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Secret Garden 少年の誇り 序章
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少年の誇り 序章

小さな小窓から射す光に反射され、薄暗い室内に囚われている少年の裸体が照らされる。

「あっ…み、見るなぁああぁ!」

少年は叫ぶ、必死に迫りくる外敵から身を守りながら…


俺の名前はシオン。あの、気高く誇り高きダーカンドラ王国の将軍だ!凄いだろ?
でも、なんでこうなってしまったのか分かんねぇけど、今はスゲー…恥ずかしい目に…
こんなことになるなら出しゃばらずに、大人しくダーカンドラに居ればよかったぜ…はぁ。



~数日前 ダーカンドラ王宮~

俺はいつもの様に玉座前で「元」大親友のロイと仕事を掛けてバトルを繰り広げていた。

「クフィリオスには僕が行くって段取りじゃないですか!デコ助はお呼びじゃないですよ!」

「なんだとインテリメガネ!将軍の俺に向かって暴言吐くなんていい度胸してぇんじゃねぇーか!」

ダーカンドラの王宮。しかも、その国を治める国王が居る玉座を前にして、恐れ多くも喧嘩をする二人の少年。なぜ、このような場所に場違いな子供が居るのかと言うと、なんとこの二人は列記としたこの国の将軍と軍師なのだ。

「痛っ!…うぅ、何するんですか…」

口論の末、軍師である相棒ロイの頭をガツンと叩くシオン。毎度のことだが、大体はこれで喧嘩は終幕を迎える。そして…

「いい加減にしろ!ワシはお前達の才能を認め、それぞれ将軍と軍師の位を与えたが…お前達は事あるごとにワシの眼前で喧嘩ばかりしおって!」

と、ダーカンドラ王がいつもの様に二人を怒鳴りつけて完全に争いを鎮火する。

「も、申し訳ありませんでした陛下!」

「すみませんでした…でも」

怒ったダーカンドラ王に顔を俯かせて謝罪する二人。しかし、軍師であるロイの方は
喧嘩両成敗に納得がいかずにダーカンドラ王に食い下がろうとするが、「でも」とロイが言いだした瞬間にダーカンドラ王はキッとロイを睨む。

「…何でも無いです」

二人の喧嘩はいつものことだが、今回の争いの元は元々ロイが王命で実行しようとしていたクフィリオス訪問を、いざ出発する際にシオンが「俺が行く」とワガママを言ったことから始まったものだった。当然ロイには何の非も無いのだが、ムキになって権利をシオンと奪い合ったことでダーカンドラ王の怒りを買ってしまったようだ。

「とにかくじゃ、こうなったらどちらでも構わんから、さっさとワシの親書をクフィリオス王国の新国王であるクノ王に届けてくれ」

疲れ果てた様な顔でダーカンドラ王はそう言うと、誰に差し出すでもなくクノ王宛ての親書が入った金細工の施された巻物をスッと二人の前にかざす。

「へへっ…そんじゃ俺が」

そう言って何の躊躇も無く、親書をダーカンドラ王から奪い取る様にして受け取るシオン。

「あぁ!デコ助!それは僕が!」

「うるせぇー!早いもん勝ちだよぉーん!」

出遅れたロイは、咄嗟に親書を手にしたシオンから親書を奪い取ろうとするが、身軽なシオンを中々捉える事が出来ず、今さっき怒られたばかりなのに二人は再び玉座の前でドタバタ暴れまわり始める。

「お前達…さっきワシが言ったことは覚えていないのかぁ~!」

二人の振る舞いに今一度声を荒げて激怒するダーカンドラ王。

「し、失礼しましたぁー!」

その瞬間、二人は身体を大きくビクンと震え上がらせた後、声を揃えて玉座から急ぎ足で立ち去った。



その後、玉座を追われる様にして出てきた二人は、不機嫌そうな顔でお互いの肘をぶつけ合いながらダーカンドラ王宮中心部にある中庭までたどり着く。

王宮中心部に存在する中庭は、建国当時から存在するダーカンドラの貴重な文化遺産でもありながら、庭園内には今も朽ちることなくダーカンドラ城の浄水を一手に引き受ける噴水が設置されている。

今は喧嘩の絶えないシオンとロイではあるが、嘗てはこの噴水の縁に二人仲好く寄り添いながら腰かけ、取るに足らないことをいつまでも笑顔で話し合っていたという。しかし、今となってはそれも既に二人の記憶の片隅に追いやられ、最近ではもっぱらの口喧嘩会場となり果てていた。

「あのさ、何でシオンは何かと出しゃばってくるワケ?僕に恨みでもあるの?」

庭園内の噴水前で立ち止まり、さっとシオンの方に向かってそう尋ねるロイ。

「別にー。ただ、お前が手柄立てるのがしゃくにさわるだけ」

ロイの問いに、シオンは目も合わせずにそっぽ向きながら不貞腐れた顔でそう答える。
これには流石のロイも堪忍袋の緒が切れたのか、普段は言わない様な子供染みた台詞をズラリと並べてシオンに浴びせる。

「……くっ…うぅ…お前って本当に嫌な奴だな!小さい頃はずっと僕の隅に隠れてたクセに!このデコ助!バーカ!バーカ!」

ロイは言うだけ言うと、シオンの反撃を許さずにその場からさっさと立ち去った。一方、一人取り残されたシオンは立ち去るロイを自分で怒らせておいてどういう訳か引き止めるが…

「おい、ロイ!何処に行くんだよ!親書は…」

「お前が行くんだろ!さっさと行けよ!妖怪デコデコ!」

顔をパンパンに膨らませ、振り向きざまにシオンの悪口を言うロイ。

「あの野郎ぅ…帰ったら頭ぶん殴ってやるからな…フンッ」


少しムキになって思わず親書を取っちまったが、妖怪デコデコは言い過ぎだ!
俺はロイに親書を返してやるつもりだったが、それは止めて再び親書を懐に戻した。
でも、この行為が後に最悪に繋がるなんてこの時はこれっぽっちも思わなかったんだ…

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