君の1番
「ねぇ、キャプテンは僕のこと好き?」
シュウトは、隣で一緒にゲームをしていたキャプテンガンダムの方を見ると唐突に自分のことが好きか尋ねる。
「ああ、私もシュウトのことが99.999%の確率で好きだ」
「…ゼロや爆熱丸のことも好き?」
「シュウト…なぜ急にそんな質問を?」
シュウトの質問に困惑するキャプテンガンダムに真剣な顔でシュウトは回答を迫る。
「答えてよ」
「…ゼロも爆熱丸も掛け替えのない戦友だ。無論彼らのことも好きだ」
キャプテンガンダムの返答を聞くと、シュウトは少しの間を空けてさらにキャプテンガンダムに質問をする。
「キャプテンの1番は?」
「1番?どの1番のことだ?」
「だから、キャプテンの1番好きな人は誰?」
キャプテンガンダムはしばらく黙ると、条件に合う回答を探し始めた。
「私の1番好きな人……恐らくそれは、共に居る時間が最長のシュウトだと思う」
「本当?」
「ああ、80%以上の確率で断言できる」
シュウトはキャプテンガンダムから満足の回答を得られガッツポーズをすると、今度はキャプテンガンダムにいきなり抱きつきこう言った。
「僕も大好きだよキャプテン。あのさ、僕らって…その…あの…愛し合ってるのかな?」
恥ずかしそうにシュウトが発言すると、キャプテンガンダムはシュウトに向って答える。
「いや、私たちが愛し合うことはないだろう。私のAI性別は男だし、MSと人間は愛し合うことはできない」
「なっ……うぅ…………バカァ…キャプテンのバカァ!!」
ぞっこんのキャプテンガンダムにどんっと突き放されたように感じたシュウトは、大声で怒鳴りキャプテンガンダムの体をポカポカと叩くと、玄関に向って走り出しそのまま家から出て行った。その様子に呆然と立ち尽くすキャプテンガンダム。
「…なぜだ?私が何か気に障る事でも言ってしまったのか……シュウト!待ってくれ!」
キャプテンガンダムはすぐに走り去ったシュウトを追いかけるが、モビルシチズンモードのため機動力が大幅に減少していたこともあり、ジェットブレードに乗るシュウトに追いつけず途中で見失ってしまった。
「シュウト……なぜだ…それに、泣いていた?」
シュウトが家を飛び出してからどのくらいの時間が経過しただろう…辺りはいつの間にか薄暗くなっていた。シュウトは草原に寝そべり夜空を見上げながら先程のキャプテンガンダムとのやり取りを思い返し、後悔していた。
「なんであんなこと言っちゃったのかな………もぉー僕のばかぁ!」
夜空に向って自分を責めるシュウト。そのうちシュウトの瞳から一粒の涙が零れ落ちる。
それと同時にキラリと夜空が輝き、流星の様な物体がスーっと夜空を駆け抜けて行った。
「流れ星かな………願い事……ん!?ええ?」
突如パニックになるシュウト、なんと今さっき夜空を駆け抜けて行った流星がシュウトに向って物凄い速さで接近してきたのだ。
「ちょ、うわあぁぁぁぶつかっちゃうよ!!」
眼の前に迫ってきた流星に、シュウトは思わず目をつぶり頭を抱えてその場にしゃがみ込む。
「シュウト、こんな所に居たのか?」
「え?…??」
ゆっくり目を開け声のする方を見ると、そこには戦闘モードのキャプテンガンダムの姿がある。先ほどの流星の正体はシュウトを発見し、シュウトの元に向ったキャプテンガンダムの背中に装備されたオプションの大出力バーニアの光だったのだ。
「……」
シュウトはキャプテンガンダムを見ると気まずそうな表情を浮かべ俯き黙り込む。しばしの間、草木の揺れる音だけが周囲にさみしく漂った。すると黙っているシュウト見てキャプテンガンダムがシュウトに話し掛ける。
「シュウト…私なりに先程の会話を再度分析した結果、ある答えが見つかった」
後ろを振り向き、不貞腐れた声で答えるシュウト。
「何?」
「私の…私のシュウトと何時も何処でもどんな時も一緒に居たいという感情…この感情が君の言う愛なのか?」
シュウトの考えを少しでも理解しようとしたキャプテンガンダムの導き出した答えに対し、背を向けながらも胸をバクバクと鳴らすシュウト。
「キャプテン…」
次の瞬間、シュウトが思い描いていたキャプテンガンダムからの回答が、直接キャプテンガンダムの口からシュウトに向って送られた。
「それが愛なら、私は君を……シュウトを愛している」
「!?」
キャプテンガンダムはそう告白すると、そっとやさしくシュウトに抱きついた。シュウトも涙を流しながらキャプテンガンダムの方に顔を振り返り、「ずぅーっと僕と一緒に居てくれるキャプテン?」と、キャプテンガンダムに問いかけた。その問にキャプテンガンダムは答える。
「約束しよう、私はずっとシュウトと共に居ると」
その答えを聞き、シュウトはほおを赤く染めながら万弁の笑顔を浮かべる。
…その後、しばらく二人は寄り添うように草原に座り込み、幾千の星が輝く夜空を眺めていた。
「………さぁ、そろそろ家に帰ろうシュウト。君の家族が夕飯の準備をして君を待っている」
「…うんv」
シュウトは若干の名残惜しさを感じながらも帰宅することを笑顔で了承。キャプテンガンダムはシュウトを胸に抱き抱え、シュウトの家を目指して煌めく星々が広がる夜空に向って飛び立った。
特にエロも無く、自己満足系に仕上がったかもw