎と化したレンが現れる。そして、その意志を持った炎は、今度はツトムの身体目掛けて襲い掛かる。
「これはっ!!」
「…レンっ!!」
ツトムの意識が遠退いていくのと同時に、先程までレンによって身体を支配されていたカツミの意識が除々に戻って行く。やがて、レンの幽体が全てカツミから抜け出た瞬間、カツミは大声でレンの名を叫ぶ。だが、既にカツミの眼前にはレンの姿は無く、カツミの呼び掛けに答えたのはツトムだった。
「何ぃ?」
「っ!!今度はツトム兄ちゃんにとり憑いたのか!?」
「うん。大きいお兄ちゃんにとり憑く方が何かと便利だと思ってね。さぁ、やろうよカツミ兄ちゃん」
「…やるって?」
「誤魔化しても駄目だよ。毎晩の様に枕に抱きついて「ツトムお兄ちゃん~」なんて甘えた声で腰振ってること知ってるんだから」
ツトムをオカズにしていた事がバレ、カツミは思わずその場で凍りつく。
「お前…」
「幽霊は何でもお見通しだよ。だから…」
「!?」
ツトムに憑依したレンは、カツミの居るベッドの上に上がってカツミの眼前まで近寄ると、いきなりカツミの淡いピンク色の唇に接吻を行った。突然のツトムの接吻にカツミの頬は見る見るうちに赤く染まって行き、やがてその表情もトロ~ンととろけた虚ろな表情に変化していく。それから暫く二人の接吻は沈黙中で継続され、結局ツトムが唇を放すまでカツミは一切無抵抗だった。
「抵抗しないの?」
ふと、ツトムの口から出た言葉で我に帰るカツミ。
「っ!て、テメェ-!…その、なんだ…ツトム兄ちゃんの意識は残ってるのか?」
「心配無用。ちゃんと封じ込めてあるからカツミ兄ちゃんの声は届いてないよ。思う存分大きいお兄ちゃんの体に甘えな」
カツミの心情を見透かしたかのように語るツトム。だが、やはりレンが憑依しているとはいえども外見上はツトム以外の何物でもない訳であり、素直になれないでいるカツミ。
「甘えなって言われても…」
「ホラぁ、早く服脱ぎなよ」
「えっ…いや、俺は…」
「やっぱり生きてる奴ってじれったいなぁ~このまま犯すよ」
「心の準備がぁ!待って…んぁ、やぁあ!」
モジモジと悩んでいたカツミをじれったいと言って強引に押し倒すツトム。
「んぁぁ…うんぅう!やめろよぉお…んぁああぁあ!」
ツトムはカツミの身体に覆いかぶさるようになると、メイド服のスカートをぺラッと捲り上げてカツミの性器を露わにする。ツトムの眼前に晒されたカツミの性器はクルンっと皮を被っているものの、既に半勃起の状態と思われる形状になっており、ツトムに直接見られたことでさらにピクピク反応し始め大きくなって行く。
「アソコをこんなに大きくさせてるのに?本当はうれしいんでしょ?」
笑みを浮かべてツトムはそう言うと、すっと右手をカツミの性器に向けて人差し指で少し飛び出した亀頭をツンツン弄り始める。敏感な部分を直に刺激されたカツミは、微弱な電流を身体に流されたかの様に体を弓なりに反らして内から湧き上がる快感を全身で受け止めた。
「そ、そんなぁ…さ、触るな!ひゃぁあぁん!」
「うはっ!カツミ兄ちゃんのアソコ見てたら僕(ツトム)のアソコまで大きくなっちゃった!凄いや!大人のアソコっていやらしいね」
まるで今まで「一度も」勃起を体験したことの無い様な言い様で自らの勃起する様に無邪気に興奮するツトム。
「お前の思考の方がいやらしいだろがぁクソガキ!んぁああぁ!」
「主導権は僕が握っているってこと忘れてない?」
カツミの発言が癪に障ったのか、いきなりカツミの耳元に口元を寄せてそう告げるツトム。さらに、ツトムは離れ間際にカツミの耳をしゃぶるようにして甘噛みする。
「くぅんぁ…お前ぇ、エロ過ぎだろぉ…」
「あれれ?カツミ兄ちゃんお漏らし?何かチョロチョロ出てるよ?」
ツトムは先程から右手で弄っていたカツミの性器から何かが吹き出し始めたのを感じると、知ってか知らずか「これは何だ」とカツミを辱めるようにして問いただす。一方、それがなんだか知っているカツミはこれ以上「レン」の好き勝手にされてたまるかと言わんばかりにツトムを引き剥がそうとするが…
「うるせぇえ!その手を放ぁせぇ…!」
「あっ…僕のも」
そう言うと、突然カツミの性器を責め立てていた手を自身のベルトに向け、それをカチャカチャ片手で器用に外してズボンとパンツを一気に下ろすツトム。その後、何かを確認するように自身の性器を触った後、視線をカツミの方に戻してこう尋ねる。
「やっぱり出てる…これってさぁ、気持ちいい時に出るの?」
「知るかよぉ…んなぁこと…」
ガマン汁について尋ねられたカツミだが、詳しい知識がある訳でも無いのでツトムのその問に答えることが出来なかった。そもそも、知っていても説明していられるような状況では無いのだが。
「カツミ兄ちゃんも知らないんだ…まぁ、なんでもいいかぁ」
「!?」
ツトムの興奮も高まって来たのか、性知識は無いハズなのに性欲発散のために本能で新たな行動に移るツトム。カツミも先程までとは違うツトムの雰囲気に危機感をビンビンに感じ取ったが、体格差のせいで主導権を未だに取れずにいた。
「お、おい!今度は何を…んぁ」
「…ギューってしよう。これがHなんでしょ?」
「うぁ、それ以上抱きつくなぁ!んぁぁあぁ…くぁあ!」
知らないなりに考えた結果なのだろうか、ツトムは下半身を露出させたまま押し倒していたカツミの体をがっしりと両手両足など全身を使って抱きしめ始める。そして、腰を適当にクネクネと揺らし、自身の性器をカツミの性器に擦り付けるようにして宛がう。
「僕達のぉ…アソコをぉ…んぁぁあぁああ!」
「なにしやがるううぅ!くぁぁあぁ!」
ツトムの部屋には少年と青年のいやらしい喘ぎ声と、二人の濡れた性器が擦り合うクチュクチュという粘着質な音が響き渡る。また、もはや言葉すら交わさず荒い息を上げながらカツミの身体にむしゃぶりつく様にして襲い掛かるツトムの様は、欲望の枷が外された野生の猛獣の様だった。
「かぁあぁぁん…うんぁぁぁああああぁ!!」
そんなツトムの勢いに飲まれたのか、始めはツトムの一方的な行為に抵抗しようとしていたカツミだが、いつの間にか野獣と化したツトムを引き剥がそうとしていた手足が、逆にツトムの身体に抱きつく様にして絡みつく形に変貌を遂げる。しかも、挙句の果てには自らも腰をクネらせる始末だ。
「うんぁあぁ!うぁん…も、もう限界だぁ…離れろぉお!」
「やだぁ!もう止められないよぉ!あっあぁ…オシッコ…んぁぁあぁああぁああぁぁ!!」
「くぁあぁ…んぁぁああぁあああぁ!!」
共に絶頂を迎えることとなった二人。ビクンビクンと身体を震わせる二人の性器から勢いよく放たれた精の塊は、まるで始めから境界線など無かったかの様にして混ざり合い、二人の下腹部に振りかかる。
(お兄ちゃん。無理やりHなことしてゴメン…でも、凄く気持ちよかったよ。これで僕も旅立てる…あぁ、そうだ。他の部屋にも僕の様な変態が居るから掃除する時は気を付けてね。うっかりとり憑かれるとHな目に遭うから…)
(…)
絶頂の余韻に浸るカツミの脳裏によぎるレンの声。ふと、その言葉を思い返した時にはレンの気配は完全に消え去っていた。
「うぅ、俺は…!!うわぁあああああぁぁあぁ!!どうしたカツミ!って、俺が?えっ???えぇええぇぇえ????」
意識が戻った俺の眼前には想像も絶する光景が広がっている。そして、身に覚えのない身体の疲労感と下腹部にベットリと付着した見覚えのある物体。目の前で汗とそれ以外の物体塗れになって息を切らして仰向けに横たわっているカツミの姿。これらの情報を整理して導き出される結論は…
「…バカっ」
「ちょ、カツミ!!おい!」
レンから解放されたツトムが冷静になってこの場で行われていたことを推測する最中、カツミはツトムに今にも消え入りそうな小声で「バカ」と言い放ってベッドから飛び降り、そのまま一度も振り向かずにツトムの部屋から去って行った。一方、一人自室に取り残されたツトムは呆然とカツミが去って行ったドアの方を眺めながらベッドの上で結論を導き出す。
「…無意識にカツミを犯した???いやいや…そんな訳……」
~次の日の早朝~
「っと!お、おはようカツミ」
コーヒーを沸かしにキッチンに向った際、ばったりとジュースを飲みに来たパジャマ姿の
カツミと鉢合わせたツトム。この時、昨晩起きた出来事の大部分の記憶が無いツトムはどうカツミに声をかけていいのか分からず、とりあえず愛想笑みを浮かべてカツミに探りを入れる。
「…アハハ、今日はいい天気だね」
「おはよう。…あのさぁ、メイド服汚れたから洗濯しといて」
「えっ、あぁ分かったよ」
挨拶と軽い要件だけツトムに伝えると、そそくさとジュースを片手に自室に戻るカツミ。
「…ふぅ」
とりあえず、カツミが昨晩のことを怒って無い様でホットした。ってか、家から出て行って無くて本当に良かった。でも、なんかカツミの顔が真っ赤に見えたのは気のせいだろうか?
正式タイトル変更です。
「幽霊にHなことさせられる→幽霊満足して成仏」的な感じのスピリチュアルストーリーですwww
ちなみに、カツミが拾ったテディベアはレンの成仏に連動して消滅した設定です。
あと、幽霊は常時二人を監視?してます。憑依できる条件は対象が自身の遺品を触って満たされます。