立場逆転
「あらあら、二人とも朝からお盛んねぇ。ルミナルスもなんだかんだでイってるじゃない」
「うぅ…」
所々、白濁液が飛び散った床に、力無く息を荒げながら座り込むティオとルミナルス。
元々はルミナルスが媚薬で発情したティオをイかせる目的で始めた行為が、いつの間にかルミナルスまで盛り始め、結局二人で果ててしまった結果だ。
特にティオは媚薬の発情効果で一度や二度の射精では満足出来ず、ルミナルスに何度もおねだりして囚人服のビーズや手コキでイかせてもらっていた。
「アルフレッドは完全にダウンしちゃった見たいね。午後からの労働は大丈夫かしら…」
「え、でもコイツは…アルじゃ…」
ギースの発言に、まだ入れ替わりを続けるのかと
思ったルミナルスはそれを確認しようとする。
だが、その瞬間ー
「ねぇ、ティオ?」
ギースが背後から呼び出した人物の名前と姿を見て驚き、言葉を失うルミナルス。
「!?…アルなのか?どうして???」
そこには、看守の服に身を包んだアルフレッドの姿があったのだ。
「…ごめんねルミナ。また後でちゃんと話すから…」
困惑するルミナルスに、牢の中に入ってきたアルフレッドは小声でそう語りかける。
それと同時に、アルフレッドの姿を見たティオがバッと起き上がり、慌てた様子でアルフレッドに詰め寄る。
「え、えっ…って、お兄ちゃん…っ!?なんでそんな…それじゃまるで…」
「そう、今日から僕がティオだ」
キッとした表情で混乱するティオにそう告げるアルフレッド。
「そんな、あははは!何言ってるんだ!そ、そんなことお義父様が黙ってない…んだぞ…」
それを聞いたティオは最初こそ笑っていたが、アルフレッドの真剣な顔つきに押され、徐々に表上が曇っていく。
「ギース様、僕はもう行きますね…」
「ちょっと待って!お兄ちゃん!」
アルフレッドは少し疲れた様な表情でそう呟くと、自分を呼び止めるティオを無視して再び牢から出て行った。
「一体どうなってんだよ…まさかホントに二人が入れ替わるなんて…」
状況が理解できず、ポカンとした表情でその場に佇むルミナルス。
「まぁ、そういうことだからティ…アルフレッドをよろしくね♪」
ギースは呆然としているルミナルスの肩をポンと叩き、アルフレッドの後を追う様に牢を後にしようとした。
「ギース待て!お前が仕組んだ…あっ!?」
だが、色々と納得できないティオは、一連の状況を仕組んだのがギースだと見抜き、立ち去ろうとするギースに声をあらげて掴みかかる。
しかし、それと同時にギースは腰に下げていた鞭を手に取り、ティオに向かって容赦なく鞭打ちを浴びせた。
「あぅ!…痛いぃ…あっ!うぅ…あぁん…んぁ!」
絶妙なギースの鞭打ちテクニックは、ティオに快楽混じりの痛みを与え、苦悶の表情を浮かべながら喘ぎ声を漏らすティオ。
「ふふ、痛いけど気持ちいいんでしょ…お兄さん同様にマゾの素質があるみたいね」
「はぅ!んぁ!ぁあぁあん!」
一方的に鞭で痛ぶられるティオだが、ギース言う通り、鞭責めと言葉責めで股間がヒクついていた。
「でも、奴隷の分際で口の利き方がなってないわね。午後からの強制労働でたっぷりお兄さんに躾けてもらいなさい」
「うぅ…」
ギースは鞭打ちを止めると、その場に伏せたティオにそう告げて牢から出て行く。
そして、持ってきていた朝食の入ったワゴンから食事のトレーを取り出すと、それを置いて立ち去っていった。
「おい、大丈夫か?…アル…じゃなくて…ティオ」
鞭打ちを受け、その場に伏せていたティオを心配したルミナルスが手を差し伸べる。
「う、うるさい!お前に同情されるなんて…」
だが、ティオはそれを振り解いてベッドの布団の中に閉じこもってしまう。
ルミナルスに、自分がギースからの鞭打ちで勃起してしまったのがバレるのが嫌だったのだ。
「なんだよ、さっきあんなにイかせてやったのにさぁ…メシも食わないのか?午後バテるぞ」
「うるさい!…そ、それにアレは全部媚薬のせいだから!」
「そうかよ、じゃ先に食べてるからな」
ルミナルスはティオの態度にムスっとした表情を浮かべ、ギースが置いていった朝食のトレーを回収する。
その時、ティオの分のトレーも一緒に運び、それをティオがふて寝しているベッドの下に置いた。
そして、そのまま暫く一人で食事をしていると、その匂いに釣られたのか、もぞもぞとティオが布団の中から顔を出す。
「……やっぱ食べる」
「ん、メシはソコだぞ」
昨晩から何も食べてなかったのか、ティオはガツガツと朝食を頬張り始め、その様子を向かいで見ていたルミナルスを思わず笑みを浮かべる。
「なに笑ってるんだよ…看守の僕が奴隷になって嬉しいのか?」
ギッとルミナルスを睨み、ハムスターの様に頬を膨らませながらそう呟くティオ。
「いや、そうじゃなくて!その、なんかお前…可愛いな」
「ハァ!?なに言ってんだよ…」
看守として現れてから印象が悪かったティオだが、改めて触れ合ってみると親友のアルフレッドとの共通点も多く、ルミナルスは思わず微笑んでしまったのだ。
(さて、どうしたもんか…アルのやつも何考えてんだかなーもしかして、ずっとこのままなのか?)
ガツガツ朝食を食べ続けるティオを眺めながら、これからのことを考えるルミナルス。
やがて、そのまま何事もなく午後になり、ルミナルス達が収監されている牢屋の鍵が自動で一斉に解錠された。
ある程度の自由が与えられている模範囚たちは、一般囚人の様に手枷と鎖で繋がれて移動することはなく、自分たちで予め決められた施設に向かうことになっている。
無論、場所を間違えたり1秒でも召集に遅れれば、囚人達の前でペアで行為をさせられたり、研究室で制作している試作淫具の実験台にされたりなど、地獄のようなペナルティを受けることに。
「ほら行くぞ、今日は3番施設だ…」
ルミナルスもティオを連れ、その日の担当施設に向かおうとするのだがー
「いかない…僕は看守だぞ!このまま部屋に戻るんだ」
ティオはそれを拒絶。
あくまでも自分は看守であると主張し、そのまま自室に戻ると言うティオ。
そんなティオにルミナルスは呆れ顔でこう告げる。
「はぁ、そんな態度だと…ギースに薬で朝みたいにお仕置きされるぞー」
「ぐっ…」
朝の痴態が脳裏に蘇り、顔を真っ赤にさせるティオ。
媚薬自体は、キサラギとのプレイで何度も味わっていて、実はそれほど嫌という訳ではないのだが、同じぐらいの歳の同性と絡んだことが無かったティオは、そっちの方がやはり恥ずかしかったのだ。
「安心しろ、アルはお前みたいに意地悪じゃないから優しくしてくれるだろうさ」
「いちいち癇に障るやつだなぁ…」
結局、ルミナルスはなんとかティオを説得して施設に向かうことに。
そもそも、なぜルミナルスがティオを説得するのかと言うと、模範囚はペアで連帯責任を担わされていて、片方が何か起こせば無条件で同室の囚人も罰を受けるルールがあったからだ。
それに加え、アルフレッドの弟であるというのも放って置けない理由の一つでもあったのだが…
つづく