理想の関係?
その日は、特に目立った気候の変動も無いごく普通の日だった。
だが、彼-進藤 ユキの眼には見慣れた自室の空間が天地の境界さえ解らないほど歪んで見えている。
「やべぇ…クラクラする…うぅ…学校に電話しよ」
俺はベッドの枕元にある携帯を手に取り、ダラダラとそれを操作して担任の電話番号を検索する。普段なら一瞬でこなしてしまう操作なのに風邪のせいなのか、コールするまでに十分も掛かってしまった。
「…タム先?進藤です。なんか具合が悪いんで今日は休みます。……はい。それじゃ…」
「うぅ…」
担任に電話を掛け終った直後、ユキは急に自身の意識が遠のいていくのを感じると同時に深い眠りに落ちていく。
「だ…めだ…限…か…」
ピンポーン、ピンポーン
「…んっ?」
耳障りなインターホンの音で目が覚めると、既に窓の空は夕焼け色に染まりきっていた。どうやら俺はあのまま二度寝してしまったようだ。幸い若干だが、少し具合はよくなっている。
ピンポーン、ピンポーン
「うるせぇな…さっさと諦めろよ」
ピンポーン、ピンポーン
「あぁ~もぉっ。ハイハイ出ますよ出ます!」
セールにしろ、何にしろ、対応するのが面倒くさくて居留守をしていたユキだったが、まったく鳴り止む気配のないインターホンの音に根負けしてぶつぶつ小言を漏らしながら渋々玄関に向っていくユキ。
ピンポーン、ピンポーン
「あぁ、ウザイ……ハーイ!!今出ますよ!!…ったく、誰だよ」
ふらふらしながらも無事に玄関まで到着したユキが玄関の覗き穴の覗き込むと、そこには短髪でツンツン頭が特徴の親友-立浪 タケルが膨れっ面でインターホンを連打していた。
(なんだよ、タケルか……アレ?アイツの家って正反対だよな)
タケルの訪問に疑問を抱きながら、ユキは急いで玄関のドアを開ける。
その直後…
「ユキ!なに居留守してんだよぉ~!せっかく俺が今日のプリントとかノートのコピーなんかをワザワザ持ってきてやったのに!!」
案の定、俺の居留守にさっそくブチ切れるタケル。
「悪りぃ悪りぃ。あぁーでもさぁ、タケルの家って…」
「正反対だ。誰かさんが家を知ってる友達が一人しか居ないせいでこんな遠出ですよ…」
ユキに向ってチクチク嫌味を言うタケル。そんなご機嫌ななめなタケルを流石に配布物だけ受け取って帰すのは忍びないと思ったユキは、タケルを自宅によっていかないかと誘ってみる。
「うぅ、悪かったな。……よってくか?」
「え、俺に風邪写す気?」
「だよな…写っちまうよな。…ホント、わざわざサンキューな」
風邪を引いている奴の家に招かれて喜ぶ奴なんて居る訳が無い。
断られて当たり前と言えば当たり前だが、こうハッキリ断られると結構凹む。
…ここだけの話、俺はいけないと思いながらも密かにタケルに惚れていたから尚更だ。
「…茶ぐらい飲んでく」
少し残念そうな顔をしながらユキがタケルから配布物を受け取ろうとした瞬間、タケルは小さな声でボソっとそう呟く。
俺はその時、タケルの思いがけない言葉に一瞬耳を疑った。
けど、確かにタケルは家に寄って行くと言ったのだ。俺は特に聞き返すこともなく家にタケルを招き入れる。
「そ、そうか。なら入れよ。まぁ、馬鹿は風邪引かないって言うしねぇw」
「うっせぇw…邪魔するぞ」
タケルはユキの部屋に入るや否や、毎回来るたびに言っているセリフを吐いた。
「うわっ!相変わらず小奇麗な部屋だなぁ…やっぱ年頃の男が住む部屋じゃねぇーよ。一人暮らしなのにマメだなぁユキって」
「タケルがだらしないだけだろ。お前の部屋は臭いからな」
「そんなに臭くないだろう?」
「あぁー部屋の話はやめやめ。なんかジュースと食いもん取ってくるから適当に座ってて」
ユキが食べ物を取って部屋に戻ってくると、タケルはさっきまでユキが寝込んでいたベッドの上でゴロゴロ転がっている。ユキはテーブルに食べ物を置いた後、さり気なくタケルに訪ねた。
「タケル、もっと他に座る場所あるだろう?なんで俺のベッドなんだよ?」
「別にいいじゃん」
正直、本当に別にどうでもいいことだ。
だけど、好きな人が自分のベッドに寝っころがっているのを見ると、なんとなく誘っているように見えてしまって突っ込まずにはいられなかった。
とりあえず、俺は適当に理由を付けてうやむやにすることに…
「あんまりギシギシやって壊すなよ」
「ほーい」
その後、二人はユキが持ってきたお菓子を食べながらダラダラと学校での噂話や、ゲームの話などの雑談を始めた。
…やがて話のネタが尽きかけた頃。
俺は思い切って前々からタケルに聞いてみたかったことをさり気無く聞いてみることにした。
「あのさ、タケルは好きな奴とか居るの?」
「その質問そっくりそのままお前に返す。…今年のバレンタイン、お前結構な数のチョコ貰っただろう?俺なんか0個だったんだぞ!」
「え?タケル貰ってないの?義理チョコも?」
タケシはスポーツ万能で女子にも結構人気がある方だと俺は思っていたけど、そんなタケシがバレンタインにチョコを1個も貰えなかったなんて正直かなり驚いた。
「そうだよ…総合計0個だ。…あぁーそういえばさぁ、あの時お前が処分仕切れないって言ってくれたチョコ、あれうまかったなぁ~アレ誰のだったんだ?手紙とか入ってなかったけど」
「え!?あ、その…憶えてないよ」
この時、タケシには憶えていないと答えたユキだが、実際には憶えていない訳が無い。
なぜなら、タケシに渡したチョコレートはユキ自身が作ってタケシに渡した物なのだ。
「けっ!ヒデ―奴だぜ」
「そんなに美味しかったの?」
「あぁ、格別に美味かったぜ。もし、来年ももらったら俺にくれよw」
「別にいいけど///」
チョコの味をタケシに褒められ、俺はうれしくて思わず照れてしまった。
(やべっ!なに照れてんだよ…)
と、俺が心の中で思った直後、タケルは早速俺が照れている理由をきいてくる。
「ん?なんでお前が照れてんだ?」
「いや、何でもないよ…こっちの話」
「??」
慌てて照れを誤魔化そうとするユキ。その後も幾度となく照れの理由をタケルに問い詰められるが、なんとか別の話題で注意を逸らしていく。
楽しい時間ほど過ぎ去るのが早いと言うが、時計を見てまさにその通りだと思った。
気がつくと、タケルが家に上がってから2時間も経過していたのだ。
再びタケルに視線を戻すと、俺が時計を見るのに釣られてタケルも腕時計を覗いている。
そして次の瞬間、タケルは俺が今一番聞きたく無い言葉を口にした。
「あれ、もう6時かよ…俺、そろそろ帰るな」
タケルにしてみれば、配布物をユキに渡した時点で既に目的は達成されている。
予想以上の長居をしてしまったと思ったのか、タケルは慌ただしく帰り支度を始めた。
「…」
その様子にユキは名残惜しさを感じたのか、タケルを思わず引き止める。
「もう帰るの?」
「そうだけど…何かあるのか?」
本当は泊まっていって欲しい。
けど、当然そんなことを言えるわけは無く、結局俺の口から出た言葉は今日のお礼だけだった。
「いや、別になんでもない。タケル、今日はワザワザありがとな」
「ユキ…ゴメン」
「えっ?」
タケルがゴメンと呟いた直後、急に顔を寄せてきたと思うと…
「んっ!!…」
いつの間にか俺の唇とタケルの唇は重なっていた。
俺はタケルからの急なキスに抵抗するでもなく、タケルからの贈り物を黙って受け止め続ける。
「………」
しばしの沈黙の接吻を終えた後、タケルは目をそらしながら恥ずかしそうにユキに向ってこう言った。
「あの時、お前に聞き返されてたら帰ろうと思っていたんだ…でも…あーもう!言うぞ!ユキ、俺はお前が好きだ!!」
「…タケル?」
予期せぬ突然のタケルからの禁断の告白に、冗談なのか本気なのかタケルの真意を解りかねるユキ。ユキ自身がタケルに惚れていることもあってか、それが余計にユキの判断を鈍らせる。
(続く?)
年齢は中~高ってことで。(オスキナホウヲエランデネ
あぁ、いつも通り話がメチャクチャで中途半端だww
治療に専念します…
だが、彼-進藤 ユキの眼には見慣れた自室の空間が天地の境界さえ解らないほど歪んで見えている。
「やべぇ…クラクラする…うぅ…学校に電話しよ」
俺はベッドの枕元にある携帯を手に取り、ダラダラとそれを操作して担任の電話番号を検索する。普段なら一瞬でこなしてしまう操作なのに風邪のせいなのか、コールするまでに十分も掛かってしまった。
「…タム先?進藤です。なんか具合が悪いんで今日は休みます。……はい。それじゃ…」
「うぅ…」
担任に電話を掛け終った直後、ユキは急に自身の意識が遠のいていくのを感じると同時に深い眠りに落ちていく。
「だ…めだ…限…か…」
ピンポーン、ピンポーン
「…んっ?」
耳障りなインターホンの音で目が覚めると、既に窓の空は夕焼け色に染まりきっていた。どうやら俺はあのまま二度寝してしまったようだ。幸い若干だが、少し具合はよくなっている。
ピンポーン、ピンポーン
「うるせぇな…さっさと諦めろよ」
ピンポーン、ピンポーン
「あぁ~もぉっ。ハイハイ出ますよ出ます!」
セールにしろ、何にしろ、対応するのが面倒くさくて居留守をしていたユキだったが、まったく鳴り止む気配のないインターホンの音に根負けしてぶつぶつ小言を漏らしながら渋々玄関に向っていくユキ。
ピンポーン、ピンポーン
「あぁ、ウザイ……ハーイ!!今出ますよ!!…ったく、誰だよ」
ふらふらしながらも無事に玄関まで到着したユキが玄関の覗き穴の覗き込むと、そこには短髪でツンツン頭が特徴の親友-立浪 タケルが膨れっ面でインターホンを連打していた。
(なんだよ、タケルか……アレ?アイツの家って正反対だよな)
タケルの訪問に疑問を抱きながら、ユキは急いで玄関のドアを開ける。
その直後…
「ユキ!なに居留守してんだよぉ~!せっかく俺が今日のプリントとかノートのコピーなんかをワザワザ持ってきてやったのに!!」
案の定、俺の居留守にさっそくブチ切れるタケル。
「悪りぃ悪りぃ。あぁーでもさぁ、タケルの家って…」
「正反対だ。誰かさんが家を知ってる友達が一人しか居ないせいでこんな遠出ですよ…」
ユキに向ってチクチク嫌味を言うタケル。そんなご機嫌ななめなタケルを流石に配布物だけ受け取って帰すのは忍びないと思ったユキは、タケルを自宅によっていかないかと誘ってみる。
「うぅ、悪かったな。……よってくか?」
「え、俺に風邪写す気?」
「だよな…写っちまうよな。…ホント、わざわざサンキューな」
風邪を引いている奴の家に招かれて喜ぶ奴なんて居る訳が無い。
断られて当たり前と言えば当たり前だが、こうハッキリ断られると結構凹む。
…ここだけの話、俺はいけないと思いながらも密かにタケルに惚れていたから尚更だ。
「…茶ぐらい飲んでく」
少し残念そうな顔をしながらユキがタケルから配布物を受け取ろうとした瞬間、タケルは小さな声でボソっとそう呟く。
俺はその時、タケルの思いがけない言葉に一瞬耳を疑った。
けど、確かにタケルは家に寄って行くと言ったのだ。俺は特に聞き返すこともなく家にタケルを招き入れる。
「そ、そうか。なら入れよ。まぁ、馬鹿は風邪引かないって言うしねぇw」
「うっせぇw…邪魔するぞ」
タケルはユキの部屋に入るや否や、毎回来るたびに言っているセリフを吐いた。
「うわっ!相変わらず小奇麗な部屋だなぁ…やっぱ年頃の男が住む部屋じゃねぇーよ。一人暮らしなのにマメだなぁユキって」
「タケルがだらしないだけだろ。お前の部屋は臭いからな」
「そんなに臭くないだろう?」
「あぁー部屋の話はやめやめ。なんかジュースと食いもん取ってくるから適当に座ってて」
ユキが食べ物を取って部屋に戻ってくると、タケルはさっきまでユキが寝込んでいたベッドの上でゴロゴロ転がっている。ユキはテーブルに食べ物を置いた後、さり気なくタケルに訪ねた。
「タケル、もっと他に座る場所あるだろう?なんで俺のベッドなんだよ?」
「別にいいじゃん」
正直、本当に別にどうでもいいことだ。
だけど、好きな人が自分のベッドに寝っころがっているのを見ると、なんとなく誘っているように見えてしまって突っ込まずにはいられなかった。
とりあえず、俺は適当に理由を付けてうやむやにすることに…
「あんまりギシギシやって壊すなよ」
「ほーい」
その後、二人はユキが持ってきたお菓子を食べながらダラダラと学校での噂話や、ゲームの話などの雑談を始めた。
…やがて話のネタが尽きかけた頃。
俺は思い切って前々からタケルに聞いてみたかったことをさり気無く聞いてみることにした。
「あのさ、タケルは好きな奴とか居るの?」
「その質問そっくりそのままお前に返す。…今年のバレンタイン、お前結構な数のチョコ貰っただろう?俺なんか0個だったんだぞ!」
「え?タケル貰ってないの?義理チョコも?」
タケシはスポーツ万能で女子にも結構人気がある方だと俺は思っていたけど、そんなタケシがバレンタインにチョコを1個も貰えなかったなんて正直かなり驚いた。
「そうだよ…総合計0個だ。…あぁーそういえばさぁ、あの時お前が処分仕切れないって言ってくれたチョコ、あれうまかったなぁ~アレ誰のだったんだ?手紙とか入ってなかったけど」
「え!?あ、その…憶えてないよ」
この時、タケシには憶えていないと答えたユキだが、実際には憶えていない訳が無い。
なぜなら、タケシに渡したチョコレートはユキ自身が作ってタケシに渡した物なのだ。
「けっ!ヒデ―奴だぜ」
「そんなに美味しかったの?」
「あぁ、格別に美味かったぜ。もし、来年ももらったら俺にくれよw」
「別にいいけど///」
チョコの味をタケシに褒められ、俺はうれしくて思わず照れてしまった。
(やべっ!なに照れてんだよ…)
と、俺が心の中で思った直後、タケルは早速俺が照れている理由をきいてくる。
「ん?なんでお前が照れてんだ?」
「いや、何でもないよ…こっちの話」
「??」
慌てて照れを誤魔化そうとするユキ。その後も幾度となく照れの理由をタケルに問い詰められるが、なんとか別の話題で注意を逸らしていく。
楽しい時間ほど過ぎ去るのが早いと言うが、時計を見てまさにその通りだと思った。
気がつくと、タケルが家に上がってから2時間も経過していたのだ。
再びタケルに視線を戻すと、俺が時計を見るのに釣られてタケルも腕時計を覗いている。
そして次の瞬間、タケルは俺が今一番聞きたく無い言葉を口にした。
「あれ、もう6時かよ…俺、そろそろ帰るな」
タケルにしてみれば、配布物をユキに渡した時点で既に目的は達成されている。
予想以上の長居をしてしまったと思ったのか、タケルは慌ただしく帰り支度を始めた。
「…」
その様子にユキは名残惜しさを感じたのか、タケルを思わず引き止める。
「もう帰るの?」
「そうだけど…何かあるのか?」
本当は泊まっていって欲しい。
けど、当然そんなことを言えるわけは無く、結局俺の口から出た言葉は今日のお礼だけだった。
「いや、別になんでもない。タケル、今日はワザワザありがとな」
「ユキ…ゴメン」
「えっ?」
タケルがゴメンと呟いた直後、急に顔を寄せてきたと思うと…
「んっ!!…」
いつの間にか俺の唇とタケルの唇は重なっていた。
俺はタケルからの急なキスに抵抗するでもなく、タケルからの贈り物を黙って受け止め続ける。
「………」
しばしの沈黙の接吻を終えた後、タケルは目をそらしながら恥ずかしそうにユキに向ってこう言った。
「あの時、お前に聞き返されてたら帰ろうと思っていたんだ…でも…あーもう!言うぞ!ユキ、俺はお前が好きだ!!」
「…タケル?」
予期せぬ突然のタケルからの禁断の告白に、冗談なのか本気なのかタケルの真意を解りかねるユキ。ユキ自身がタケルに惚れていることもあってか、それが余計にユキの判断を鈍らせる。
(続く?)
年齢は中~高ってことで。(オスキナホウヲエランデネ
あぁ、いつも通り話がメチャクチャで中途半端だww
治療に専念します…