文芸部のむっつりくんとオープンスケベくん 没案
俺には変わった好みがあり、それは男が好きだってことだった。
いつから男好きになったのかは分からねぇけど、もしかしたら生まれた時からそうだったのかもしれねぇ。
とにかく、こんな話は誰にでもできる訳がなく俺はモヤっとした毎日を過ごしていた。
そんなある日、俺は自分のどストライクなヤツに出会ってしまう。
自身が同性愛者であることを自覚しながら、その事実を年頃でもあるためにオープンに出来ずに暮らしていた和也。
そんな和也に春が訪れたのは二年生に進級したある日のことだった。
その日は所属していたサッカー部の用事で旧校舎を訪れていた和也だが、そこで運命的な出会いを果たす。
「つ!?」
初めてそいつの顔を見た時、思わず俺は足をとめてそいつに見惚れてしまっていた。
そいつは何か思い悩んだような顔で部屋の中に一人っきりで、俺は何かに誘われる様にフラッとその教室に入ってしまう。
「うっす、なんか悩み事か?」
「?」
それが俺とシュウとの初めての出会いだった。
照れくさいけどシュウには一目惚れしてて、勢いで入った部屋で文芸部の廃部の危機のコトを聞いてその場で運命みたいなもんを感じた俺は文芸部への入部を決意。
しかも、聞けばシュウは俺と同級生でクラスは違ったけど同じ学年だった。
一年間もシュウのコトをスルーしていたことにショックを受けながら、シュウと二人っきりの部活生活が始まる。
それからサッカー部を正式に辞めた俺は文芸部に移籍したものの、そもそも俺は文字しか書いてない文庫なんかに興味はこれっぽっちもなく、ただシュウに会うためだけに校舎からクソ遠い旧校舎まで毎日通った。
それでも流石に何もしないでシュウを見ている訳にもいかず、とりあえず暇つぶしに漫画を持っていくことに。
「あのさ、別にいいけど…それ漫画?」
漫画を持参してきた和也に遠回しに嫌悪感を示す秀一。
だが、空気の読めない和也は逆に漫画を進める。
「あぁ、藤崎も読むか?」
「僕はそういうの興味ないから」
「そ、そうか…」
漫画の話で何か盛り上がれるかなと思ったけど、シュウは全然興味を示してくれなかった。
趣味に関しての相性は正直良くはねぇ。
そのまま俺は特にシュウとの距離感を埋められねぇまま過ごすことになり、気付けば季節は春から夏に変わっていた。
「はぁ…」
旧校舎にも冷房は設置されていたが、型が古くて効きはそれ程よくない。
少しジメジメした空間で互いにテーブル越しに向き合いながら読書を続ける二人。
そんな最中、和也はとある問題に悩まされていた。
(あぁ、最後にシたのっていつだったかなぁ…藤崎のヤツ見てるとムラムラしてくるんだよなぁ)
もともと和也は性欲が強い訳ではなかったのだが、秀一との部活動が始まってからは欲求不満に陥ってしまう。
その欲求は徐々に蓄積していき、程なくしてついに爆発してしまったある日に事件が起きる。
何を思ったか和也は本棚の陰に隠れ、棚の僅かな隙間からコソコソと秀一の様子を覗き見しながら自慰行為を始めてしまったのだ。
だが、そんな大胆な行動はスグに秀一にも察知されてしまい、自身の自慰現場を秀一に見られてしまう和也。
「なっ!? そこで何やってるんだキミは! こ、こんなところで…」
「っあぁ!!」
俺はその時のコトを今でも鮮明に覚えている。
欲求不満で部室でシュウをオカズにシコっていた俺だが、それがシュウにバレて心臓が爆発するかと思った。
そして、俺は咄嗟に目の前の本を手に取って顔を隠す。
(やべぇ! どうやって誤魔化すかなぁ…)
この時、咄嗟に和也が手に取ったのは文芸部のOBが本棚に混ぜていたグラビア雑誌だった。
それを見た秀一は和也がグラビア雑誌を見ながら自慰行為をしていたと勘違いし、呆れた顔で注意する。
「…そんなモノを部室に持ち込むな! もぉ…黙っててやるから汚すなよ」
「えっ…あ、へへ、悪いな【シュウ】!」
「っ!? シュウって…まぁ別にいいけど…」
シュウが勘違いしてくれたのはマジでラッキーだった。
まぁ、それでも俺はドスケベ野郎として以降はシュウに軽蔑される訳だが…
それとオマケに開き直った俺はその日から秀一のコトをシュウと呼ぶようになった。
その後も部室でのオナニーが癖みたいになっちまった俺は、もう部室でスるのが当たり前になってしまう。
ワザワザ興味のないエロ本を持ってカモフラージュしながらその後もオナニーを続け、その度にシュウに怒られる俺。
だけど、そんな俺をなんだかんだで文芸部から追い出すこともなく許してくれるシュウ。
まぁ、その理由は俺が退部したら文芸部が廃部になるかもしれないからだろうけどな。
一つだけ不思議だったのは、嫌われている割にはその頃からシュウは俺を名前で呼ぶようになったことだろうか。
それからもそんな奇妙な共生関係が続いたある日、とあるコトが切っ掛けで二人の関係がある意味で進展する。
その日、母親からスーパーの特売品を買ってくるように頼まれていた和也だが、そのコトを忘れていつものように部室で漫画を読んでいた。
だが、何かの拍子にお使いのコトを想い出した和也は慌てて帰り支度を始め、秀一に早上がりすると言って部室を飛び出す。
「はっ!? そうだった…」
(やばいやばいやばいやばい! かーちゃんに特売品の松茸買ってこいって頼まれてたんだ! もし買い逃したら今日の晩飯が白米だけになっちまう!)
買い物のことをすっかり忘れていた俺はダッシュで部室を出て、学校から近いスーパーに駆け込んだ。
そこでババァ達と死闘を繰り広げながらもなんとか目当ての松武をゲットした俺。
そして、スーパーから出た時に学校の体操着を着た部活帰りの集団を見てあることを思い出す。
「ふぅ、これで今日の夕飯はリッチな松茸で確定だな…あ……あれ?…やべぇ…」
たまたま目の前を通りかかった体操着姿の生徒達を見て、部室に体操着袋を忘れてきたことに気がつく和也。
その日の日中は酷い炎天下で体操着は上下ともぐっしょり濡れており、明後日も授業で使う予定だったことからスペアを持っていなかった和也は面倒に感じながらも部室まで戻って体操着を回収しようとする。
(明後日も体育だからなぁ…今日も暑くて汗まみれだし回収しておくか)
それから俺は小走りで学校まで戻り、部活終わりで閑散としてる校庭を抜けて旧校舎の中に入った。
元から人気がねぇ旧校舎は不気味な程に静かで気味が悪い。
「はぁ、もうシュウも流石に帰ってるよなぁ…」
あわよくば秀一が部室に残っていることを期待しながら文芸部のある教室を目指す和也。
すると、廊下の奥から何かが聞こえてくる。
周囲が静かなせいでその音は余計に目立ち、どうやら音源は文芸部のようだった。
「んっ? なんだ…部室の方から…なにか…」
部室の前まで来ると、何だか部室の中から変な声がする。
俺はそっと部室の扉に近づいて耳を当ててみた。
すると、中からシュウの今まで聞いたことも無いエロい喘ぎ声のような声が聞こえてくる。
「っ!?」
(どういうことだ? シュウは中で何を…)
和也はそっとドアノブに手を伸ばし、物音をたてないようにゆっくりと部室の扉を開ける。
そして、数センチ程度の隙間からそっと部屋の中を覗き込んだ。
「!!!」
(何やってんだシュウのやつ!? 体操着なんか着て……ってかアレ…俺の!?)
室内はまさかの状況になっていた。
何故かシュウは体操着姿でガニ股になり、どういう訳かTシャツの匂いをクンクン嗅ぎながら短パンの上から勃起したチンコを弄っていたんだ。
しかも、シュウが着ているのは俺が部室に忘れて行った体操着だった。
どうしてシュウが俺の体操着を着てシコってるのかは知らないが、初めて見るシュウのエロい姿に俺は思わずゴクリと唾を飲み込む。
「…はぁ…はぁ…」
(やべぇ…メッチャエロい…あのシュウがあんな…っ!? あぁ…俺もヌきてぇ)
淫らな秀一の自慰行為を目撃して静かに興奮して息を荒らげる和也。
そして、なんとそのまま扉の前にしゃがみ込んでズボンのチャックを全開にすると、既に反応していたモノをズボンの外にブルンっと解放して手でモノを弄り始めてしまう。
「…はぁ…はぁ…」
シュウの淫行に触発されて自らも自慰行為を始めた和也。
初めて目にする意中のシュウの淫らな姿に過剰に興奮した和也はあっという間に絶頂を迎えてしまい、イく寸前に慌ててポケットから取り出したティッシュで亀頭を包んでそこに濃厚なオス汁をドクドクと吐き出す。
「…うぅ…」
(やべぇ…もうイっちまったぞ俺…これじゃ俺の方が早漏じゃねぇか…)
余りにの興奮で瞬時に行為を済ませた和也は、その場で射精後の余韻に浸りながらこの後のことについて考え始める。
(さて、どうする? このまま見なかったことにして帰るか? それとも―)
このまま帰ろうか悩んだ俺だが、ふと今までシュウに何度もオナニー現場を目撃されていたことを思い返す。
仕返しって訳じゃねぇけど、俺と同じ恥ずかしい気分をシュウにもちょっと体験させてみたくなってしまった。
それにシュウには悪いけど、これはシュウとの関係を縮めるためには絶好のチャンスでもある。
何だか弱みを握るみたいで後ろめたい気持ちもあったけど、こんな機会を逃す手はねぇ。
少し悩んだ末、このまま部室への突入を決意する和也。
震えた手でドアノブに手を伸ばし、ワザとらしい台詞を言いながら堂々と部室の中に入っていく。
「あーめんどいなぁ……ってシュウ!? お前そんな恰好で何を……ってそれ俺の?」
「っ!?」
和也は白々しい態度で部室に入るが、突然のコトでパニック状態になってしまう秀一。
しかも、そのまま緊張と興奮がバグって和也の顔を見つめながらビクンと身体を震わせて絶頂してしまったのだ。
「あっ!! これはぁあぁ…あぁああぁあ! んぐぅ! あっダメぇ…ああぁぁあぁああぁ!! イグぅぅうぅあぁあぁ!! あぐぅ…あぁあぁ!! っあぁ!!」
「っ!?」
(もしかしてイったのか? イっちまったのか!?)
大きな喘ぎ声を上げながらガクガクとその場で震えるシュウ。
俺はスグにシュウがイっちまったことに気がついた。
その証拠に俺の短パンにシュウのザーメンのシミが一瞬で広がる。
そして、ついさっきまで変態オナニーをネタにしてシュウを俺のモノにしようとしたけど、イった後に今にも泣き出しそうなシュウの顔を見た瞬間に頭の中が真っ白になってしまう。
そんな状況でやっと俺が言えた言葉は【洗って返せよ】で、俺はそれだけ言うと部室からスグに出てしまった。
(やばいやばいやばい! 入るんじゃなかった…追い詰め過ぎた!? あのまま帰ればよかったんだ…俺のバカ!)
真面目なアイツがこの状況で平気な訳はなく、俺はそんなことにも気付かずにシュウを追い詰めてしまう。
なにか後ろでシュウが喚いている声が聞こえたけど、俺はそのままそれを無視して旧校舎を出た。
和也に自身の醜態を晒す羽目になり、追い詰められて酷く動揺してしまった秀一。
そのことを後悔した和也は足早に部室から立ち去った。
だが、帰路の最中に秀一が実は自分に好意を抱いていたことを始めて知る和也。
「……」
(あれ? もしかしてシュウって…俺のコトが好きなのか? じゃなきゃ俺の汗まみれの体操着でオナニーなんてしないよな?)
その日は帰宅してからもシュウのことで頭がいっぱいで、折角手に入れた松茸料理もあまり楽しめなかった俺。
気がついたら夜になっていて、その日は全然寝付けなかった。
翌日。大きなあくびをしながら通学路をいつものように進む和也。
通学の最中も秀一のことを考えていた。
そして、学校にたどり着いて校舎に入ろうとした際、下駄箱で和也を待ち伏せしていた秀一に声をかけられる。
「か、和也!」
「っ!?」
何かと思ったら、駆け寄ってきたシュウは俺に見なれた体操着袋を差し出す。
どうやらシュウは俺の体操着を昨日のウチに洗濯してきてくれたらしい。
袋を受け取って中を覗くと、そこには綺麗に折りたたまれた体操着が入っていた。
俺が洗濯しろって言ったんだから綺麗になっているのは当たり前な訳だが、なんだか勿体ないとも心の何処かで思ってしまう俺。
つい咄嗟に口から言葉が出てしまう。
「ちゃんと洗ってくれたんだな……そのままでも…」
「えっ…と、当然だろ…」
「えっ! あーそうだな…それじゃ俺行くから」
秀一から体操着を受け取った和也は勝手に恥ずかしくなってしまい、顔を真っ赤に染めながら足早にその場を立ち去る。
一方、気まずさで視線を逸らしていた秀一にはそんな和也の態度が素っ気なく感じられ、少し浮かない表情で立ち去った和也の背中をその場にたたずんで見つめていた。
「あー全然昨日のことフォローできなかったなぁ…このまま責任感じて文芸部辞めたりしないよなアイツ」
秀一と別れて教室に着いた後、自分の席に座って先程のことを思い返す和也。
冷静になって昨日のことに関して何も言えなかったコトを後悔する。
そして、秀一が淫行のケジメとして文芸部を辞めてしまうのではないかと不安に感じていた。
そのモヤモヤは一日中続き、そんな中である決意を固める和也。
「よし、決めたぞ!」
俺はもし、シュウがいつも通り部室に居たら告白しようと思いつく。
シュウが俺と同じで男好きか知らねぇけど、どう考えても嫌いなヤツの体操着でオナニーはしないだろうと思ったからだ。
逆にアイツが来なかったらそん時はそん時。
それから授業が終わり、いつも通り部室に向かう俺。
「……」
胸の鼓動を高鳴らせながら昨日のようにドアノブを握る和也。
そのまま意を決して部室の扉を開けると、そこにはいつも通りの光景が広がっていた。
だが、部室に入って来た和也を複雑そうな眼差しで見つめる秀一。
秀一にしてみれば、自分の体操着で自慰行為をしていた変態が居る部室にはもう近寄らないだろうと考えていたのだ。
そんな秀一に和也は冗談交じりに声をかけると、その日は自身の指定席ではなく秀一の隣の椅子に座る。
そして次の瞬間、告白の言葉を告げると共に秀一の口に接吻を行った。
「……」
「っ!?」
いけると思った俺は勢いで告ってシュウにキスをした。
どうやら返事はOKなのか、シュウが俺を拒絶する気配は感じられない。
けど、そう思ったら…
「っ!? ふぅふんっ!?」
秀一と唇を重ねたままビクンと身体を震わす和也。
実はこの時、秀一は和也の口内に自らの舌先を大胆にもねじ込んできていたのだ。
そのまま二人のディープキスが始まり、まさかの事態に困惑する和也。
一方の秀一はトロンとした表情を浮かべたまま和也の身体を抱きしめ、更に和也の口内で舌先を暴れさせる。
(こ、これって大人のキスか!? まさかシュウがこんな…)
秀一からの積極的なアプローチにされるがままディープキスを続ける和也。
その後も秀一にリードされながらどんどん行為は過激なモノになっていき、気付けば互いに制服を脱いで全裸姿で抱き合っていた。
「下のでもキスしていい? 和也?」
「えっ? …あぁ……いいぜ……はぅん!!」
俺達はそのまま互いのチンコの先を擦りつけ合ながら激しく体を密着し合う。
まさかシュウがこんなにエロいヤツだったなんて以外だったけど、俺は初めての男同士のエッチを楽しませてもらった。
その日からは部活終わりにシュウとエッチするのが日課になり、俺は念願の彼氏?をゲットした訳だ。
一目惚れした秀一と悲願だった交際をすることになった和也。
だが、秀一からの求めは日に日にマニアックで激しいモノになっていき、気付けばそれに和也も巻き込まれていた。