模範囚デビュー
「お兄ちゃん。美味しい?ここの料理は絶品だよね…毎日小さいパンのカケラを二人で分けあってた食べてた頃が懐かしいよ」
ギース達から離れた後、アルフレッドとティオはパーティのイベントが始まるまで、隅のテーブルで食事を行なっていた。
ジュースの入ったグラスを片手に、ティオは【足元】のアルフレッドに向かってそう話しかける。
「はい…美味しい…です」
なぜ足元なのかというと、ルミナルスの一件に腹を立てたティオは、その腹いせにアルフレッドに犬食いをさせていたからである。
いくら美味しい食事だからといって、屈辱的な姿勢で自分の弟に餌付けされる様はとても普通の神経では耐えられない扱いだ。
しかし、こんな生活にすっかり慣れてしまったアルフレッドは、恥ずかしさは感じつつも罰の一環としてそれを自然に受け入れていた。
「お兄ちゃんマゾ過ぎだよ。ホントは昔から僕に躾けられたかったのかな」
「うぅ…そんなこと…」
寧ろ、弟に言葉責めを受ける度にピクンと股間が反応してしまう程にアルフレッドの矯正は進んでいたのだ。
「いっぱい食べてね。この後、お兄ちゃんはステージでショーをするんだから」
「はい…」
そう言いながらアルフレッドの頭をよしよしと撫で回すティオ。
弟に調教され、少しでも興奮している自分が情けなくなったアルフレッドは、目に涙を浮かべながら食事を続ける。
それから暫くして会場内が薄暗くなり、いよいよパーティの本番が始まった。
ティオは食事を切り上げ、アルフレッドを連れて会場中央のステージに向かう。
そこにはギースやルミナルスの姿も当然あった。
「ティオ、あなたショーの前にお兄さんを調教してたってホント?容赦ないわね」
「躾けていただけですよ。卑しい犬と馴れ合おうとしてたんで…ほら、ショーが始まりますよ先輩」
ステージの上に着くや否や、ギースは先程の件を話題に出すが、ティオは不機嫌そうに視線を逸らして答える。
一方のアルフレッドとルミナルスだが、ティオの妨害でなかなか話すことも出来ず、ルミナルスは遠巻きに何だか落ち込んでいるアルフレッドを心配そうに見つめていた。
(アル大丈夫かな…弟に今度は何されたんだ…)
そして、ステージにパーティの主役が全員揃ったところで、ステージの奥から御付きの模範囚達を連れてキサラギが現れ、パーティの開会宣言が始まった。
「…ごほん、今日は新しい模範囚を二人も迎え入れることができ、ワシも嬉しく思う。さぁ、紹介しよう!」
キサラギのスピーチに連動して、アルフレッドとルミナルスにスポットライトが当てられ、二人は揃ってキサラギの元まで歩かされた。
「さぁ、こっちに……アルフレッドとルミナルスだ」
二人がキサラギの元に着くと名前が紹介され、会場にいた看守や模範囚から拍手が湧き上がる。
この時、アルフレッドは再びあの日のことを思い出して身体を震わせるが、隣にいたルミナルスはそっとアルフレッドの手を握ってギュッと握りしめた。
「ルミナ…」
その瞬間アルフレッドの震えは止まり、チラっと横目でルミナルスの方を覗くと、ルミナルスも横目のまま小声でアルフレッドを励ました。
「大丈夫だよ」
「…うん」
そして、それからキサラギによる二人を蔑むような人物紹介スピーチが行われ、二人はスポットライトに照らされたままキサラギからの言葉責めを受けることに…
「アルフレッドは実の弟に調教される様な情けない人間であり、今日からは弟の性奴隷ー」
「何の価値もない屑の様な人生を送ってきたルミナルスだが、ドゴラ監獄での奉仕生活でー」
大体の模範囚は、このスピーチ中に羞恥心で泣かされたり、勃起させられるなど悲惨な目に遭うのだが、お互いに片方が責められている際にもう片方が手を強く握ることで何とかスピーチを乗り切った二人。
また、一部始終をじっと傍で見ていたティオは怒りを抑えきれず拳をギュッと握る。
(コレが終わったら部屋でお仕置きしてやる…いっぱいお仕置きだからね…お兄ちゃん)
やがてキサラギのスピーチが終わり、今度は精神的の責めから肉体的な責めに移る。
「さぁ、二人には模範囚として他の囚人の規範になる様な【お手本】を見せて貰おうか。…服を脱いでワシの前に跪き、誠心誠意の奉仕をしろ」
キサラギは二人にそう指示を出すと、御付きの模範囚達に椅子を用意させ、自分のズボンのチャックを下ろさせもした。
その瞬間、キサラギの既に醜く膨張した性器が露わになる。
「アル…とりあえず服を脱ごう、まずはケツの棒を引き抜かないと」
二人はキサラギの指示に従い、服を繋ぎ留めている肛門のビーズ棒を引き抜き始めた。
初めて着た服だが、同じような行為は散々体験していて抜く作業自体は順調に進む。
「うん…っ…ぁあ…んっんぁあああぁ!」
「いいぞアル…んっ…あんっ…んぁあああぁ!」
だが、排出時に伴う刺激を緩和する術はなく、ビーズが一つ排出される度に二人は喘ぎ声をあげて悶えた。
一つ、また一つ肛門から引き抜かれるビーズ。
二人はほぼ同時に排出を終えたが、露になった股間の性器はぴくぴくヒクつきながら完全に勃起させらていた。
そして、最後に首輪を外して床に置くと、二人はそのままキサラギの前に四つん這いで跪く。
「また…舐めるの…」
「アル!しっかりしろ!俺も一緒だから」
「ルミナ…うん、頑張る」
小声でお互いを励まし合い、ルミナルスにリードされながら、アルフレッドはキサラギの醜いソレに先程の様に奉仕を始めた。
「ふん、やはりティオのテクには程遠いな…ククク」
文句を言いながらも、二人の少年を膝まづかせて性器を舐めさせる行為に、キサラギは満足気な笑みを浮かべたながらその光景を眺めていた。
静け返った会場は、二人の少年がピチャピチャと卑猥な音を立てながら懸命に主人を満足させる為に舌を使ってフェラする音で満たされる。
そして、感受性の高い模範囚達は、その卑猥な光景を目の当たりにして興奮・発情し始め、一人であれば服で自慰行為を始めたり、専属の看守がいる場合はおねだりを始めるなど、ステージ以上に異様な光景が会場全体に広がっていく。
「あぁ…キサラギ様のおチンポぉ…僕もご奉仕したいぃ…あれで貫かれたい…ハァ…ハァ…」
「ご主人様ぁ…お願いします…俺もシたいです…」
通常の囚人達とは異なり、精神・肉体的な調教が済んでいる模範囚の少年達。何かイベントがある度に会場はいつの間にか乱交会場と化す。
「あらあら、ゴードンやセプテムも専属の子達と遊び始めたわね。…あの様子じゃ、局長を満足させるまで時間かかりそうだし羨ましいわ…ねぇティオ」
「僕は別に…」
「ふーん」
他の参加者達が淫行を始める中、ギースに素っ気ない返答をするティオ。
だが、股間が勃起しているのを見逃さなかったギースはそれを見つけて笑みを浮かべる。
(あらあら、大好きなお兄ちゃんのご奉仕姿を見て興奮してるのね…でも、まだまだお預けよティオ)
それから暫くすると、ステージでアルフレッド達にフェラをさせているキサラギの息が徐々に荒くなり、ついにその時が訪れた。
「そぉら!受け取れ変態共!」
「えっ!?」
「んっんんん!」
キサラギのモノから欲が放たれる瞬間、ルミナルスはアルフレッドを押しのけてキサラギの亀頭を咥え込む。
(ルミナ!?)
突然のことに驚くアルフレッドを後目に、ルミナルスはドクドクと脈打つキサラギの体液を全て1人で受け止めていた。
「うっ…んっ…うぅ…ゴクン」
中々途切れないキサラギの汚液に、徐々に表情を歪ませるルミナルス。
そんなルミナルスにキサラギは満足気な表情を浮かべながらそう告げる。
「なんだルミナルス、独り占めか?卑しい奴め…」
「んっ…んっんっ…」
そして、結局一滴も漏らさずにそのままキサラギの欲を飲み干したルミナルス。
「…………も、申し訳ございません!キサラギ様の濃厚なエキスを独り占めしたくて…全て飲んでしまいました」
「しょうがない奴だ。アルフレッドは可哀想だが残った汁をキレイに舐め取れ。少しは残り汁にありつけるだろ」
「あっ…はい!」
アルフレッドは慌てて体制を立て直し、亀頭に残った僅かな残りカスを舐めとる。
「ふぅ、ルミナルスは中々勢いがあって見込みがありそうだ。アルフレッドはさっきも言ったが、もう少し弟にでも教えを乞うんだな」
「…ありがとうございます。キサラギ様」
「はい、頑張ります…」
(…ルミナは僕を?)
一連の行為が終わった時、アルフレッドはルミナルスが自分を庇ってくれたことに気が付いた。
キサラギに感謝の言葉を述べながら、吐き気を催し俯くルミナルス。
そんなルミナルスの背中をアルフレッドは優しく摩る。
「ルミナどうして一人で…」
「へへ…大丈夫だよ…」
心配するアルフレッドに、ルミナルスは無理やり振り絞った様な笑顔で応えた。
そして、そんな二人をよそにキサラギはふと目に入った乱交パーティと化した会場内を見渡しこう呟いた。
「ふん、いつもながら勝手に盛り上がっている様だな…これ以上の進行は無意味か。それに、貴様らもワシとシたいのか?」
そう言ってキサラギは、近くに居る御付きの模範囚の少年達を見つめる。
少年達は股間のモノをパンパンにさせながらモゾモゾと息を荒げていた。
「キサラギ様ぁ…私達をお仕置きして頂けないでしょうか?」
「僕達…悪い子なんですぅ…大切なパーティなのに…ぁん…」
物欲しそうに息を荒げながら少年達がそう告げると、キサラギは不気味な笑みを浮かべる。
「ククク、模範囚は淫乱ばかりで困った物だな…いいだろう。調教室でたっぷり躾けてやる…ギース!後は任せる…パーティはお開きだ」
「…承知いたしました局長」
キサラギはギースにそう告げると、足早に模範囚の少年達を連れて会場を後にした。
呆気ない幕切れではあったが、これでアルフレッド達の模範囚への昇格のパーティは終了したのだ。
アルフレッドやルミナルスは無論キサラギの興味の対象ではあるが、特にお気に入りである模範囚達の中での存在は霞んでしまうのである。
「さてと、任せるって言われてもね…大体、模範囚のパーティっていつも【こうなる】から、後始末が面倒だし…」
一方、キサラギにパーティの後始末を任されたギースは、今も続いている会場内の異様な光景に、ため息をつきながらそうボヤく。
「…そうだ!そうよ…そうしましょう♪」
そして、ハッと何かを思いついたギースはニコニコしながらアルフレッド達にこう告げる。
「さぁ、二人は囚人服に着替えたらこっちにいらっしゃい。新しい寝床に私が案内してあげるわ」
「…はい!」
恥辱塗れのショーの終わりを告げられた二人は、嬉しそうに揃ってそう返事をすると、ゆっくりと立ち上がり着替えを始めた。
しかし、その様子を傍で見ていたティオが慌ててギースに詰め寄る。
「ちょ…ギース先輩!お兄ちゃんを何処に連れて行くんですか!?」
パーティが終わり、ティオはさっそくアルフレッドを自室に再び連れ帰って調教しようとしていたのだ。
それを邪魔され、怒るティオにギースはー
「何処って模範囚の牢に決まってるじゃない。まさかアナタ、ずっとアルフレッドと一緒に居るつもり?」
「いや、だって専属だし…」
ギースの指摘に言葉を詰まらせるティオ。
「勿論、専属は好きに呼び出せる権利はあるけど、日中は局長絡みの模範囚の仕事もあるんだからお楽しみは夜の時間だけよ」
アルフレッドはティオの専属の性奴隷でもあるが、ギースの言う様に個人的に独占できる時間は限られている。
今までは懲罰という名目で呼びだし、調教室での調教が可能ではあったが、模範囚になると逆に難癖を付けて連れ出すのは逆に難しくなっていたのだ。
それは、模範囚の強制労働が、キサラギへの性的な奉仕活動で占められているという優先順位に基づく結果である。
だが、実はアルフレッドとルミナルスだけは、とある理由から例外扱いだった。しかし、それを知らないティオはギースに反論できず…
(当然だけど何も知らないのね…まぁ、その時をを楽しみにしているわティオ)
何も知らないティオは、所詮タダのオモチャだと認識し心の底で嘲笑うギース。
一方のティオは、色々と自分の楽しみを邪魔するギースに憎悪を深める。
「くっ!ギース…」
「まだ何か言いたそうね…そうそう、ココの後始末だけどアナタに任せるわ。よろしくね♪」
「!?え…なっ…そんな!」
「コレは命令よ。いいわねティオ」
そう言ってギースはティオの肩をポンと叩くと、着替えを終えていた二人を連れて会場から出て行った。
会場の片付けを唐突に押し付けられ、アルフレッドの調教もできなくなったティオは、近くにあったテーブルを勢いよく叩きつける。
「クソぉ…なんで僕の邪魔ばかりするんだ…お義父もどうしてルミナルスなんかを……んっ?」
ふと、ティオの視界に一人の模範囚が入る。
模範囚の少年は肛門のビーズを出し入れしながら自慰行為をしていた。
「ハァ…ハァ…」
「…なに気持ちよさそうにシコってるんだ…」
ティオはブツブツ小言を言いながらその模範囚に迫ると、なんと腹いせに自慰中の模範囚に鞭打ちし始めたのだ。
「ほら、さっさと片付けろ!それとももっと僕の鞭が欲しいのかい?」
「テ、ティオ様…すぐに片付けさせていただき…あっ!!」
模範囚の少年がティオにいきなり叱咤され、慌ててテーブルの食器を片付けようとした瞬間、ティオの鞭が少年のお尻に叩きつけられる。
「遅い!口より手を動かせ…」
「申し訳ございません!…うぅ…私はいつもトロくて…だから…お仕置きを…もっと…」
どうやら少年は鞭打ちが好物だったらしく、お尻を突き出してワザとティオを怒らせ鞭打ちに備えるが、それを見たティオは呆れた顔で鞭打ちを止めた。
「……あーもういいから早く片付けて」
「あっ………はい…」
鞭打ちが止まり、模範囚は寧ろ逆に落ち込み、テーブルの食器を片し始める。
その様子にティオは怒りの矛先が無くなり、大きなため息を吐く。
「ハァ………お兄ちゃんは今頃あいつとイチャついてるのかな…クソぉ…絶対にお兄ちゃんは渡さないからな…」
ティオは小声でそう呟きながら、早く仕事を切り上げ、ギース達を追いかけようと気分を切り替える。
そして、パーティ会場の後片付けの指示を出し始めた…のだがー
「ちょ!?ゴードン先輩!会場でそんなハードなプレイはやめてください!後始末が大変なので!」
「あっ!セプテム先輩も男体盛りとか駄目!自分の部屋でやってください!」
そんな感じで会場の後片付けは様々な理由で難航することに…
一方、その頃アルフレッド達はー
ギースに連れられ、新しくアルフレッド達が収監される模範囚専用の監獄に向かっていた。
そこは今まで収監されていたエリアとは異なり、照明設備なども整っている。
ただ、パーティで出払っているのか他の模範囚達の姿は一人も見当たらなかった。
「アナタ達も知ってると思うけど、半年前に大きな脱走事件があってね…いまはここもスカスカよ。さっき会場にいた模範囚が全員になるわね」
ギースは空の牢を眺めながらそうボヤく。
「…」
二人はそれを聞いて、前に脱走事件の模範囚達が鞭打ちされていた光景を思い出していたが、わざわざ脱走した理由などについては聞こうとは思わなかった。
何故なら、自分達も逃げ出せるチャンスがあるのなら、今すぐにでも逃げ出したい待遇だからだ。
そのまましばらく三人は監獄を進み、やがてギースは一つの牢の前で立ち止まる。
「さぁ、ココが新しい【アナタ達】の巣よ。二人部屋だけど前より全然快適でしょ?」
ギースに案内されたアルフレッド達の新しい牢、それはなんと二人部屋だった。
しかも、前の牢屋とは格段に待遇がよく、模範囚の牢にはベッドもそれぞれ対角に1台づつ用意されている。
「!?」
「二人部屋なんですか?」
それを見たアルフレッドとルミナルスは、お互い顔を見合わせて笑顔になる。
「そうよ、模範囚は模範囚に監視させる決まりになっててねぇ…だから相部屋なのよ。じゃ、私はそろそろ行くけど……ふふ、ヤりすぎない様にね」
ギースは簡単な模範囚のルールを説明すると、笑顔で意味深な忠告を二人に残し、特に何もせず牢の鍵を閉めてその場を去る。
その後、その日は特に予定がなかった二人は、とりあえずルミナルス側のベッドで一緒に横になり、コソコソ小声で雑談を行っていた。
「あのさルミナ。ずっと気になってたんだけど、どうやって模範囚になったの?僕、パーティにルミナが居てビックリしたよ」
「いや…俺もよくわからなくて…アルと別れたあの後、すぐにまたギースのやつが急にやってきてさぁー」
ルミナルスは、アルフレッドに早朝からの出来事を説明し、模範囚になれた経緯を話す。
ただ、重要な部分に関しては恥ずかしい気持ちもあって伏せたままにしていた。
「…という感じで、ギースがまた何か企んでる感じだけど……まぁ、こうなれたからいいや」
そう言って話をまとめ、アルフレッドの頭を撫でるルミナルス。
強制労働中や看守からの調教の際など、特殊な状況下でしか触れ合うことが出来なかった二人は、この時初めて鉄格子越しではない状況で自分達の意思で触れ合うことができたのだ。
「あっ…ルミナ…」
頭を撫でられ、思わず頬を赤らめるアルフレッド。
「こんなに落ち着いてアルと一緒に居られる時間なんて今まで無かったからな…模範囚も悪くないよ…まぁ、この服は最悪だけど」
「えへへ、ホント最悪だよね!着たり脱いだりする度にお尻を弄らないといけないし…」
そう言いながら恥ずかしそうにお尻の部分を摩るアルフレッド。
「あっ…そうだ、さっきはありがとう!また前みたいに助けられてちゃったね…いつもゴメン…」
「あーいいって、俺慣れてるし!」
パーティ会場で色々とルミナルスにフォローされたことを思い出したアルフレッドは、申し訳なさそうな表情で感謝を伝え、話を続けるー
「ルミナさぁ、いつの間にかカッコよくなったよね」
「アル?」
「いつの間にか俺って言うようになったし、半年前は僕とそんなに身長も変わらなかったのに…いまは抜かされちゃったし」
「そ、そうかな…だって…まぁ一応先輩だからな!あはは…」
アルフレッドの突然の告白に照れるルミナルス。
「ホントありがとう…大好きだよ…」
「…俺も…」
友情以上の感情をお互い抱きつつあった二人は、そのままそっと手を取り合って握り合う。
「今日は同じ布団で寝ていい?僕らで秘密にしていればバレないよね?」
「しょうがないなぁ…まぁバレたら二人でお仕置きされればいいか…なぁ」
「えへへ…じゃ、決まりだね!」
そんな話をしながら、どんどんベッドの上で距離を詰めていく二人。気づけば身体を密着させ合いながらあやしい雰囲気に…
「ルミナ、今日…僕その…イってなくて…」
「アルも?…実は俺もなんだよね」
アルフレッドの意味深な発言を察して、ルミナルスはアルフレッドのお尻に手を伸ばす。
そして、アルフレッドの肛門に挿入された服の固定用ビーズをゆっくりと出し入れし始めた。
「んっ…あっ…んんぁ!…気持ちぃ…もっとシてぇ…」
「アル…俺のも抜いて…うっ…」
気持ち良さそうに喘ぐアルフレッドに、ルミナルスもおねだりをし、今度はアルフレッドがルミナルスの肛門のビーズを出し入れし始める。
「んっ…気持ちぃ…アルゥ…」
「ルミナ…もっと…僕のももっとジュポジュポしてぇ…」
この日は意外にも、実は一度も出していなかった二人。
朝から服の件も含め、性的な刺激で何度も勃起させられてはいたが、他の模範囚の様にその場で欲情することも出来ず溜め込んでいたのだ。
「うぅ…こっちもいいよなぁ…」
「うん…服が汚れちゃうからぁ…ズラそうかぁ…あっ…ルミナなのも大っきく…なって…はぁあぁん!」
やがて二人は、いつの間にか勃起した性器を服をズラして露出させ、クニクニと性器を押し付け合う様にお互いのモノを擦り付け合う。
「とまらないぃ…出すときは口で…飲むから…」
「俺も…アルのだったらぁ…はぁんっ…んっ」
ただ一緒に眠るだけだった話が、いつの間にか性行にまで発展してしまい、二人は疲れ果てるまで同じベッドの上で混じり合い続けた。
それが、間接的に仕組まれた状況であったとも気づかずにー
一方、同時刻の看守室。
「ふふふ、もう傑作!こっそり布団の中で絡み合ってるのなんて会話も含めてバレバレなんだから」
早速、二人の様子を盗撮・盗聴で監視していたギースが、意図的に仕組んだ流れで二人がまんまと絡み合いに発展したことで喜びはしゃぐ。
「まぁ、同じ牢に突っ込んだらいつかはこうなると思ってたけど、まさか本当に初日からシちゃうなんて…でも、コレをティオが見たら発狂するわね。だから、こっそり消しておいてあげなきゃ♪」
その後、たっぷりと二人の淫行を楽しんだあとは、看守の権限を使って二人が収監されている牢の録画データを削除するギース。
勿論、個人の鑑賞用と【報告用】のデータコピーをした後でだ。
そして、パーティの後片付け対応をしているティオは、まさか二人が同じ牢に収監され、挙句に絡み合っているなど想像もしていなかった…
ギース達から離れた後、アルフレッドとティオはパーティのイベントが始まるまで、隅のテーブルで食事を行なっていた。
ジュースの入ったグラスを片手に、ティオは【足元】のアルフレッドに向かってそう話しかける。
「はい…美味しい…です」
なぜ足元なのかというと、ルミナルスの一件に腹を立てたティオは、その腹いせにアルフレッドに犬食いをさせていたからである。
いくら美味しい食事だからといって、屈辱的な姿勢で自分の弟に餌付けされる様はとても普通の神経では耐えられない扱いだ。
しかし、こんな生活にすっかり慣れてしまったアルフレッドは、恥ずかしさは感じつつも罰の一環としてそれを自然に受け入れていた。
「お兄ちゃんマゾ過ぎだよ。ホントは昔から僕に躾けられたかったのかな」
「うぅ…そんなこと…」
寧ろ、弟に言葉責めを受ける度にピクンと股間が反応してしまう程にアルフレッドの矯正は進んでいたのだ。
「いっぱい食べてね。この後、お兄ちゃんはステージでショーをするんだから」
「はい…」
そう言いながらアルフレッドの頭をよしよしと撫で回すティオ。
弟に調教され、少しでも興奮している自分が情けなくなったアルフレッドは、目に涙を浮かべながら食事を続ける。
それから暫くして会場内が薄暗くなり、いよいよパーティの本番が始まった。
ティオは食事を切り上げ、アルフレッドを連れて会場中央のステージに向かう。
そこにはギースやルミナルスの姿も当然あった。
「ティオ、あなたショーの前にお兄さんを調教してたってホント?容赦ないわね」
「躾けていただけですよ。卑しい犬と馴れ合おうとしてたんで…ほら、ショーが始まりますよ先輩」
ステージの上に着くや否や、ギースは先程の件を話題に出すが、ティオは不機嫌そうに視線を逸らして答える。
一方のアルフレッドとルミナルスだが、ティオの妨害でなかなか話すことも出来ず、ルミナルスは遠巻きに何だか落ち込んでいるアルフレッドを心配そうに見つめていた。
(アル大丈夫かな…弟に今度は何されたんだ…)
そして、ステージにパーティの主役が全員揃ったところで、ステージの奥から御付きの模範囚達を連れてキサラギが現れ、パーティの開会宣言が始まった。
「…ごほん、今日は新しい模範囚を二人も迎え入れることができ、ワシも嬉しく思う。さぁ、紹介しよう!」
キサラギのスピーチに連動して、アルフレッドとルミナルスにスポットライトが当てられ、二人は揃ってキサラギの元まで歩かされた。
「さぁ、こっちに……アルフレッドとルミナルスだ」
二人がキサラギの元に着くと名前が紹介され、会場にいた看守や模範囚から拍手が湧き上がる。
この時、アルフレッドは再びあの日のことを思い出して身体を震わせるが、隣にいたルミナルスはそっとアルフレッドの手を握ってギュッと握りしめた。
「ルミナ…」
その瞬間アルフレッドの震えは止まり、チラっと横目でルミナルスの方を覗くと、ルミナルスも横目のまま小声でアルフレッドを励ました。
「大丈夫だよ」
「…うん」
そして、それからキサラギによる二人を蔑むような人物紹介スピーチが行われ、二人はスポットライトに照らされたままキサラギからの言葉責めを受けることに…
「アルフレッドは実の弟に調教される様な情けない人間であり、今日からは弟の性奴隷ー」
「何の価値もない屑の様な人生を送ってきたルミナルスだが、ドゴラ監獄での奉仕生活でー」
大体の模範囚は、このスピーチ中に羞恥心で泣かされたり、勃起させられるなど悲惨な目に遭うのだが、お互いに片方が責められている際にもう片方が手を強く握ることで何とかスピーチを乗り切った二人。
また、一部始終をじっと傍で見ていたティオは怒りを抑えきれず拳をギュッと握る。
(コレが終わったら部屋でお仕置きしてやる…いっぱいお仕置きだからね…お兄ちゃん)
やがてキサラギのスピーチが終わり、今度は精神的の責めから肉体的な責めに移る。
「さぁ、二人には模範囚として他の囚人の規範になる様な【お手本】を見せて貰おうか。…服を脱いでワシの前に跪き、誠心誠意の奉仕をしろ」
キサラギは二人にそう指示を出すと、御付きの模範囚達に椅子を用意させ、自分のズボンのチャックを下ろさせもした。
その瞬間、キサラギの既に醜く膨張した性器が露わになる。
「アル…とりあえず服を脱ごう、まずはケツの棒を引き抜かないと」
二人はキサラギの指示に従い、服を繋ぎ留めている肛門のビーズ棒を引き抜き始めた。
初めて着た服だが、同じような行為は散々体験していて抜く作業自体は順調に進む。
「うん…っ…ぁあ…んっんぁあああぁ!」
「いいぞアル…んっ…あんっ…んぁあああぁ!」
だが、排出時に伴う刺激を緩和する術はなく、ビーズが一つ排出される度に二人は喘ぎ声をあげて悶えた。
一つ、また一つ肛門から引き抜かれるビーズ。
二人はほぼ同時に排出を終えたが、露になった股間の性器はぴくぴくヒクつきながら完全に勃起させらていた。
そして、最後に首輪を外して床に置くと、二人はそのままキサラギの前に四つん這いで跪く。
「また…舐めるの…」
「アル!しっかりしろ!俺も一緒だから」
「ルミナ…うん、頑張る」
小声でお互いを励まし合い、ルミナルスにリードされながら、アルフレッドはキサラギの醜いソレに先程の様に奉仕を始めた。
「ふん、やはりティオのテクには程遠いな…ククク」
文句を言いながらも、二人の少年を膝まづかせて性器を舐めさせる行為に、キサラギは満足気な笑みを浮かべたながらその光景を眺めていた。
静け返った会場は、二人の少年がピチャピチャと卑猥な音を立てながら懸命に主人を満足させる為に舌を使ってフェラする音で満たされる。
そして、感受性の高い模範囚達は、その卑猥な光景を目の当たりにして興奮・発情し始め、一人であれば服で自慰行為を始めたり、専属の看守がいる場合はおねだりを始めるなど、ステージ以上に異様な光景が会場全体に広がっていく。
「あぁ…キサラギ様のおチンポぉ…僕もご奉仕したいぃ…あれで貫かれたい…ハァ…ハァ…」
「ご主人様ぁ…お願いします…俺もシたいです…」
通常の囚人達とは異なり、精神・肉体的な調教が済んでいる模範囚の少年達。何かイベントがある度に会場はいつの間にか乱交会場と化す。
「あらあら、ゴードンやセプテムも専属の子達と遊び始めたわね。…あの様子じゃ、局長を満足させるまで時間かかりそうだし羨ましいわ…ねぇティオ」
「僕は別に…」
「ふーん」
他の参加者達が淫行を始める中、ギースに素っ気ない返答をするティオ。
だが、股間が勃起しているのを見逃さなかったギースはそれを見つけて笑みを浮かべる。
(あらあら、大好きなお兄ちゃんのご奉仕姿を見て興奮してるのね…でも、まだまだお預けよティオ)
それから暫くすると、ステージでアルフレッド達にフェラをさせているキサラギの息が徐々に荒くなり、ついにその時が訪れた。
「そぉら!受け取れ変態共!」
「えっ!?」
「んっんんん!」
キサラギのモノから欲が放たれる瞬間、ルミナルスはアルフレッドを押しのけてキサラギの亀頭を咥え込む。
(ルミナ!?)
突然のことに驚くアルフレッドを後目に、ルミナルスはドクドクと脈打つキサラギの体液を全て1人で受け止めていた。
「うっ…んっ…うぅ…ゴクン」
中々途切れないキサラギの汚液に、徐々に表情を歪ませるルミナルス。
そんなルミナルスにキサラギは満足気な表情を浮かべながらそう告げる。
「なんだルミナルス、独り占めか?卑しい奴め…」
「んっ…んっんっ…」
そして、結局一滴も漏らさずにそのままキサラギの欲を飲み干したルミナルス。
「…………も、申し訳ございません!キサラギ様の濃厚なエキスを独り占めしたくて…全て飲んでしまいました」
「しょうがない奴だ。アルフレッドは可哀想だが残った汁をキレイに舐め取れ。少しは残り汁にありつけるだろ」
「あっ…はい!」
アルフレッドは慌てて体制を立て直し、亀頭に残った僅かな残りカスを舐めとる。
「ふぅ、ルミナルスは中々勢いがあって見込みがありそうだ。アルフレッドはさっきも言ったが、もう少し弟にでも教えを乞うんだな」
「…ありがとうございます。キサラギ様」
「はい、頑張ります…」
(…ルミナは僕を?)
一連の行為が終わった時、アルフレッドはルミナルスが自分を庇ってくれたことに気が付いた。
キサラギに感謝の言葉を述べながら、吐き気を催し俯くルミナルス。
そんなルミナルスの背中をアルフレッドは優しく摩る。
「ルミナどうして一人で…」
「へへ…大丈夫だよ…」
心配するアルフレッドに、ルミナルスは無理やり振り絞った様な笑顔で応えた。
そして、そんな二人をよそにキサラギはふと目に入った乱交パーティと化した会場内を見渡しこう呟いた。
「ふん、いつもながら勝手に盛り上がっている様だな…これ以上の進行は無意味か。それに、貴様らもワシとシたいのか?」
そう言ってキサラギは、近くに居る御付きの模範囚の少年達を見つめる。
少年達は股間のモノをパンパンにさせながらモゾモゾと息を荒げていた。
「キサラギ様ぁ…私達をお仕置きして頂けないでしょうか?」
「僕達…悪い子なんですぅ…大切なパーティなのに…ぁん…」
物欲しそうに息を荒げながら少年達がそう告げると、キサラギは不気味な笑みを浮かべる。
「ククク、模範囚は淫乱ばかりで困った物だな…いいだろう。調教室でたっぷり躾けてやる…ギース!後は任せる…パーティはお開きだ」
「…承知いたしました局長」
キサラギはギースにそう告げると、足早に模範囚の少年達を連れて会場を後にした。
呆気ない幕切れではあったが、これでアルフレッド達の模範囚への昇格のパーティは終了したのだ。
アルフレッドやルミナルスは無論キサラギの興味の対象ではあるが、特にお気に入りである模範囚達の中での存在は霞んでしまうのである。
「さてと、任せるって言われてもね…大体、模範囚のパーティっていつも【こうなる】から、後始末が面倒だし…」
一方、キサラギにパーティの後始末を任されたギースは、今も続いている会場内の異様な光景に、ため息をつきながらそうボヤく。
「…そうだ!そうよ…そうしましょう♪」
そして、ハッと何かを思いついたギースはニコニコしながらアルフレッド達にこう告げる。
「さぁ、二人は囚人服に着替えたらこっちにいらっしゃい。新しい寝床に私が案内してあげるわ」
「…はい!」
恥辱塗れのショーの終わりを告げられた二人は、嬉しそうに揃ってそう返事をすると、ゆっくりと立ち上がり着替えを始めた。
しかし、その様子を傍で見ていたティオが慌ててギースに詰め寄る。
「ちょ…ギース先輩!お兄ちゃんを何処に連れて行くんですか!?」
パーティが終わり、ティオはさっそくアルフレッドを自室に再び連れ帰って調教しようとしていたのだ。
それを邪魔され、怒るティオにギースはー
「何処って模範囚の牢に決まってるじゃない。まさかアナタ、ずっとアルフレッドと一緒に居るつもり?」
「いや、だって専属だし…」
ギースの指摘に言葉を詰まらせるティオ。
「勿論、専属は好きに呼び出せる権利はあるけど、日中は局長絡みの模範囚の仕事もあるんだからお楽しみは夜の時間だけよ」
アルフレッドはティオの専属の性奴隷でもあるが、ギースの言う様に個人的に独占できる時間は限られている。
今までは懲罰という名目で呼びだし、調教室での調教が可能ではあったが、模範囚になると逆に難癖を付けて連れ出すのは逆に難しくなっていたのだ。
それは、模範囚の強制労働が、キサラギへの性的な奉仕活動で占められているという優先順位に基づく結果である。
だが、実はアルフレッドとルミナルスだけは、とある理由から例外扱いだった。しかし、それを知らないティオはギースに反論できず…
(当然だけど何も知らないのね…まぁ、その時をを楽しみにしているわティオ)
何も知らないティオは、所詮タダのオモチャだと認識し心の底で嘲笑うギース。
一方のティオは、色々と自分の楽しみを邪魔するギースに憎悪を深める。
「くっ!ギース…」
「まだ何か言いたそうね…そうそう、ココの後始末だけどアナタに任せるわ。よろしくね♪」
「!?え…なっ…そんな!」
「コレは命令よ。いいわねティオ」
そう言ってギースはティオの肩をポンと叩くと、着替えを終えていた二人を連れて会場から出て行った。
会場の片付けを唐突に押し付けられ、アルフレッドの調教もできなくなったティオは、近くにあったテーブルを勢いよく叩きつける。
「クソぉ…なんで僕の邪魔ばかりするんだ…お義父もどうしてルミナルスなんかを……んっ?」
ふと、ティオの視界に一人の模範囚が入る。
模範囚の少年は肛門のビーズを出し入れしながら自慰行為をしていた。
「ハァ…ハァ…」
「…なに気持ちよさそうにシコってるんだ…」
ティオはブツブツ小言を言いながらその模範囚に迫ると、なんと腹いせに自慰中の模範囚に鞭打ちし始めたのだ。
「ほら、さっさと片付けろ!それとももっと僕の鞭が欲しいのかい?」
「テ、ティオ様…すぐに片付けさせていただき…あっ!!」
模範囚の少年がティオにいきなり叱咤され、慌ててテーブルの食器を片付けようとした瞬間、ティオの鞭が少年のお尻に叩きつけられる。
「遅い!口より手を動かせ…」
「申し訳ございません!…うぅ…私はいつもトロくて…だから…お仕置きを…もっと…」
どうやら少年は鞭打ちが好物だったらしく、お尻を突き出してワザとティオを怒らせ鞭打ちに備えるが、それを見たティオは呆れた顔で鞭打ちを止めた。
「……あーもういいから早く片付けて」
「あっ………はい…」
鞭打ちが止まり、模範囚は寧ろ逆に落ち込み、テーブルの食器を片し始める。
その様子にティオは怒りの矛先が無くなり、大きなため息を吐く。
「ハァ………お兄ちゃんは今頃あいつとイチャついてるのかな…クソぉ…絶対にお兄ちゃんは渡さないからな…」
ティオは小声でそう呟きながら、早く仕事を切り上げ、ギース達を追いかけようと気分を切り替える。
そして、パーティ会場の後片付けの指示を出し始めた…のだがー
「ちょ!?ゴードン先輩!会場でそんなハードなプレイはやめてください!後始末が大変なので!」
「あっ!セプテム先輩も男体盛りとか駄目!自分の部屋でやってください!」
そんな感じで会場の後片付けは様々な理由で難航することに…
一方、その頃アルフレッド達はー
ギースに連れられ、新しくアルフレッド達が収監される模範囚専用の監獄に向かっていた。
そこは今まで収監されていたエリアとは異なり、照明設備なども整っている。
ただ、パーティで出払っているのか他の模範囚達の姿は一人も見当たらなかった。
「アナタ達も知ってると思うけど、半年前に大きな脱走事件があってね…いまはここもスカスカよ。さっき会場にいた模範囚が全員になるわね」
ギースは空の牢を眺めながらそうボヤく。
「…」
二人はそれを聞いて、前に脱走事件の模範囚達が鞭打ちされていた光景を思い出していたが、わざわざ脱走した理由などについては聞こうとは思わなかった。
何故なら、自分達も逃げ出せるチャンスがあるのなら、今すぐにでも逃げ出したい待遇だからだ。
そのまましばらく三人は監獄を進み、やがてギースは一つの牢の前で立ち止まる。
「さぁ、ココが新しい【アナタ達】の巣よ。二人部屋だけど前より全然快適でしょ?」
ギースに案内されたアルフレッド達の新しい牢、それはなんと二人部屋だった。
しかも、前の牢屋とは格段に待遇がよく、模範囚の牢にはベッドもそれぞれ対角に1台づつ用意されている。
「!?」
「二人部屋なんですか?」
それを見たアルフレッドとルミナルスは、お互い顔を見合わせて笑顔になる。
「そうよ、模範囚は模範囚に監視させる決まりになっててねぇ…だから相部屋なのよ。じゃ、私はそろそろ行くけど……ふふ、ヤりすぎない様にね」
ギースは簡単な模範囚のルールを説明すると、笑顔で意味深な忠告を二人に残し、特に何もせず牢の鍵を閉めてその場を去る。
その後、その日は特に予定がなかった二人は、とりあえずルミナルス側のベッドで一緒に横になり、コソコソ小声で雑談を行っていた。
「あのさルミナ。ずっと気になってたんだけど、どうやって模範囚になったの?僕、パーティにルミナが居てビックリしたよ」
「いや…俺もよくわからなくて…アルと別れたあの後、すぐにまたギースのやつが急にやってきてさぁー」
ルミナルスは、アルフレッドに早朝からの出来事を説明し、模範囚になれた経緯を話す。
ただ、重要な部分に関しては恥ずかしい気持ちもあって伏せたままにしていた。
「…という感じで、ギースがまた何か企んでる感じだけど……まぁ、こうなれたからいいや」
そう言って話をまとめ、アルフレッドの頭を撫でるルミナルス。
強制労働中や看守からの調教の際など、特殊な状況下でしか触れ合うことが出来なかった二人は、この時初めて鉄格子越しではない状況で自分達の意思で触れ合うことができたのだ。
「あっ…ルミナ…」
頭を撫でられ、思わず頬を赤らめるアルフレッド。
「こんなに落ち着いてアルと一緒に居られる時間なんて今まで無かったからな…模範囚も悪くないよ…まぁ、この服は最悪だけど」
「えへへ、ホント最悪だよね!着たり脱いだりする度にお尻を弄らないといけないし…」
そう言いながら恥ずかしそうにお尻の部分を摩るアルフレッド。
「あっ…そうだ、さっきはありがとう!また前みたいに助けられてちゃったね…いつもゴメン…」
「あーいいって、俺慣れてるし!」
パーティ会場で色々とルミナルスにフォローされたことを思い出したアルフレッドは、申し訳なさそうな表情で感謝を伝え、話を続けるー
「ルミナさぁ、いつの間にかカッコよくなったよね」
「アル?」
「いつの間にか俺って言うようになったし、半年前は僕とそんなに身長も変わらなかったのに…いまは抜かされちゃったし」
「そ、そうかな…だって…まぁ一応先輩だからな!あはは…」
アルフレッドの突然の告白に照れるルミナルス。
「ホントありがとう…大好きだよ…」
「…俺も…」
友情以上の感情をお互い抱きつつあった二人は、そのままそっと手を取り合って握り合う。
「今日は同じ布団で寝ていい?僕らで秘密にしていればバレないよね?」
「しょうがないなぁ…まぁバレたら二人でお仕置きされればいいか…なぁ」
「えへへ…じゃ、決まりだね!」
そんな話をしながら、どんどんベッドの上で距離を詰めていく二人。気づけば身体を密着させ合いながらあやしい雰囲気に…
「ルミナ、今日…僕その…イってなくて…」
「アルも?…実は俺もなんだよね」
アルフレッドの意味深な発言を察して、ルミナルスはアルフレッドのお尻に手を伸ばす。
そして、アルフレッドの肛門に挿入された服の固定用ビーズをゆっくりと出し入れし始めた。
「んっ…あっ…んんぁ!…気持ちぃ…もっとシてぇ…」
「アル…俺のも抜いて…うっ…」
気持ち良さそうに喘ぐアルフレッドに、ルミナルスもおねだりをし、今度はアルフレッドがルミナルスの肛門のビーズを出し入れし始める。
「んっ…気持ちぃ…アルゥ…」
「ルミナ…もっと…僕のももっとジュポジュポしてぇ…」
この日は意外にも、実は一度も出していなかった二人。
朝から服の件も含め、性的な刺激で何度も勃起させられてはいたが、他の模範囚の様にその場で欲情することも出来ず溜め込んでいたのだ。
「うぅ…こっちもいいよなぁ…」
「うん…服が汚れちゃうからぁ…ズラそうかぁ…あっ…ルミナなのも大っきく…なって…はぁあぁん!」
やがて二人は、いつの間にか勃起した性器を服をズラして露出させ、クニクニと性器を押し付け合う様にお互いのモノを擦り付け合う。
「とまらないぃ…出すときは口で…飲むから…」
「俺も…アルのだったらぁ…はぁんっ…んっ」
ただ一緒に眠るだけだった話が、いつの間にか性行にまで発展してしまい、二人は疲れ果てるまで同じベッドの上で混じり合い続けた。
それが、間接的に仕組まれた状況であったとも気づかずにー
一方、同時刻の看守室。
「ふふふ、もう傑作!こっそり布団の中で絡み合ってるのなんて会話も含めてバレバレなんだから」
早速、二人の様子を盗撮・盗聴で監視していたギースが、意図的に仕組んだ流れで二人がまんまと絡み合いに発展したことで喜びはしゃぐ。
「まぁ、同じ牢に突っ込んだらいつかはこうなると思ってたけど、まさか本当に初日からシちゃうなんて…でも、コレをティオが見たら発狂するわね。だから、こっそり消しておいてあげなきゃ♪」
その後、たっぷりと二人の淫行を楽しんだあとは、看守の権限を使って二人が収監されている牢の録画データを削除するギース。
勿論、個人の鑑賞用と【報告用】のデータコピーをした後でだ。
そして、パーティの後片付け対応をしているティオは、まさか二人が同じ牢に収監され、挙句に絡み合っているなど想像もしていなかった…