生配信の罠 前半
「お前さぁー最近どうした?」
「へ?何が?」
手狭な子供部屋で、肩を寄せ合いながらゲームをする少年が二人。
唐突に近況を尋ねている、制服姿の茶髪がかった短髪の男の子の名前は深山 耕太(フカヤマ コウタ)。同じく、制服姿のもう一人の小柄で中性的な容姿の男の子の名前は波木 悠太(ナミキ ユウタ)。
二人は同じ学校に通う同級生で、何をするにもいつも一緒だ。今日も学校帰りの放課後、二人は悠太の家で最近ハマっているゲームで遊んでいたのだがー
「いや、それだよそれ!最新のスマホじゃん!」
「あー先週末に機種変したんだよこれ」
利便性や性能の向上と共に価格も高価になっていくスマホだが、コウタが指摘したユウタの使用機種は、外見上の差異は旧機種とそれ程の違いはないが、先月リリースされたばかりの最新モデルだった。
「よく気がついたねコウタ。アイポンのボディ変わらないのにさ」
コウタは大雑把な性格なのに、結構細かいとこまで見てるんだよなとー思いながら、僕はスマホのアプリを操作しながら適当に返答した。
「ユウタさぁ、この前も課金してたしよく金あるよなー」
「んーまぁ…普通じゃないかな…」
どうやらコウタが先程からから気にしているのは、最近何かと羽振りがいいユウタの小遣いについてだった。
ユウタもそこを突っ込まれるのはイヤらしく、その話題をスルーしようとするのだが…
「って誤魔化すな!お前、なんか隠してんだろ…お前のカーチャンに聞いてもいいんだぜ?」
「いや、それは…母さんに言われると…」
親にチクると言われ、余程お金の出どころがヤバいのか、ユウタの体が一瞬ビクンと反応し、明らかに不機嫌な表情をしながらも、嫌々コウタに種明かしをし始める。
「はぁー誰にも言うなよ。最近これで小遣い稼いでんの」
そう言いながらユウタはコウタに向かってスマホの画面を見せた。
「えーお前!マイツベで実況してんのかよ!?
スゲー!今度俺にもやらせてよ!」
ユウタが見せたのはマイツベと呼ばれる実況配信系の動画アプリだった。手頃な操作性から子供にも大人気のアプリなのだが、個人情報の観点から保護者には大不評なアプリ一位である。
「で、何の実況してんの?やっぱゲームか?」
「あーちょっと話すだけ…かな」
「それで金貰えんの!?マジかよ…話すだけ?何を?」
余りにも理解できない内容に驚くコウタ。その反面ユウタは自身の配信内容の需要についてはある程度理解している様子だった。
「んー学校のこととか…かな…」
子供好きの大人の相手をして、小遣い稼いでいるなんてコウタにはハッキリ言えない…僕は1秒でも早くこの話題を終わらせたかった。けどー
「へーそんなんでいいなら俺にもできるんじゃね?なー教えてよくれよ!今さーどうしても欲しいものがあるんだよなー」
コウタの食いつきは寧ろ悪化し、終わらすどころかグイグイ聞き出そうとユウタに詰め寄る。
「もしかしてこの前、原魔に実装されたヤツ?」
「そうそう!お前実装日に見せびらかしてきたよなー教えてくれないとチクるぞー」
そう言ってジッとユウタを見つめるコウタ。ユウタはゲームの話題に切り替えるつもりが、逆にそれが仇となってしまい、再度コウタから脅される結果になってしまった。
「ぐっ…言っとくけど後悔するぞ…」
「なーに言ってんだよ!」
「あーもう、じゃ今日の実況折半ね。ちゃんとコウタも働いてもらうからな!」
僕は半分ヤケクソになり、コウタの望み通り動画配信をその場でやってやることにした。
「おうおう無駄話は得意だぜ!」
笑顔でそう答えるコウタを尻目に、サッとその場に立ち上がったユウタは動画配信の準備を始めるための指示をコウタに告げる。
「じゃ、準備するからカーテン閉めて。あと一応部屋のドアの鍵も」
「りょーかい!」
そうコウタに指示を出し、ユウタは自分の鞄から教材のタブレットを取り出し配信の準備を始めた。
「あ、それ使うのか?」
「うん。これ教材だけどブロックとかもかかってないし画面大きくて便利だからね」
ユウタが手に取ったタブレットは、学校で教科書代わりに使用されるモノだった。生徒はみな自費購入で所持しているモノなのだが、なかなか画面サイズも大きいので、配信の際にいつもユウタは重宝している。
「お前、結構ワルだよなー」
「うるさいなーPCとか高すぎて買ってもらえないし、何だかんだでこれが一番いいの」
そう言いながらユウタは一応身バレを気にしてか、部屋の様子や自分達の顔が画面に映らない様に念入りにポジション合わせをする。
「なーーまだやらねーの?」
「ちょっと待って…あ、よかった3人インしてる。あと配信中は苗字で呼ばないでよ…僕ら普段は名前だから大丈夫だろうけど」
「お、おう…」
「ちなみにコウタは偽名使う?嫌だったら設定考えといて。僕はユウタでやってるからさー」
「え?そうなのか?じゃ、俺もコウタでいいぜ」
ユウタは配信前の簡単な打ち合わせを済ませると、アプリを起動してオンラインの視聴者リストのメンバーの確認し、いよいよ動画配信を始めることに。
「始めるよコウタ。ほら映るよー顔うつらないように気をつけてね。結構ギリギリで位置取ってるから」
次の瞬間、タブレットの液晶には二人の姿を写す画面が表示された。初めての体験に緊張したのか、コウタは急に静かになり…無意識にユウタのシャツの端をぎゅっと握った。
「こんにちは!急に募集しちゃってすいません!
今からは友達と一緒に配信しちゃいます!」
第一声を猫被りな挨拶でユウタは済ませ、いよいよ二人の動画配信が始まり、ユウタは黙っているコウタを肘で突っつき挨拶しろと誘導する。
「こ、こんにちは!」
次の瞬間、チャット欄には顔は見えないが、二人の可愛い小さな配信者の姿を見ただけで興奮した大人達の書き込みが溢れかえったー
それから1時間後、なんとか無事に二人の配信は終わり、コウタは緊張の糸が途切れたのかバタリとその場に寝転ぶ。
「ふう疲れたー話すだけでも緊張するなー」
「お疲れー結局20人ぐらい集まって…あ…」
「どうした?」
「あーごめん。…今日のウルチャは5千円ぐらいかなー」
配信慣れしているユウタは、寝転ぶコウタを尻目に、配信ページのリザルト画面を確認し、ウルチャと呼ばれる投げ銭の金額を確認する。
「マジか!1時間でそんなに!?スゲー!」
「んーまぁね…儲かるだろ?ほら分け前、コード送るからそっから落として」
「サンキューw」
この時、ユウタは当たり前の様に振る舞っていたが、本当は内心ウルチャの額に驚いていた。実は普段も配信自体はしているが、よくても毎回の配信で得られる金額はせいぜい4〜5百円程度だったからだ。
つまり、ユウタの本業は別にあるということであり、実は渋々コウタに教えた話は半分ほんとで、半分は嘘なのだ。
「マジか、これってあの人だよな…」
そして、暫くしてコウタは帰宅。ユウタはチラッと時計に視線を向け、母の帰宅すると時間を逆算する。
「さてと、今日も母さん遅いし…ちょっと誘ってみようかな…」
そう言いながらユウタはスマホを手に取り、ある人物にメッセージを送った。
それから数分後、ユウタの元に返信が届き、ユウタは返事を見るや否や再びタブレットを取り出し、さっきとは別にアプリを起動させた。
「こんばんは!クマ次郎さん。今日もよろしくお願いします!それとさっきはありがとうございました!」
ユウタが起動させたのは個人間で動画をやり取りするアプリであり、動画配信ではあるのだが相手はクマ次郎というHNの人物ただ一人。
ちなみに、先程の配信で多額の投げ銭をしたのもこの人物だ。そして、いよいよユウタの秘密のアルバイトも始まる…
「今日はどんなポーズがいいですか?」
慣れた様子で画面越しにクマ次郎の希望を伺うユウタ。
そして次の瞬間、クマ次郎のチャット内容を見るや否や、なんとユウタはモゾモゾと上着とズボンを脱ぐ始め、下着姿になって画面の前で指示を待つー
そう、コレが最近の羽振りの良さの正体だ。
中身がない動画で小銭を稼いでいたユウタだが、そんなある日、クマ次郎と名乗る視聴者からDMを受け取り、個人配信で卑猥な姿を見せる対価にお金を稼ぐ様になってしまったのだ。
「えっと…これか…」
【画面にお尻を向け、ブリーフをお尻に食い込ませて見せて】
「よっと…うぅ…恥ずかしいな…」
お尻にブリーフを食い込ませろと指示を受けると、ユウタは画面に向かってゆっくりと顔が映り込まない様に尻を向け、恥ずかしいそうにキュッとブリーフを尻の割れ目に食い込ませた。
「コレぐらいでいいですよね?」
もうこんなことは何回もしてるんだけど、やっぱり恥ずかしい…だってこんなこと普段は絶対しないし!でも、何度も繰り返してるウチに僕はこのやりとりが辞められなくなっていた。
そう心の中で呟きながら顔を赤く染めてチャット欄を確認するユウタ。するとクマ次郎からは早速次の指示がー
【そのまま今度は前をずらしておちんちん出して】
「えー今日も!?別にいいけど…ちゃんと出したら払ってくださいね…」
コレも定番メニューの一つだ、ただブリーフを脱げって言えばいいのに…これじゃ穿いてるままの方が恥ずかしい…それに締め付けが凄いし…
ユウタは嫌々指示に沿ってブリーフをズラすが、本来の用途ではない履き方はユウタの肛門以外を全て露出させ、可愛いらしい皮を被ったユウタのソレが外気と画面上に晒される。
それと同時に履いていたブリーフは簡易的な責め具となってユウタを苦しめていた。
強引な履き方の反動で股間付近は縄で縛られた様にキツく締め上げられ、ユウタはなんとも言えない感覚に思わず声を漏らす。
「んっ…あっ…くっ」
やばい、なんだろう…今日は部屋にコウタの匂いが残ってるから…あそこが…
先程まで部屋に居たコウタの残り香は、ユウタにとてつもない背徳感を感じさせ、ユウタのソレはピクピクと小刻みに震え、皮を被ったソレからはピンク色の亀頭が見え隠れする。
「もういいでしょ!オジサン本当に変態なんだから…」
時間にしてはほんの一瞬だったが、ユウタにとっては数十分も痴態を晒している気分であり、恥ずかしさでいっぱいになったユウタはキレ気味に声を荒げ、返答を待たずに股間に食い込んだブリーフを元の位置に戻した。
だが、ソレの膨張はもちろんすぐには治らず、ブリーフには三角錐のテントが張られ、その頂上は薄ら濡れている様にも見える。
「最近なんか…どんどんエッチなお願いになってませんか?」
勝手におちんちんを立たせたのは僕だけど、思わず不満を口に出してしまった。でも、実際に最初は上着を脱ぐぐらいだったのは事実だし…
要求に比例して報酬額も増えている点を棚に上げ、ユウタはクマ次郎への不満を漏らすが、そんなことはお構いなしに新しい指示がテキストがチャット欄に表示された。
【さっきの友達も側に居るのかな?初めてユウくんの勃起が見れて嬉しいなー】
「え?友達?…そっかさっきも見てたんだよね」
【次はさっきの子とキスしてみてよ】
…!?無理だよ何言ってんのこの人…そんな事できない。嫌われるかもしれないし…
突然のクマ次郎の要望に戸惑うユウタ。即答で拒否しようとするが、ユウタが言葉に出す前に新たなチャットが記入される。そこにはー
【キスだけで10万出してもいい】
「…えっ!それだけ?ほんとに?だって一回でいいんでしょ…そ、それぐらいならいいかな…」
破格の報酬提示に一気に心が揺らぐユウタ。しかも、とある理由から実はユウタ自身もその行為を密かに求めていた結果、現実離れした金額は、意思決定の後押しにしか働かなかった。
「うん、じゃ週末誘えたら…やってみます」
ユウタはそう答えると、軽くクマ次郎への挨拶を済ませ、その日の配信をそそくさと終わらせる。
【できそう?期待してるよ。これ手付金ね】
だが、終わり側にクマ次郎からのメッセージが届き、それを読んで頭を悩ませるユウタ。そして、ぶつぶつと独り言を漏らしながらタブレットの電源を落とし、下着姿のままベットに飛び込んだ。
「うー前金送られて来ちゃったよ…でも、やっぱり断ろうかなーコウタに嫌われたくないしな…」
実はユウタが提案を断らなかった最大の理由、それは密かにコウタのことを好いていたからであった。
いつからなのかは定かではないが、確かにそれは恋に限りなく近い感情だった。
それから暫くして、少し気持ちを落ち着かせるためにゲームを始めたユウタ。
だがー
「うぅ…やばい…やばいって!ムキになって前金使っちゃったよ!ってか何コイツ!俺ばっか攻撃してくるんだよー!」
気晴らしに始めたゲームだが、予期せぬ展開で熱くなり、なんと思わずクマ次郎からの手付金にも手を出してしまったユウタ。
この時点で既にユウタの金銭感覚は大きく狂っていたのだが、当の本人は気にもしていなかった…既にクマ次郎の魔手が少しづつ自分を蝕んでいるという事実をー
「はぁーコレで完全に断れなくなったな…コウタには何て言って誤魔化そうかな。事前に言ったらアイツ絶対嫌がるしなー」
その日は中々寝付けず、深夜に帰宅した母親の気配を感じた頃にやっと眠りについたユウタであった。
後編に続く
「へ?何が?」
手狭な子供部屋で、肩を寄せ合いながらゲームをする少年が二人。
唐突に近況を尋ねている、制服姿の茶髪がかった短髪の男の子の名前は深山 耕太(フカヤマ コウタ)。同じく、制服姿のもう一人の小柄で中性的な容姿の男の子の名前は波木 悠太(ナミキ ユウタ)。
二人は同じ学校に通う同級生で、何をするにもいつも一緒だ。今日も学校帰りの放課後、二人は悠太の家で最近ハマっているゲームで遊んでいたのだがー
「いや、それだよそれ!最新のスマホじゃん!」
「あー先週末に機種変したんだよこれ」
利便性や性能の向上と共に価格も高価になっていくスマホだが、コウタが指摘したユウタの使用機種は、外見上の差異は旧機種とそれ程の違いはないが、先月リリースされたばかりの最新モデルだった。
「よく気がついたねコウタ。アイポンのボディ変わらないのにさ」
コウタは大雑把な性格なのに、結構細かいとこまで見てるんだよなとー思いながら、僕はスマホのアプリを操作しながら適当に返答した。
「ユウタさぁ、この前も課金してたしよく金あるよなー」
「んーまぁ…普通じゃないかな…」
どうやらコウタが先程からから気にしているのは、最近何かと羽振りがいいユウタの小遣いについてだった。
ユウタもそこを突っ込まれるのはイヤらしく、その話題をスルーしようとするのだが…
「って誤魔化すな!お前、なんか隠してんだろ…お前のカーチャンに聞いてもいいんだぜ?」
「いや、それは…母さんに言われると…」
親にチクると言われ、余程お金の出どころがヤバいのか、ユウタの体が一瞬ビクンと反応し、明らかに不機嫌な表情をしながらも、嫌々コウタに種明かしをし始める。
「はぁー誰にも言うなよ。最近これで小遣い稼いでんの」
そう言いながらユウタはコウタに向かってスマホの画面を見せた。
「えーお前!マイツベで実況してんのかよ!?
スゲー!今度俺にもやらせてよ!」
ユウタが見せたのはマイツベと呼ばれる実況配信系の動画アプリだった。手頃な操作性から子供にも大人気のアプリなのだが、個人情報の観点から保護者には大不評なアプリ一位である。
「で、何の実況してんの?やっぱゲームか?」
「あーちょっと話すだけ…かな」
「それで金貰えんの!?マジかよ…話すだけ?何を?」
余りにも理解できない内容に驚くコウタ。その反面ユウタは自身の配信内容の需要についてはある程度理解している様子だった。
「んー学校のこととか…かな…」
子供好きの大人の相手をして、小遣い稼いでいるなんてコウタにはハッキリ言えない…僕は1秒でも早くこの話題を終わらせたかった。けどー
「へーそんなんでいいなら俺にもできるんじゃね?なー教えてよくれよ!今さーどうしても欲しいものがあるんだよなー」
コウタの食いつきは寧ろ悪化し、終わらすどころかグイグイ聞き出そうとユウタに詰め寄る。
「もしかしてこの前、原魔に実装されたヤツ?」
「そうそう!お前実装日に見せびらかしてきたよなー教えてくれないとチクるぞー」
そう言ってジッとユウタを見つめるコウタ。ユウタはゲームの話題に切り替えるつもりが、逆にそれが仇となってしまい、再度コウタから脅される結果になってしまった。
「ぐっ…言っとくけど後悔するぞ…」
「なーに言ってんだよ!」
「あーもう、じゃ今日の実況折半ね。ちゃんとコウタも働いてもらうからな!」
僕は半分ヤケクソになり、コウタの望み通り動画配信をその場でやってやることにした。
「おうおう無駄話は得意だぜ!」
笑顔でそう答えるコウタを尻目に、サッとその場に立ち上がったユウタは動画配信の準備を始めるための指示をコウタに告げる。
「じゃ、準備するからカーテン閉めて。あと一応部屋のドアの鍵も」
「りょーかい!」
そうコウタに指示を出し、ユウタは自分の鞄から教材のタブレットを取り出し配信の準備を始めた。
「あ、それ使うのか?」
「うん。これ教材だけどブロックとかもかかってないし画面大きくて便利だからね」
ユウタが手に取ったタブレットは、学校で教科書代わりに使用されるモノだった。生徒はみな自費購入で所持しているモノなのだが、なかなか画面サイズも大きいので、配信の際にいつもユウタは重宝している。
「お前、結構ワルだよなー」
「うるさいなーPCとか高すぎて買ってもらえないし、何だかんだでこれが一番いいの」
そう言いながらユウタは一応身バレを気にしてか、部屋の様子や自分達の顔が画面に映らない様に念入りにポジション合わせをする。
「なーーまだやらねーの?」
「ちょっと待って…あ、よかった3人インしてる。あと配信中は苗字で呼ばないでよ…僕ら普段は名前だから大丈夫だろうけど」
「お、おう…」
「ちなみにコウタは偽名使う?嫌だったら設定考えといて。僕はユウタでやってるからさー」
「え?そうなのか?じゃ、俺もコウタでいいぜ」
ユウタは配信前の簡単な打ち合わせを済ませると、アプリを起動してオンラインの視聴者リストのメンバーの確認し、いよいよ動画配信を始めることに。
「始めるよコウタ。ほら映るよー顔うつらないように気をつけてね。結構ギリギリで位置取ってるから」
次の瞬間、タブレットの液晶には二人の姿を写す画面が表示された。初めての体験に緊張したのか、コウタは急に静かになり…無意識にユウタのシャツの端をぎゅっと握った。
「こんにちは!急に募集しちゃってすいません!
今からは友達と一緒に配信しちゃいます!」
第一声を猫被りな挨拶でユウタは済ませ、いよいよ二人の動画配信が始まり、ユウタは黙っているコウタを肘で突っつき挨拶しろと誘導する。
「こ、こんにちは!」
次の瞬間、チャット欄には顔は見えないが、二人の可愛い小さな配信者の姿を見ただけで興奮した大人達の書き込みが溢れかえったー
それから1時間後、なんとか無事に二人の配信は終わり、コウタは緊張の糸が途切れたのかバタリとその場に寝転ぶ。
「ふう疲れたー話すだけでも緊張するなー」
「お疲れー結局20人ぐらい集まって…あ…」
「どうした?」
「あーごめん。…今日のウルチャは5千円ぐらいかなー」
配信慣れしているユウタは、寝転ぶコウタを尻目に、配信ページのリザルト画面を確認し、ウルチャと呼ばれる投げ銭の金額を確認する。
「マジか!1時間でそんなに!?スゲー!」
「んーまぁね…儲かるだろ?ほら分け前、コード送るからそっから落として」
「サンキューw」
この時、ユウタは当たり前の様に振る舞っていたが、本当は内心ウルチャの額に驚いていた。実は普段も配信自体はしているが、よくても毎回の配信で得られる金額はせいぜい4〜5百円程度だったからだ。
つまり、ユウタの本業は別にあるということであり、実は渋々コウタに教えた話は半分ほんとで、半分は嘘なのだ。
「マジか、これってあの人だよな…」
そして、暫くしてコウタは帰宅。ユウタはチラッと時計に視線を向け、母の帰宅すると時間を逆算する。
「さてと、今日も母さん遅いし…ちょっと誘ってみようかな…」
そう言いながらユウタはスマホを手に取り、ある人物にメッセージを送った。
それから数分後、ユウタの元に返信が届き、ユウタは返事を見るや否や再びタブレットを取り出し、さっきとは別にアプリを起動させた。
「こんばんは!クマ次郎さん。今日もよろしくお願いします!それとさっきはありがとうございました!」
ユウタが起動させたのは個人間で動画をやり取りするアプリであり、動画配信ではあるのだが相手はクマ次郎というHNの人物ただ一人。
ちなみに、先程の配信で多額の投げ銭をしたのもこの人物だ。そして、いよいよユウタの秘密のアルバイトも始まる…
「今日はどんなポーズがいいですか?」
慣れた様子で画面越しにクマ次郎の希望を伺うユウタ。
そして次の瞬間、クマ次郎のチャット内容を見るや否や、なんとユウタはモゾモゾと上着とズボンを脱ぐ始め、下着姿になって画面の前で指示を待つー
そう、コレが最近の羽振りの良さの正体だ。
中身がない動画で小銭を稼いでいたユウタだが、そんなある日、クマ次郎と名乗る視聴者からDMを受け取り、個人配信で卑猥な姿を見せる対価にお金を稼ぐ様になってしまったのだ。
「えっと…これか…」
【画面にお尻を向け、ブリーフをお尻に食い込ませて見せて】
「よっと…うぅ…恥ずかしいな…」
お尻にブリーフを食い込ませろと指示を受けると、ユウタは画面に向かってゆっくりと顔が映り込まない様に尻を向け、恥ずかしいそうにキュッとブリーフを尻の割れ目に食い込ませた。
「コレぐらいでいいですよね?」
もうこんなことは何回もしてるんだけど、やっぱり恥ずかしい…だってこんなこと普段は絶対しないし!でも、何度も繰り返してるウチに僕はこのやりとりが辞められなくなっていた。
そう心の中で呟きながら顔を赤く染めてチャット欄を確認するユウタ。するとクマ次郎からは早速次の指示がー
【そのまま今度は前をずらしておちんちん出して】
「えー今日も!?別にいいけど…ちゃんと出したら払ってくださいね…」
コレも定番メニューの一つだ、ただブリーフを脱げって言えばいいのに…これじゃ穿いてるままの方が恥ずかしい…それに締め付けが凄いし…
ユウタは嫌々指示に沿ってブリーフをズラすが、本来の用途ではない履き方はユウタの肛門以外を全て露出させ、可愛いらしい皮を被ったユウタのソレが外気と画面上に晒される。
それと同時に履いていたブリーフは簡易的な責め具となってユウタを苦しめていた。
強引な履き方の反動で股間付近は縄で縛られた様にキツく締め上げられ、ユウタはなんとも言えない感覚に思わず声を漏らす。
「んっ…あっ…くっ」
やばい、なんだろう…今日は部屋にコウタの匂いが残ってるから…あそこが…
先程まで部屋に居たコウタの残り香は、ユウタにとてつもない背徳感を感じさせ、ユウタのソレはピクピクと小刻みに震え、皮を被ったソレからはピンク色の亀頭が見え隠れする。
「もういいでしょ!オジサン本当に変態なんだから…」
時間にしてはほんの一瞬だったが、ユウタにとっては数十分も痴態を晒している気分であり、恥ずかしさでいっぱいになったユウタはキレ気味に声を荒げ、返答を待たずに股間に食い込んだブリーフを元の位置に戻した。
だが、ソレの膨張はもちろんすぐには治らず、ブリーフには三角錐のテントが張られ、その頂上は薄ら濡れている様にも見える。
「最近なんか…どんどんエッチなお願いになってませんか?」
勝手におちんちんを立たせたのは僕だけど、思わず不満を口に出してしまった。でも、実際に最初は上着を脱ぐぐらいだったのは事実だし…
要求に比例して報酬額も増えている点を棚に上げ、ユウタはクマ次郎への不満を漏らすが、そんなことはお構いなしに新しい指示がテキストがチャット欄に表示された。
【さっきの友達も側に居るのかな?初めてユウくんの勃起が見れて嬉しいなー】
「え?友達?…そっかさっきも見てたんだよね」
【次はさっきの子とキスしてみてよ】
…!?無理だよ何言ってんのこの人…そんな事できない。嫌われるかもしれないし…
突然のクマ次郎の要望に戸惑うユウタ。即答で拒否しようとするが、ユウタが言葉に出す前に新たなチャットが記入される。そこにはー
【キスだけで10万出してもいい】
「…えっ!それだけ?ほんとに?だって一回でいいんでしょ…そ、それぐらいならいいかな…」
破格の報酬提示に一気に心が揺らぐユウタ。しかも、とある理由から実はユウタ自身もその行為を密かに求めていた結果、現実離れした金額は、意思決定の後押しにしか働かなかった。
「うん、じゃ週末誘えたら…やってみます」
ユウタはそう答えると、軽くクマ次郎への挨拶を済ませ、その日の配信をそそくさと終わらせる。
【できそう?期待してるよ。これ手付金ね】
だが、終わり側にクマ次郎からのメッセージが届き、それを読んで頭を悩ませるユウタ。そして、ぶつぶつと独り言を漏らしながらタブレットの電源を落とし、下着姿のままベットに飛び込んだ。
「うー前金送られて来ちゃったよ…でも、やっぱり断ろうかなーコウタに嫌われたくないしな…」
実はユウタが提案を断らなかった最大の理由、それは密かにコウタのことを好いていたからであった。
いつからなのかは定かではないが、確かにそれは恋に限りなく近い感情だった。
それから暫くして、少し気持ちを落ち着かせるためにゲームを始めたユウタ。
だがー
「うぅ…やばい…やばいって!ムキになって前金使っちゃったよ!ってか何コイツ!俺ばっか攻撃してくるんだよー!」
気晴らしに始めたゲームだが、予期せぬ展開で熱くなり、なんと思わずクマ次郎からの手付金にも手を出してしまったユウタ。
この時点で既にユウタの金銭感覚は大きく狂っていたのだが、当の本人は気にもしていなかった…既にクマ次郎の魔手が少しづつ自分を蝕んでいるという事実をー
「はぁーコレで完全に断れなくなったな…コウタには何て言って誤魔化そうかな。事前に言ったらアイツ絶対嫌がるしなー」
その日は中々寝付けず、深夜に帰宅した母親の気配を感じた頃にやっと眠りについたユウタであった。
後編に続く