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Secret Garden 悲劇の始まり
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悲劇の始まり


草木も眠る丑三つ時…

深夜の松林では「淫羅」と「童炎」の忍びが、影の激戦を繰り広げていた。


時は戦国時代。この大陸では現在4つの強国が存在し、それぞれが大陸の覇権を巡って争っていた。その4つの国の中でも、特に北の玄武国(淫羅)の強さは他国を圧倒しており、戦争開始から1年足らずで、すでに玄武は青龍国と白虎国の東西の国々を滅亡させていた。そして、玄武国はついに朱雀国(童炎)への侵攻を開始し、天下統一への王手をかけていた。




「くっ…淫羅の忍びめ…ヤヒコ!…ヤヒコ!」

「ハ、ハイ!」

童炎の忍び紅は、メンバーの中で一番若いヤヒコと呼ばれる少年を近くに呼び寄せると、耳元でヒソヒソと何かを伝えた。

「いいか、必ず火影様に直接お伝えするのだぞ…よし!ここは我らが食い止める、お前は先に行け」

「で、でも…」

「さっさと行くんだ!皆の犠牲を無駄にするな!」

ヤヒコは紅に言葉に背中を押され、苦戦している仲間に背を向け、涙を流しながら火影の待つ「鳳凰城」に向って走り出した。


「童炎の糞忍びがぁ…手間掛けさせやがって…」

「んっ!?」

ヤヒコを送った直後、紅の目の前に淫羅の巨漢の忍びが現れる。紅が敵の強襲に対して臨戦態勢を取りながら辺りを確認すると、なんと自分以外の童炎の忍びはすでに全員殺されていたのだ。この時、紅は気づいて居なかったが、すでに紅の周囲には数十人の淫羅の忍びが、紅を狙って潜んでいた。





「紅様や他の方々は大丈夫かなぁ…」

淫羅の忍びから必死に逃げているこの少年忍びの名はヤヒコ。年は今年で17歳だ。童炎の忍び里では20歳を成人と定め、20歳になると一人前の忍びとして任務に送られる。だが、戦時下の特例処置なのか、ヤヒコは未成年の身で在りながら危険な任務に参加させられていた。



戦線を離脱し鳳凰城を目指していたヤヒコは、置き去りにしてきた仲間達の安否を心配しながら松林を駆け抜け、やがて広い草原に出る。



「忍法-奈落蜘蛛」

「っ!?」

ヤヒコが草原に出てきたと同時に、先回りしていた淫羅の忍びがヤヒコに向って捕縛の忍術を放った。不意を突かれたヤヒコは、実戦経験が浅いためか敵の術を回避できず、なんと淫羅の忍びに意図も簡単に捕獲されてしまった。

「くっ…動けない…うぅん…こんなところで…」

「…ん?子供か?」

全身を粘着糸に絡めとられ、ジタバタともがくヤヒコを見た淫羅の忍びは、ヤヒコの幼い顔を見るとそう言った。現にヤヒコは、体格はある程度ガッチリしているのだが、容姿の方は、はたから見れば13~4歳にしかみえない中性的な童顔だった。

「あの情報を…火影様に…俺は…」

やがて粘着糸はヤヒコの全身を包みこむと、繭状になりカチカチに固まり出す。そして、淫羅の忍びはヤヒコが包まれた繭を抱え込むと、淫羅の童炎攻略隊の駐屯する野営陣に捕虜として捕まえたヤヒコを移送した。






「……ん?ここは…何処?」

軽い酸欠で意識を失っていたヤヒコが目覚める。そこは急ごしらえで作られた淫羅の牢屋の中だった。

「そ、そうだ…鳳凰城に急がないと…ん?あれ…何だよこれ…」

自身の大切な使命を思い出し、ヤヒコはその場に立ち上がったが、両腕が後ろ手に縛られていて何もできなかった。その時、ヤヒコは自分が捕まっているのだと始めて実感する。

「お、俺…捕まってる?…そうか…あの時…」

「お?目が覚めたか坊や…」

ヤヒコが目覚めるのを待っていたかのように、男が突然ヤヒコに声を掛けてきた。

「御屋形様がオメぇに手を出すなと言うから、俺は気長に待ってたんだぞ?…さぁ、行くぞ」

男はそう言うと、ヤヒコの牢の鍵を開けて中に入り、手に持っていた鎖付きの首輪を嫌がるヤヒコに無理やり装着させる。

「おい!そんなの着けなくてもいいだろ?」

「黙れ、子供とはいえ忍びには変わりは無い…これぐらいしないとな」

ヤヒコに首輪を着けると、男は乱暴に首輪の鎖を引っ張りながらヤヒコを御屋形様と呼ばれる人物の元に連れて歩き出した。

「おい、アレ見ろよ…かわいい面してるよなぁ…」
「でもさ、確か男だぞ…まぁ、女だったら一発ぶち込むけどな」

首輪に繋がれ連行されるヤヒコを眺めている衛兵達が、ヒソヒソと何か自分のことを話している様子を見て、ヤヒコはなんとなく恥ずかしくなり顔を赤く染めながら歩く。やがて、大きな建造物の前までくると、ヤヒコはその中にある大きな広間に連れていかれる。

「ホントにここは野営陣なのか!?」

建造物の中は非常に豪華な造りになっていて、ヤヒコは思わずそう叫んでしまった。と、次の瞬間…

「…余の野営陣、気にいったか?」

「!?」

ヤヒコの目の前には、いつの間にか立派な甲冑を身にまとった男が立っていた。その男からは凄まじい覇気が感じられ、ヤヒコは本能的にその人物との格のちがいを感じ、体を膝まづかせる。

「ほぉ、さすが余の「人形」に選ばれただけのことはある。既に余に屈伏しておるわ。…カムイ!こ奴を本国の調教房に連れて行き、しっかり調教するのだぞ」

「了解しました。この者を必ずや御屋形様がご満足する「人形」にして見せます」

カムイと呼ばれる、ヤヒコをここまで連れてきた人物は、御屋形様と呼ぶ人物の前に土下座してヤヒコの調教役を引き受けた。

「ちょ、冗談じゃない!人形って…調教って…俺は………俺には任務が」

ヤヒコはすべてを理解している訳ではないが、何となく自分がこれからされる行為に強い恐怖心を抱きつつ、自分には使命があるのだと言い出した。その言葉を聞き、ヤヒコの目の前にそびえ立つ男は、すべてを理解しているような顔つきでヤヒコに向って喋り始めた。

「大将軍源氏-すなわち余が、極秘裏に童炎に自ら遠征しに来ている…それを伝える仕事か?」

「え……」

つい先程、紅から聞かされた内容と類似する源氏の発言内容にヤヒコは混乱する。ヤヒコが源氏の言葉に呆然としていると、源氏はヤヒコに向って何かを放り投げる。

「!?……あっ…ああああ…く、紅様…?」

なんと、源氏がヤヒコに放り投げたのは先輩忍びである紅の生首だった。その衝撃の光景にヤヒコは言葉を失う。

「その忍びが全て吐いた…いや、正確には自白はしなかったがな。徹底的に拷問したのだが意志が固くてのぉ、結局は殺す前に強自白剤ですべて聞き出した…天晴な奴じゃ」

源氏の言葉を聞き、ヤヒコの眼から大粒の涙だがポロポロと床の上に流れ落ちた。

「んっ……兄さんだと…思って…うぅ…酷過ぎる……」

兄の様に慕っていた紅の見るも無残な姿、そして、紅達が命掛けで自分に託した情報を国に持ち帰ることも出来ず、捕虜になってしまった自分の力の無さにヤヒコは絶望する。



「俺は……」




相変わらずのアホ設定…
次回、ヤヒコの責めに突入です。

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